Story:3

電車の中ではずっとスマホでゲームにいそしんでいた。べつにハマってるとかそーいうんじゃないけど、なんとなく、暇だから。小6からスマホは持ってたけど、高校入試が終わったあとに新しくしたからまだそんなに傷はない。ときどき、画面がバッキバキの人がいるけど、あれってどうなんだろう。なんにもカバーとかしてないとあーなっちゃうものなの?わたしも何度か落としたことあるけど、ちょっと高めの保護シールを貼っているからなのか、画面には傷1つつかなかった。

前の席の男子はやっぱり、わたしが降りる1つ前の駅である黒羽で降りた。彼はわりと律儀な性格のようで、降りる前にわたしにぺこっと軽くお辞儀してから降りていった。朝の30分ほど向かい合っていただけだけど、感じの悪い人ではないな、となんとなく思った。

高校の最寄りの赤羽の駅に着くと、ほとんどの人が降りた。ゲームに飽きて、ちょっと眠くなっていたわたしは、慌てて定期を出して電車から降りた。赤羽駅は穂灘鐵道の駅では1番大きい駅である。JR線も通っているし、もう二本、ローカル線も通っている。改札を抜け、駅の外に出て、高校への道を歩いていく。一緒に高校まで行くような知り合いは同じ電車にはいなかったし、駅から高校へ行くのも入試の点数開示以来2度目だったから、同じ制服を着た人の波に置いていかれないよう必死でついていった。


今日の天気は晴れ。朝、母親がぽっけに入れたアセロラのアメを歩きながら口に放り込んだ。

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