キューピットッ!

「暇部の皆さん!助けて下さい!」

「土足厳禁っ!」

「…みかん無いから今度何買う?」

「部費の残り2000円」

「私の依頼を聞いてください!」


話が成立していない空間それこそ暇部!




***




しばらくして、飛鳥はみかんを買いに飛鳥不在で依頼を聞くことに。


ちなみに依頼人の名前は中倉 由季で、1-Dらしい。


「私には彼氏がいて.......」

なんだリア充の自慢か。チッ、羨ましっ。

「それで私の彼氏、ツンデレなんですよ。」

あ、そう。それで。

「私には全然デレてくれないんです!猫被ってるんですよ。他の女子に。優しいですよ。」

中倉さんの声が部室中に響く。

ていうか、

「それって彼氏さんが嫉妬してほしいじゃないの?」


埜々ー!!お前居たのかよ。

…まっ、その考えはうちも思った。

あぁ、逆恨みされた人と同じ意見か。嫌だな。

「…嫉妬……杉野君に限ってそんなことは…。」


うちはあると思う。

まっ、一応確認に訊きにいきやすか!

「うち、用思い出したから行ってくるね。すぐ戻って来るから。」

「おう。バイバーイ」

みんなは快く見送ってくれた。

多分皆はうちが彼氏に聞き行くんだと思い快く見送ってくれたんだと思う。






うちが向かった先は1-B。

中倉由季の彼氏がいるクラス。

ちなみに彼氏の名前はえっと…杉野春樹…だっけ?まぁいっか。


そうそう、途中で飛鳥に会ってみかんを2つ貰った。



うちは1-Bの前で立っていた。

すると一人の女子生徒がうちに話し掛けた。

「私のクラスに何か用ですか?」

嫌味な言い方

「あの、杉野君居ますか?」

「あっ、杉野君ね。…杉野くーん、お客さん」

女子生徒は杉を呼んで自分の席に座った。


そうそう、教室の人からは冷たい目で見られたの。

何故かって?みかん持ってるからだよ。両手にあるからな。

そして、うちは杉野春樹にあった。


「杉っ!」

「……何…。」

杉はうちとは真逆で気合いの無いダルそうな声て言った。

うちと杉は顔見知り…兄繋がりだっけ?えっと、確か私の兄の友達の弟が杉って訳。

最近は会ってないから名前忘れてた。(嘘)


「ところで杉!君の彼女さんがうちの部活に悩み相談しに来てるよ。面倒だから連れて帰って。」

うちが少し強引にお願いすると、杉は頭の上に『はてな』をのせ言った。


「彼女?俺に彼女なんかいないぞ。」

「えっ!?い、いない!えっ!知らないの?名前は、確か…何とか由季、、、あっ!そうそう中倉由季っ!」

うちがその名前を言うと杉は苦い顔になった。

うちはどうしたのか聞いてみると、杉はうつむき、小さい声で言った。

「中倉由季は俺のストーカー。」


ふぅん。そう言うことですか。ま、知ってたけどね。


「因みに何で中倉由季は俺のストーカーになったかというと前に告白されて断ったから、、、らしい」

ん?誰かに聞いたの?中倉由季がストーカーになったこと…何か怪しくない?


「だからあの人の言うことは信じない方が良い。」

「お、おう。み、みかん食べるか?」

「食べる。」

うつむきながらみかんを食べる杉の姿に物凄く笑いそうになったけど、その気持ちを抑えて中倉由季がストーカーだって言うことををした。


『自分は逃げて仲間を生贄に…。』


人間の心理そんなもんか。うちもそうなんだ。

うちはそう思い、杉を呼んだ女子生徒を見た。


「まっ、聞きたいことがあったらの暇部をよろっ!」

うちはそういい暇部に帰った。


自分女子生徒は逃げて仲間中倉由季を生贄に…。




***




うちが部室に帰ったときにはし依頼人は帰っていた。

「どうだった?」

皆はみかんを食べながら聞いてくる。

「やっぱり中倉さんはストーカーというは合ってた。」

「へぇー、それで荒木さんは?」

荒木……あぁ、あの杉を呼んだ女子生徒か。

「杉のことをジッと見てた。荒木さんの噂も正解だと思う。」


「それじゃ杉野君の誤解を説くか、荒木さんに謝らせるか、のどっちかだよね。」


理人が言い終わると、飛鳥が手を挙げて提案する。

「私に良い案があります。」

皆は飛鳥の方を見て、小声でその案を言った。


その案はとても単純で簡単な、案だった。

でもその案は、運試しでもある案だった。

そして暇部はその案を受け入れ、準備に取り掛かった。



―次の日―

「おはよう。」

午前7時20分。

暇部の皆はほとんど目を閉じてる状態だった。

「手紙入れ……た。」

返事がない。でも、手紙を入れたと思う。


午後3時38分


部室では留守にしているという置き手紙を置いて、暇部の皆は裏庭が見れる教室みたいなところにいる。物が沢山あるから倉庫かな?


そして、裏庭をずっと見ていると一人の女子が来た。

中倉さんである。

それから中倉さんの後を追うようにすぐに昨日杉を呼んだ女子生徒(荒木)が来た。

二人はとても驚いているようだ。

それも同然だ。好きな人のストーカーが目の前にいるからだ。


ここまで作戦は成功している。

後は二人があの会話してくれれば。


「どうも、杉のストーカーさんっ。」

荒木さんがかなり嫌味な言い方で言う。中倉さんを嫌っているのが分かる。


後は良いタイミングに杉が来れば。


「杉野が来たっ!」


廊下の窓を見ていた乃愛が小声で叫ぶように言った。

タイミング良し。

この会話を聞いてくれっ!

うち達は手を合わせて、願った。


「あら、どっちがストーカーなのやら?ストーカーは貴方でしょう。」


中倉さんはさっきの荒木さんの言葉に上品に反論した。

「はぁ、アンタがストーカーって噂でしょ。」

「噂はどうせ噂。事実とは限らない。」

「でも、実際に見たって人がいるですよ。」

「ただ、後ろを歩いただけでしょ。噂が流れると余計そう感じるからね。」

と二人は反論し続ける。

「それに貴方がストーカーでしょ。一部では私に罪を擦り付ける為に自分がストーカーなのに私をストーカーだって嘘をついたって言う噂があるんだから。」


この話を物影から聞いていた杉はハッとした。もし、中倉さんの言うことが本当ならもしかしたら、中倉さんはストーカーじゃないのかも知れ無い。

心当たりはあった。荒木さんがよく自分の方を見ていることを知っていた。

その瞬間杉は自分の教室から帰ろうとした。杉はさっきの噂を知っている一部に会って話を聞こうとしている。


「杉野君が帰ろうとしてる!」

これまた乃愛が小声で皆に伝えるため叫ぶ。

そしたら皆は部室に戻る為に廊下を走る。

嬉しいことにこの上が部室だから近いが階段が反対側にある。だから、遠い。


「ハァハァ、疲れた。」

全速力で走ったからか息が荒い。

こういう時こそゆっくり慌てず深呼吸。


それから一分くらい。もう息の荒らさがなくなった時にちょうど杉が来た。


「土足厳禁!」

うち達は杉を来ることを知っていたがいつもの暇部を演じた。

杉は上履きを脱ぎ敬語で言う。

「暇部の皆さんに訊きたいことがあります。俺の噂のことについてです。」


皆は心の中でガッツポーズするが、現実では、ハテナを頭にのせ、首をかしげる。


「あの実は、風の噂で俺のストーカーが中倉さんではなく、その噂を流したクラスメイトの荒木 柚架あらきゆずかっていう人らしいですけど。それって本当ですか?」


「「「「本当だよ/だぞ。」」」」


私達は声を合わせて言う。

そう言うと、杉は驚きながらもお辞儀をして部室から出た。

あっ、上履き履き忘れて戻ってきた。

心の中のガッツポーズはまだ続いている。


飛鳥提案の作戦成功。


―次の日の放課後―


「助けて下さい!」


いつものように過ごしてたらある人が来た。

荒木柚架、だった。

その依頼内容は、

「私には彼氏がいてその彼氏が今日、何か冷たいですよ。ちなみにその彼氏は杉野春樹っていう人です。」


おう、そうか。

でも、多分それはアンタが真のストーカーってバレたからだと思う。


「最近まで嫌っていた人にはいきなり優しくなったんですよ。」


それ多分、中倉さんがストーカーじゃないってバレたからだよ。


……って、言ってやりたい!


「うぅ~。ごめんなさい。ここではその依頼は答えられない。愚痴るだけなら良いけど解決はできない。本当にごめんなさい。」

飛鳥は申し訳なさそうな顔で言うと、荒木さんは遠慮してその場から立ち去った。


「凄いね。依頼人を傷つけずに帰らせるとか凄いね。」

うちが感心すると

「それほどでも」

と照れた。


でも、杉が荒木さんのことを嫌ってるってことは作戦成功でいいのな?

良いんだよ!


……でも、荒木さんが傷付いた。

どうしよう……。




「杉、中倉さんと仲良くするのは良いけど、荒木さんにも仲良くしてあげてよ」

「えっ、何で」

杉が驚く。そりゃそうか。ストーカーだもんな。

「でも、荒木さんが嘘の噂を流したのは杉の事が好きだからでしょ。」


うちが真面目の顔で言うと、「確かに」みたいな顔だった。


―結構たった日の放課後―


「ねぇねぇ、さっき聞いたんだけど、杉野君と中倉さんと荒木さんが仲良さそうに話してたらしいよ。」

平井さんが思い出したように言うと、皆がびっくりする。

うちも正直驚いてる。杉が荒木さんを受け入れたのは分かるけど、中倉さんとまで……。


すると、暇部の部室のドアが開く。

な、中倉さん!

うちが驚くと、理人が中倉さんの前に立ち、あることをきいた。

「中倉さんって今日荒木さんと話した?」

理人のメンタルスゲー!

「それをこれから話そうとしているですよ。」

中倉さんが上履きを脱ぎ上履きを棚に入れる。


「実は、あの裏庭で荒木さんと話した時から荒木さんの事が少し気掛かりだったのです。私も杉同様、荒木さんの事を避けてたんですけどさすがに可哀想に思えてきて、、、そして杉と荒木さんが話しているのを見て、それでこれから荒木さんの事を「ストーカー」から「恋敵こいがたき」って考えるようになりました。恋する乙女は挫けませんから!!」


成程。カンバレー。

うちがそう思ってると、どうやらこの報告だけだったらしく、そのまま帰っていった。


キューピット・完


暇部活動報告書

ストーカーだと思われていた中倉さんはストーカーじゃないこと杉が気付き、ストーカーだとハブかれていた中倉さんはやっと皆の輪に入れた。

逆に荒木さんはストーカーだと皆からハブかれた。

が、杉の提案?で結局荒木さんも皆の輪に入れた。

ハッピーエンドだね。


飛鳥が提案した作戦


ラブレターとかで裏庭に三人を行かせる。

でも、荒木さんと中倉さんが最初に来てストーカーに関する話をしてもらう、後から杉野君を来させる。その会話を杉野君が聞いて、「中倉さんがストーカーではない」みたいな関連していることを言ってくれたら、杉野君は本当にそうなのか?と考えて情報通の暇部に来る。

それで、「中倉さんはストーカーではないのか?」って聞いたら「中倉さんはストーカじゃない」って言うっていう作戦。


次回・幽霊っ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

暇部っ! 山田太朗 @fuyayu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ