Story:2

電車(レールバスって響き、ちょっと長いしなんかダサいから電車って言っとくの。)に乗るとわたしは空いている席を探す。ローカル線、と言えば聞こえはいいが、ここは別に、旅行番組で紹介されるような自然の美しい里山などではないから、まぁ、簡単に言うと田舎鉄道だ。だから朝の通勤通学の時間帯でも車両は2両しかない。そういえば、何年か前に穂灘鐵道が廃線になるとかいう噂もちらほらあったなぁ...。

そんなだから、空いている席はすぐに見つかった。1両目、ボックス席の、進行方向を向いて座る席。向かいに高校生が1人いたけど、特に気にせず座った。

前の席に座る男子は詰襟の学生服を着ていた。わたしがこれから通う赤羽高校(いや、だからあかじゃないの。あかなの。なんであっちもこっちもこう読みにくいかなぁ。)の制服も、男子は詰襟である。が、前の席の男子はおそらく赤羽の生徒ではないだろう。制服の襟についた校章が、わたしの胸についているものとは違う。赤羽の近くにある黒羽高校(残念ながら、こっちはくろではなく、くろだからややこしい。)のものだ。学年章はわたしと同じ、英数字の1が描かれたものがついているからきっと同級生だろう。その男子高校生は窓の外を見ていたが、わたしのほうをチラッと見ると軽く会釈した。わたしも同じように会釈を返した。

なんだか気まずかった。

これから毎日この電車で会うのかな。なんてぼんやりと考えいるうちに、いつの間にか電車は動き出していた。

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