第9話 ホテル関連

なかなか強烈なエピソードを記録しておきます。

私と友人Aは、中距離にあるテーマパークに行く時などはよく前乗りをします。前日のうちに近場のホテルに前泊し、翌朝数駅でテーマパークに到着するやり方です。自己愛はケチだし、三人になると部屋が取りづらいので二人でそうしていましたが、「二人で近くから来たの?」と言われた事があり、少し可哀想に思った(この頃はそんな風に思える余裕がまだあったんですね)ので、次の機会に声をかけてしまいました。


三名になるとやや選択肢が減り、価格も最安値とはいかなくなるのですが、大きなテーマパークの周りというのはうまく探すと元々かなりのお手頃価格で泊まれるのであまり気にしませんでした。いわゆるビジネスホテルの価格帯ですが、テーマパークの雰囲気に沿って、ビジネスとは思えないような可愛らしい雰囲気でしかも新築のホテル。それで一人三千円でしたので、私と友人Aは御満悦でした。嬉々として自己愛に伝えると、「三千円のホテルじゃボロボロだね」と何度も言われました。新築だと説明するも耳には入らず。おそらく「今までこのお得な情報を知らなかった。バカ達は知っていて、それを甘受していた」ということが許せず、「バカどもが泊まっていたホテルはボロボロ」というめちゃくちゃな思考に至ったのでしょうか?そのボロボロの新築に今回あなたも泊まるのでは?と疑問に思いましたが、相手はもう人間ではなく獣ですので、通じません。


せっかく三人になったことだし、普段行かないテーマパーク近辺で飲みに行き、その後ホテルに行こう!となりました。

ここで自己愛が毎度飲みの席でやるテンプレ行為が入ります。自分は酔うまでは絶対に飲まず、周りに「酔うまで飲むように」と勧めてくるのです。これは「相手の情報や弱みを引き出したい」という自己愛の障害の一部のようです。


本を売りに行った時、真後ろにぴったりとくっついて何を売るのか確認されそうになった事がありました。普通であればあまり気にしないのですが、目つきの気持ち悪さや、「何がいらなくなったの?何を捨てるの?」などの言動から、後に「目上さんが好きって言ってたものを捨ててましたよ!」と告げ口をされたり「もういらないんだね〜あんなに好きだったのにね!」等言われる事が目に見えましたので、離れるよう言いました。しかし頑なに離れようとしません。結局、個人情報保護の観点から店員が「お売り戴く方以外はレジから離れてください」と言ったので、ブーブー文句を垂れながら離れました。今であればこういった時に毎度「卑しいことやめな」と言えばよかったと思います。自己愛は自らを貴族だと思っているので効いたでしょう。


話を戻して、そんなわけで自己愛は自分は酔わずに人を酔わせようとします。「酔った時はおもしろいんだからさあ」としきりに言われたこともあります。いつもは自己愛のいる席ではほとんど飲まないようにしていたのですが、この日は美味しいワインの飲み放題ということもあり、私に悪巧みが浮かびました。「飲めと言うんだから、満足いくまで飲んでやれ!」。この頃もう自己愛との人間関係など、どう破綻しても構わないと思っていましたので、大いに楽しく飲みまくりました。最高に美味い酒でした。結果、私は泥酔。有益な情報を洩らす事すら不可能なレベルで泥酔し、自己愛と友人Aに担がれて数駅先のホテルまで移動する事となりました。普段は当然こんなことはしませんよ。他人の面倒を見る事など大嫌いな自己愛の機嫌がみるみる悪くなり、私が理解していないと思ってブツブツ悪態をつき続けるのが爽快でした。ちなみに悪態の内容は全て覚えており、メモをとりここに記録しています。


この時ひとつだけ自己愛に感謝した事があります。私は金回りのいい時に機嫌よく酔うと、親しい人に何か奢ってしまう悪癖がありました。いいんじゃない?と思う方もいそうですが、後から私も痛感しましたが、この悪癖は奢られた人を駄目にするばかりです。何か奢るなら、シラフの時にきちんと奢るべきです。人間の出来た人には、以前からそういった事ははっきりと断られていました。

この時も私は上機嫌で、みんなで旅行に行こう!私のカードで三人分の移動費を払うよ!と言い出しました。一人一万くらいなので、私が奢ろうとしたのは二万。微妙な額です。自己愛は大喜びで、手元が狂っている私の代わりに、私が読み上げるカード番号を入力していました。カード番号を他人に伝えるなんて本当に愚かでした。しかし幸いにも、酔いすぎていたので正しく伝える事ができませんでした。すると自己愛は血相を変えて目の前に迫り、「番号が間違ってる!早く!早く正しい番号を教えろ!」と掴みかかりながら物凄い形相で叫びました。余りの醜さにスーッと酔いが醒め、トイレに行くと席を立ちました。トイレから戻ると「このカードは止められている」と嘘をつき、酔い潰れたふりをして話を流しました。自分が良いことをしたような気持ち良さに浸って、人間をあんなに醜い感情に導いていたのかと思うと本当に反省して、それ以来この悪癖は出ていません。ぶっちぎりの醜さを晒してくれた自己愛に、今でも感謝しています。


酔い潰れてホテルに担ぎ込まれた私でしたが、入るなりさっそく自己愛は「三千円のホテルじゃこんなもんか」と言っていましたね。平日を早割で取っているからであって、本来はもっとするのですが、これ以上値が張ると自己愛は来ません。「三千円で三万円並のホテルに泊めろ」というのが自己愛の希望です。

実は友人Aの誕生日が近かったため、部屋に簡単なカードなどを用意してもらっていました。翌日のテーマパークでのお祝いが本番で、この日は寝るだけと解っていたので、予約の際に思いつきでホテルに伝え、ホテル側のサービスでつけてもらったのです。まずフロントの方が、にこやかに「お誕生日おめでとうございます」と言ってくださいました。エレベーターに向かう途中、自己愛は「おめでとうとか無駄口きくくらいなら割引しろよ。部屋まで荷物運べ」と言っていました。部屋には可愛らしく折られたミニタオルにバースデーカードが添えてありました。自己愛「いらねえゴミが置いてある」。改めてまとめると、とても人間の言動とは思えませんね。「私酒くさいからベッド使っていいよ」と言ったところ、当然!と言わんばかりにドサっとメインベッドに横になりました。後入りのおかげで一台はエキストラ用のソファーベッドになっており、私はそこを使うことになりましたが、全ての動作が予想通りで可笑しい方が先立って、この日は腹はたちませんでした。


友人Aは楽しく酔っていて何も覚えていないそうです。この時ばかりは良かった。しかし何も覚えていなすぎて、私と友人Bが自己愛を切ろう!と決めた時に友人Aは「なんで?」と言っていたので、友人A本人が望むなら、自己愛の所に(生贄になってしまうけれども)残した方がいいのか、一時期悩みました。よく解っていないままとりあえず引き離したところ、自己愛に引きずられて性格が悪くなっていた部分も改善し、元に戻ったので結果的に良かったです。変な宗教や洗脳には気をつけてほしい。

それでも自己愛の恥ずかしい言動や文句は友人Aも覚えていたそうで、この後自己愛を宿泊に誘うことは二度とありませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る