第10話 エルフの奴隷と出会いの旅(後篇)

 ここは宿場町を出て、街道沿いを少し離れた高台の頂上。

 瑛斗一行は遅い朝食ブランチを済ませて手早く荷物をまとめると、作戦会議をするために「レイシャと出会った森」を一望できる場所へと来ていた。

 行うべき探索クエストはただひとつ。件の奴隷商人らに囚われている奴隷たちを、全員解放する事だ。

 そのためには地形の把握と、奴隷たちの居場所を確認する必要があった。


「あれ、レイシャのけやき」

「ふぅん、あのちょっと成長の悪い欅に縛られてたのね?」

「みんないる、あのかえで」

「あの少し森の切れ目がある楓の所に、他の奴隷たちはいるのね?」


 レイシャはこくりと頷いた。

 瑛斗にはさっぱり理解できないが、一目見てすぐに理解し合えるのは、さすが森の民のエルフ族というべきか。アーデライードは「マッピングは久しぶりね」などと言いつつ、レイシャの説明を次々に自作の地図へと落とし込んでゆく。


「エイトったら、あんな朝早くに、あんな遠いところまで行ったの?」

「うーん、そういうことになるのかな」


 森の奥から聞こえてきた幼女の歌声に誘われてあそこまで行ったんだ、とはなかなか言い出しにくい。説明を求められると返答に窮してしまう所であったが、アーデライードは特に追求することなく、少し呆れ顔になっただけで済んだ。

 今、この高台で敵情視察をするキッカケとなったのは、レイシャだった。食事中に「さてどうするか」と話し合っていた際に「レイシャ、あんないする」とレイシャ自らが言い出したのだ。

 そうなるとレイシャを連れて歩くことになるが、かと言って宿に一人置いて行くわけにもいかない。だから「レイシャが安全な作戦を立てて動こう」ということになった。

 レイシャは無口だが、頭のいい子だった。自分が連れ去られていった道のりや、奴隷たち共々閉じ込められていた小屋の位置を、明確に覚えているのみならず。奴隷たちの人数、馬車の数、奴隷商人の数、奴隷たちを取りまとめる中心となりそうな者までをも記憶していたのだ。

 古今東西、作戦の実行に最も重要なもの。それは詳細な情報だ。レイシャからもたらされた情報は、何よりも心強い手助けとなるだろう。

 高台にて綿密な打ち合わせをしている最中に、アーデライードが「ふふっ」と笑った。


「どうしたの?」

「いやね、大したことじゃないのだけれど」


 と前置きしつつも、湧き出してくる笑いを堪えられない様だ。


「最初はね、十日もしない内に二回も面倒事に巻き込まれるなんて、って思ったわけ」

「うん、ごめん。アデリィ」

「でも思い出したわ……」


 何処か懐かしそうな、ほんのりと嬉しそうな、そんな顔をした。


「私がゴトーと旅をしていた時も、全くおんなじだったじゃないって!」


 アーデライードは今朝までの不機嫌な顔から一転して、晴れ晴れとした笑顔を見せた。

 自分の不用意な行動を、心に刺さった棘のように感じていた瑛斗としては、彼女の朝顔の様な笑顔はとてもありがたい。


「さぁて、ちゃっちゃと準備を始めちゃいますか!」


 アーデライードはそう言うと意識を集中して、精霊語魔法サイレントスピリットを唱え始めた。


「ウィンドボイス」


 風の精霊を操り、遠くの音や声を聞く他に、遠く離れた者へと声を届ける魔法である。アーデライードの魔力と集中力は素晴らしく、簡単な会話までも可能だ。


「ん……いいわよ、エイト」

「聞こえるか?」


 瑛斗は尋ねた。アーデライードの風が運ぶ先の、見知らぬ者へ。


「……誰だ?」


 短く答えた声の主は男。音質そのものは「糸電話のようだな」と思った。だがそれでも男の声は太く低く、強そうな意志の持ち主と感じさせた。

 瑛斗は打ち合わせ通りそのままに、風の運ぶ先の者へ問いかける。


「俺は汝に問う。永久の束縛を望む者か。それとも自由を求む者か」


 精霊を介する会話は距離による時差がある。瑛斗はじっと返答を待つ。


「無論、自由」


 思いの外、早い。これは即答だったということだろう。

 瑛斗は今から未来にかけて起こすべきことを、男に説明した。

 こうして瑛斗たちの作戦は、開始された。



「で?」


 アーデライードの質問は、相変わらず「で?」から始まる。

 この問いに関しては、放っておけば自分から内容を切り出す。瑛斗が暫く待っていると、案の定アーデライードは質問を続けた。


「詳しい経緯までは聞いてないんだけど?」


 裏山の稜線を歩きながら、ざっくりとした経緯を説明する。

 森の中にて朝の習練中に、レイシャと出会ったこと。

 レイシャを浚った昨夜の奴隷商人が現れ、彼らに交渉を持ちかけたこと。

 その際に、武門貴族の三男坊・エリアスという偽名を名乗ったこと。


「そんな偽名、よく咄嗟に出てきたわね」

「俺の本名を奴らなんかに知られたくなかったからさ」

「いや、そうじゃなくって、『エリアス』だなんて名前の方よ」

「そういえばそうだね」


 アーデライードは「それをあなたが言う?」という顔でこちらを見ている。

 だが、彼女がそう思うのも無理はない。何故この名前がするりと出てきたのか、誰の名前だったのか。瑛斗はまるで覚えていなかったのだから。

 これに関してただ一つだけ瑛斗が覚えているのは、


「男性だったらエリアス、女性だったらエリノア……」


 そんな話をどこかで耳にしたことがあったことだ。だからエリアスは、男性名で間違いないだろう、と自信を持っていた。

 まだ幼かった頃だろうか。恐らくは爺ちゃんの昔話で聞いたのだと思う。こんな話をするのは、爺ちゃん以外に心当たりがない。しかし随分と遠い昔の記憶なので、その辺りの詳細までは曖昧で覚えていなかった。


「うーん、なんだったっけなぁ……」

「ま、思い出したらでいいわよ、エリアス」


 早速、アーデライードに茶化された。油断も隙もないハイエルフである。一方のダークエルフはと言えば、二人の後を何も言わずにちょこちょこと付いてくる。


「レイシャ、疲れてない?」


 瑛斗はレイシャを気遣った。なにせ瑛斗やアーデライードとは、彼女レイシャと比べて身長差が大きい。当然、歩幅も大分違うため、瑛斗の二歩がレイシャの三歩というところだ。

 しかしレイシャは健気にぶんぶんと首を横に振る。仮眠をとったとはいえ、一晩中戸外の木の幹に繋がれていたのだ。疲れていないはずはないのだが……

 此処から先は決して安全な場所とは言えない。危険が伴う可能性がある場所へ、レイシャを連れて行くことになる。できれば万全の態勢で臨みたい。

 大前提として「レイシャが安全な作戦を立てて動こう」と決めたものの、何処が一番安全か。そう問われれば、やはりアーデライードと共に行動させることだ。

 彼女は腐っても六英雄――とは口に出して言えないが、世界屈指の「高位精霊使いシャーマンロード」であることは間違いないのだ。


「もう一つ、万が一の保険をかけておきましょうか」


 とアーデライードはそう言うと、腰に付けたポシェットの中身を手探って一本のベルトの様なものを取り出した。黒と銀を基調とした装飾といい、見るからに高価な魔法の宝物マジックアイテムのようである。


「これあげるわ。私いらないし」


 このベルトのような装飾品は、名を「黒き精霊の腕輪」という。曰くアーデライードが知り得る限り、最悪の精霊が召喚される物品アイテムだ、とのことだった。


「危険じゃないのか?」

「もちろんよ。装着者を護るための道具なんだから」


 アーデライードは「もしかしたらだけど」と前置きをした上で「レイシャとは相性がいいかも知れない」と付け加えた。

 瑛斗が「いいかい?」と問うと、レイシャは素直にこくりと頷く。「それでは」と試しに腕へ付けようとするも、レイシャの腕が細過ぎてスルリと抜け落ちてしまった。


「あら……やっぱりそうよね。だって私もブカブカだもの」


 そういうことは、早く言って欲しい。

 レイシャは黙って抜け落ちた腕輪を拾い上げた。その腕輪を掌に乗せてじっと何かを考えるようにしていたが、おもむろに輪を広げると首にパチンと巻き付けてしまった。


「……ぴったり」


 確かにレイシャの言う通り、ぴったりだけど首輪というのは如何なものか。現実世界ならば、アクセサリーとして悪くなさそうではあるのだけれど。

 折角、奴隷の首輪を外したばかりなのに、それがまた逆戻りになったようで、瑛斗としては複雑な心境である。そんな瑛斗を尻目にして、レイシャはすっかり気に入ったようで「これでいい」という。彼女の無表情な顔はあまり変わらないが、何処か少し嬉しそうにも見えなくもない。


「ううん、本人がよしとするなら、まぁ、よしとしようか」


 二人のやり取りにまるで興味が無かったのか、きょろきょろと周囲を見渡していたアーデライードが、とある崖の突端を指差した。


「あの突き出た所が良いわね。あそこなら存分に腕を揮えそう」


 と、舌舐めずりでもしそうな程、愉しげに微笑んだ。どうやら久しぶりにやる気満々に張り切っているようだが、瑛斗は相手の無事を祈らずにいられない。

 さて、これで準備は整った。あとは夕刻を待つのみである。



 夕刻――件の森の中。

 早朝の朝霧に包まれた静けさと違い、黄昏に浮き沈みする暗がりが所々に点在する夕闇の森には、朝とは別の意味で気味の悪さが存在する。

 そんな森の奥深くへと瑛斗は一人、足を踏み入れていた。レイシャを拘束していた欅の木はとうに過ぎた。その更に奥、闇の色濃い森の中。そこで瑛斗は大声を上げた。


「おい! 奴隷商人ども、いるのだろう? 出てこい!」


 木の陰から、ひとり……ふたり……朝に出会った例の奴隷商人の男たちが、徐々に姿を現し始める。最後の一人、あの大男・ガストンが姿を見せると、男たちは足を止めた。


「旦那ぁ。本当に金貨百枚、持ってきたんでしょうなぁ?」

「当然だ」

「どうもそいつを拝ませて貰えませんかねぇ?」

「まずは奴隷を見せて貰おう。気に入った者がいなければ交渉はできん」


 ガストンは舌打ちをすると、顎でなにやら指示を出した。すると木の陰から奴隷商人の男たちがバラバラと現れ、瑛斗の周りを取り囲み始めた。

 瑛斗はすぐさま目視で数を確認する。その数、十二名。数で押せば、瑛斗の片手半剣バスタードソードを抑えられると踏んだか。


「そう簡単にアジトへご案内するわけにゃいかんのですよ、旦那ァ!」


 ガストンが指を鳴らすと、ナイフを手に手に奴隷商人たちの表情が豹変する。


「アンタ、一人で来たなァ? 貴族のボンボンが部下もつけずにこんな所へ一人で来ちゃいけませんぜ。なァ? ありえねェ話だ……なァ?」


 瑛斗の正体を、さも見破っているぞと言わんばかりの態度である。周囲の奴隷商人の部下たちは、親方ガストンの言い様に「おうよ、おうよ」とニヤつきながら頷いている。


「ウソはダメだ、ウソはいけねぇよ……エリアスさんよぉ……」


 多勢を味方に余裕が出たのか。ガストンはおもむろに懐から出した金貨を、くるくると転がして弄び始めた。瑛斗の渡した金貨だろうか。


「これっぽっちのカネで俺らを騙そうったって、そうはいかねぇ!」


 厳つい掌で上手に踊る金貨を見て、器用なもんだと感心する。だが瑛斗としてもその方がありがたい。何しろ金貨を取り戻すチャンスができたのだから。


「さてはてめぇ、王国の回し者かギルドの冒険者か……俺らの仕事を知られた以上、生かして帰すわけにはいかねぇ!」


 ガストンの恫喝を合図に、奴隷商人らは次々に脅しの言葉を吐いた。


「身包み全部、置いていきやがれ!」

「生かしておいてやらねぇことはねぇぜぇ?」

「ただし奴隷としてなぁ!」


 下衆な笑みを浮かべつつ、瑛斗を取り囲み間合いを詰めてゆく。


「そう来ると思っていた」


 瑛斗は奴隷商人ヤツらの脅しを浴びようとも、至極当然のように受け止め落ち着いていた。この状況、まさしく想定通り。慌てる必要など微塵もない。

 なにしろ当の瑛斗は、自分の演技力などはなっから信用していない。


 顔を伏せ、男たちの間合いとタイミングだけに気を配り、極限まで集中する。

 再び顔を上げた時、挑戦的な瞳に猛々しい炎を宿して、瑛斗は呟く。


「これで俺も心置きなく、騙し討ちできる」

「おう、てめぇら! やっちまえッ!!」


 ガストンが親指で金貨を「キンッ」と音を立て上へ弾き出した、その時である。

 地鳴りを轟かせ、大地を突き上げる激しい大地震が巻き起こった。それは事前に打合わせた通りの精確さであった。


「うわわぁ!」


 悪漢どもが、悲鳴を上げる。

 大地の上位精霊を使役して、大地を揺り動かす高位精霊魔法・アースシェイカー。半径五十メートル程度の極少局地的大地震。

 瑛斗は行動を起こすその前に、ちらりと昼に確認した崖の方向を仰ぎ見た。


 夜風を避ける旅装のマントを翻し、崖の上に浮かび上がるは孤高の鷹の如きシルエット。宵の明星を背にして立つ影は、誉れ高きハイエルフ・アーデライードである。


「うおっ、うおおぅ?」


 大揺れに揺れる大地の上で、ガストンは自ら指で弾いた金貨を取り落し、尻餅をついた。

 瑛斗は大男の掌より零れ落ちた金貨から、一瞬たりとも目を離さない。揺れる大地をものともせずに、猛然と滑り込んスライディングで金貨を掠め取る。

 そうしてすっくと立ち上がり、落ち葉と泥を払って傲然と言い放つ。


「そうか。要らないのなら返して貰うぞ」


 金貨を指で弾いて空中キャッチすると、踵を返して疾風のように走り去った。ガストンがやって見せたように、瑛斗も同じことを見せつけてやったのだ。

 あっという間の出来事に、言われ放題やられ放題の大男ガストンは、色を失い声すら出ない。そんな彼の部下共といえば、微塵の余裕も失なって唯々慌てふためき、悲鳴を上げてへっぴり腰で逃げ惑うばかりである。

 その様子を振り返ることなく、瑛斗は森の中を風のように駆けに駆ける。

 走る瑛斗の前方に、光の精霊「ウィル・オ・ウィスプ」が出現した。アーデライードの道案内である。光の玉を追うように、瑛斗は森の中を一気に駆け抜けてゆく。

 程なくすると、森の奥から大地を再び揺るがすような唸り声が聞こえてきた。


「ウオーッ、オーッ、オオオオオオオオオーッ!」


 今まさに瑛斗が向う、その先からの雄叫びである。

 程なく大きなうまやのような二棟建ての宿舎が見え始めた。雄叫びはその中から聞こえてくる。レイシャの言っていた通り、宿舎の横には一本の大きな楓が立っていた。

 瑛斗は素早く手前の宿舎へ背を付けて中の様子を窺うと、三人の男がカードゲームを楽しんでいるようだ。レイシャの情報によると奴隷商人の数は十五人。これで全てだ。


「ちくしょう! 奴隷共がまた騒いでやがる……」

「うるせぇなぁ。昼間ッから続けて何回目だってんだ」

「森ン中、誰も来やしねぇってぇのによ。バカな連中め!」


 この騒ぎはウィンドボイスにより、囚われの人々に指示をした作戦通りである。


『これより何度か雄叫びを上げて騒ぎを起こせ』

『夕刻、ゆらゆらと揺れる光が見えた時、それが最後の合図だ』


 ゆらゆらと揺れる光とは、アーデライードが放った「ウィル・オ・ウィスプ」のことである。道案内と共に、瑛斗の来訪を知らせるためでもあった。

 奴隷たちの雄叫びにすっかり慣れ切ってしまった見張り達は、油断しきって見向きもしない。むしろ耳を塞いでカードゲームに熱中しようとしているようだ。

 瑛斗は雄叫びの騒音に乗じて、こっそりと出入り口の柱にかかった鍵束を盗み出す。それを持ってもう一方の宿舎へと駆け込むと、中は鉄の柵が並ぶ牢屋となっていた。


「この中の統率者リーダーは誰だ!」


 瑛斗は雄叫びの声に負けぬ声を張り問うと、牢の中から太い腕が突き出した。


「オレだ! その声、昼間の男だな!」


 低く力強く、意志の強そうな声。間違いなくウィンドボイスにより会話をした男の声だった。彼こそがレイシャの言う、奴隷たちを取りまとめる中心となりそうな者である。


「受け取れ! 皆を解放しろ!」


 瑛斗がその男へ向かい鍵束を投げると、瑛斗は身の丈ほどある愛用の片手半剣バスタードソードを抜き放つ。そうして出入り口を護るように固めていると、程なくそこここの牢が解放され始めた。


「待たせた、オレも、闘う」


 そう言って瑛斗の隣へ歩み出たのは、先程牢から腕を突きだした大男。身の丈は二メートル近い偉丈夫である。筋骨隆々、堂々たる体格の彼の身体には、そこかしこに酷い暴行の跡が見受けられた。恐らく相応の激痛に見舞われているに違いない。だが彼はそんな素振りなど微塵も見せぬ。背を伸ばし胸を張って瑛斗の隣に並ぶ。

 二人は一切視線を交わさず、目の前の状況に集中する。今ここで奴隷商人たちに襲われれば、むざむざ囚われの者たちを殺されることになりかねないからだ。


「オレ、南方連合サプ族の百人隊長。敵の罠に嵌り、囚われていた」

「俺の名前は瑛斗」

「エイト……オレは、クォック・ヴァン・サプ」


 サプと名乗った大男とそう会話を交わした直後だ。

 森の奥から巨体を揺らして走るガストンら、置き去りにした奴隷商人たちの姿が見えた。瑛斗の後を追ってきたのだろう。


「見張りの大馬鹿野郎ども、何してやがる!! 奴隷共が逃げるぞ!!」


 雄叫びにも負けぬ怒鳴り声でガストンが叫ぶと、見張り三人が姿を現した。


「何だ、クソッ! 何時の間に……この泥棒野郎!」


 奴隷商人に泥棒扱いされるとは、瑛斗としては甚だ心外である。


「チクショウ、てめぇが奴隷たちを……うわぁぁっ!!」


 見張りの男たちがナイフを抜こうとした直前に、飛び出してきた数人の奴隷たちに襲い掛かられて転倒する。皆が自由を求めて決死の反抗を開始したのだ。

 瑛斗の隣に仁王立ちしていたサプが、腹の底から響くような声で指示を下す。


「動ける者は武器を持って闘え! 自由はすぐ目の前にある!!」

「オオオオオオーッ!!」


 さすが百人隊長と言ったところか。囚われていた者たちの士気が一瞬にして上がった。


「エイト、馬車の中も囚われた者、いる。オレ、アイツをやる!」


 サプはそう言い残して飛び出すと、雄叫びを上げて突進しガストンへ組み付いた。


「うぉっ、なんだてめぇ! くそっ!」


 巨漢同士の激突に、肉と肉が激しくぶつかり合う音が響く。二人は揉み合いながら、木々茂る緩やかな斜面を転がり落ちていった。サプのことが心配ではあるが、瑛斗は瑛斗で託されたことを済まさねばならない。

 見張りたちがいた宿舎の裏手へ回り込むと、四頭立ての大型馬車が二台。売られてゆく寸前だったのだろうか。ホロを捲ると少年少女たち数人がその中に乗せられていた。


「奥の方へ下がっていろ!」


 瑛斗はそう叫ぶと、牢の錠を目掛けて片手半剣バッソを激しく撃ち下ろす。

 甲高い金属音と火花を上げて、数度目かの打撃で錠はひしゃげて落ちた。


「逃げろ! 宿舎内の大人たちへ続け!」


 そうして二台の馬車の中から、子供たちは無事に逃がした。

 次にすべきはサプの加勢だ。瑛斗は二人が揉み合って落ちていった斜面へ向け、森の中を猛スピードで駆け出した。

 数十歩踏み込んだ頃のことだ。いきなり足元の落ち葉が音を立てて舞い上がる。


「……しまった!」


 そう思った時はもう遅い。瑛斗は荒縄ロープに足元を掬われて、背の高い樹木の枝先へと宙吊りにされてしまった。括り罠である。


「しめた! かかったぞ!」

「おい、槍か弓を持ってこい!!」


 何度か片手半剣バッソを打ちつけてみるも、ゆらゆらと揺れるばかりで断ち切れる様子はない。そもそも打撃武器の西洋剣に、荒縄ロープを断ち切るような鋭利さはなかった。


 その様子を崖上から逐一窺っていた者がいる。アーデライードである。


「チッ、よくもエイトを……やってくれるじゃない!」


 焦る気持ちを押さえつつ、冷静に精霊語魔法サイレントスピリットを詠唱し始めた。

 普段、アーデライードは瑛斗の冒険を見守る立場として、自らの魔法による援助を必要最小限にとどめている。しかし今宵は多勢に無勢。少々多めに介入させてもらおうか。


「風よ斬り裂け……」


 アーデライードの唱えるは風の精霊語魔法・ウィンドカッター。風の精霊を使役して、鋭い鎌鼬カマイタチを生み出すと、狙った対象を切り刻むことができる魔法である。

 これで瑛斗を拘束する罠の荒縄ロープを切断することができるだろう。

 だが突然起きた予想外の出来事に、アーデライードの詠唱と集中力は途中で途切れた。


「え、ちょ、と……レ、レイシャ!?」


 アーデライードが呪文を唱え終わる前に、レイシャが崖下へと身を躍らせたのだ。

 百戦錬磨のアーデライードも、これには驚きを隠せない。何しろ先程までじっと大人しくして言葉一つ発さず、身動き一つしなかったレイシャ。それが急斜面の土崖を、あれよあれよという間に駆け降り始めたのだから。

 人里離れた険峻な山岳の森に集落を持つ部族の出身だったのだろうか。華奢な身体のどこにこんなバネが隠されているのかと思われるほど。足場の少ない崖を自由に跳ね回り、軽快に身をこなして駆け下りる姿は、まるで小鹿の様だ。

 あっという間に大地へと降り立ったレイシャは、森の中を風の様に駆け抜けながら、何やら呟き始めた。


「あれはまさか……古代語魔法ハイエンシェントォッ?!」


 アーデライードが驚くのは無理もない。まだ十歳に満たない幼女から朗々と紡ぎ出されるは、魔術師ソーサラー古代語魔法ハイエンシェント。しかもアーデライードが知りうる限り、この呪文は中級魔法。才能のない魔術師では、一生かかっても習得できない者もいるレベルの魔法である。

 レイシャの小さな体から沸々と湧き出した魔力オドの気。これが魔法の源だ。

 その膨大な魔力オドの気が、レイシャの伸ばした小さな掌に集まり始める。やがて呪文詠唱の終了と共に魔力が一気に収縮すると、見る間に爆炎渦巻く火球となった。


「ふぁいあ・ぼーる」


「うっ、嘘でしょ? しかも魔法杖ワンド無しだなんて無茶よ!!」


 アーデライードの悪い予感は的中した。

 魔法の強力さに比してコントロールが定まっていない。魔法は通常、魔法杖ワンド魔力オドの気を操作しながら練り上げるものだ。

 巨大な火球ファイアボールが瑛斗に迫る。このままでは瑛斗ごと焼きつくしてしまうだろう。


「んっ……!」


 魔力オドを抑え込もうとレイシャが必死に操作すると、寸でのところで上方へ逸れた。直撃は免れたものの、瑛斗の直上で火球が炸裂する。それでも威力は尋常ではない。


 ドッ……ドドォン……ッ!


 轟音と爆炎を伴って、天を焦がさんばかりの火柱が上がった。

 瑛斗を拘束する罠の仕掛けられた樹木が、一本丸ごと炎を上げて激しく燃え上がる。


「……んっ、これは?」


 瑛斗が気付くと、いつの間にか周囲を大きな水球がすっぽりと包んでいた。不思議なことに呼吸ができるどころか、水に濡れることすらない。


「ウォーター・リフレクション」


 アーデライードの水の精霊語魔法である。火の攻撃による耐久レジストを上げ、対象を損傷ダメージから高い効果で守る。


「ふ、は……間に合った……」


 崖の上のアーデライードは、へなへなと力なく腰を突く。

 瑛斗を包まんとしていた炎と高熱は、アーデライードの作り出した水球に反射して、跳ね返されてゆく。その一方で瑛斗を拘束していた荒縄ロープが炎に炙られ焼き切れた。

 落下の衝撃に備えて首を内側へ入れ、受け身が取れるよう体制を整えたが、上手く足から落ちることができた。着地してすぐさま足の荒縄ロープを解くと、レイシャへと走る。


「レイシャ!」


 瑛斗が声を掛けても、レイシャからの返事はなかった。

 きっと必死の行動だったのだろう。額に大粒の汗を浮かばせて、肩で荒い息をする。

 華奢な身体は小刻みに震え、固まってしまったように動かない。視線定まらぬ見開いた両目には、今にも零れ落ちそうなほどに涙が溜まっていた。

 駆け寄った瑛斗は、レイシャの正面に膝を立てて座る。そして優しく肩をさすると、小さな魔法使いソーサラーはようやく声を発した。


「エート……しんじゃ、やだ……」

「大丈夫、俺は死なないよ」


 瑛斗は少し煤けた顔で笑いかけて、レイシャへと向けた。

 するとレイシャはヨロヨロと力なく手を伸ばし、瑛斗に抱き着いてきた。そっと迎え入れて、慈しむように頭を撫でてやる。


「ありがとうレイシャ。あとでアデリィにもお礼を言おうな」


 瑛斗がそう声を掛けると、震える身体を抑える様にレイシャはこくりと頷いた。

 煌々と赤く燃える炎の中、抱き合う二人のシルエットが浮かび上がっていた。



 そうしている間に、決着は着いたようだ。

 突如、轟々と音を立てて噴き上がった猛焔を見て、奴隷商人たちの戦意は消失した。この短時間に、大地震に続いて大火事まで目にしては、精神的に持たぬのだろう。

 恐怖に駆られた奴隷商人たちは、砂の城が瓦解するようにばらばらと逃げ出してゆく。


「バッ、バカヤロウ、俺を置いていくんじゃねぇ……うひぇあぁ……」


 情けない声を上げ、大きな背中を丸めて逃げてゆく男はガストンだった。顔がボコボコに腫れ上がっている様子を見るに、サプにこっ酷くやられたものと見える。

 瑛斗は必死にしがみ付いて離さないレイシャを抱きかかえると、牢のある宿舎へと向かう。そこではサプを始めとした囚われの人々が、瑛斗の帰還を待っていた。

 解放の勝利に喜びを分かち合う、元奴隷たちの歓喜の輪が瑛斗を出迎えた。



 翌早朝、街道上交易の交差点クロスロードに瑛斗らはいた。

 瑛斗たちはここから東の終着地へ。サプたちは南の国境を目指すことになる。


 昨日夕刻。戦いが終わり、奴隷解放後のこと。

 奴隷商人たちの宿舎を探ると、幾ばくかの硬貨がみつかった。これらは売上金か上納金か。囚われていた者全員で平等に分配すると、それぞれが国元へと帰る路銀として充足し得る額であった。丸ごと残されていた大型の馬車二台も、きっと帰国のいい足となろう。これらは充分な戦利品と言えた。

 他にも売買先の帳簿リストらしき手帳が出てきたが、どうやら暗号化されているようである。


「面白そうね、これは私が頂くわ」


 そう言うとアーデライードがさっさと持ち出してしまった。活字中毒の彼女の事だ。きっとクロスワードパズルでも解く様なつもりで、解読してしまう気だろう。


 今回解放した南方民族は二十数名。集団で目立ぬように、四人から六人の小隊パーティに分かれて、帰郷を目指すことになった。そうして三三五五の解散となったが、サプら十数名の者たちだけが残って、瑛斗らと今ここにいる。

 彼らはサプを中心とした部隊の、生き残った兵士たちだった。


「オレ、恩を忘れない。決して」


 サプが非常に真摯な態度で瑛斗に言った。


「いや、俺はなにもしていない。キッカケでしかないんだ」


 事実、今回の騒乱の中、瑛斗が戦いで剣を振るうことがなかった。囚われた人々の自由への意志が、この結果を招いたに過ぎない。瑛斗はそう考えている。


「だがエイトの行動がオレたち……助けた。間違いない」


 サプはもどかしそうに「上手く言えん」と呟いた。


「オレ、まだ共通語コモン下手だ。すまない」

「かまわないよ。気持ちは十分に伝わっているから」


 瑛斗はそう言って微笑みながら答えた。


「エイトは恩人だ。何かあれば、オレたち必ず駆けつける」


 サプとその仲間たちが、瑛斗と同じくらいの笑みを返した。


 もう一つ、サプたちはある約束を交わしてくれた。それは旅の途中でレイシャを心当たりのあるダークエルフの集落へ連れていくことだ。

 一般的に「北のエルフ、南のダークエルフ」と呼ばれているらしい。南方の地には比較的ダークエルフの住まう森が多いためだ。諸説あるが、北方の聖なる森グラスベルを追放されて辿り着いた地が、南方だったためだとも言われている。

 レイシャと別れることはとても寂しいことだった。だが彼女は同じ仲間の環境下で育つべきじゃないか。それが一晩かけてアーデライードと話し合った結果である。

 当のレイシャはといえば、会話の輪から外れひとり俯いて立っていた。


「さよならはいいの? エイト」


 アーデライードが珍しく瑛斗を気遣った。

 いや、正確にはずっと瑛斗を気遣い続けているのだが、彼女が言葉にするのは非常に珍しい。なかなか素直になれないお年頃のハイエルフなのだ。


「さよならは言わない。永遠の別れじゃないからね」


 瑛斗の言葉にサプは感銘を受けたようだ。「なるほど」と呟くと力強くこう言った。


「ではエイト、また会おう。約束だ」

「うん、きっとまた会おう!」


 サプとガッチリと握手をした。彼の手は大きくガッチリとして、頼もしい手だった。

 そうしてサプはレイシャを連れて、南の地へと散っていった。



「……なーんか臭うわね」


 交易の交差点クロスロードを東へ歩き始めて小一時間。

 アーデライードが街道沿いの森の中を眺めながらそう呟く。かと思えば突如早歩きに切り替えた。何か考えがあってのことか。瑛斗も遅れぬよう早足で彼女を追い掛けた。

 そうして暫くすると、指をタクトのように揮った。きっと何らかの精霊語魔法を使ったのだろう。すると、森の中からころころりんと転げて何かが飛び出した。


「アリャリャッ、レイシャ!?」


 ダークエルフの少女・レイシャだった。ついて来てしまったのだろうか。


「どうしたのさ、レイシャ。サプたちは?」


 黙ってこちらへ来てしまっては、剛直なサプの事だ。責任を感じてレイシャを探し回っていることだろう。


「へーき。ちゃんとゆった」


 よくよくレイシャから聞き出すに「えーとのとこ、いく」とだけ言い残し、突然森の中へ飛び込んだらしい。森の中でエルフ族を探し出すのは、至難の業である。サプたちが探すのを諦めていてくれればいいのだが、と祈らずにいられない。


「でもね、レイシャ。この先の旅はもうちょっとあるんだよ?」

「レイシャ、なにもたべない。がまん」

「いや、そんなことしなくていいけどさ……」

「おしっこも、がまん?」

「だから我慢しなくていいってば……」


 そこで瑛斗はふと気が付いた。いつも無口で殆ど喋らないレイシャが、割と饒舌に話しかけてきている事に。もしかしたら、それだけ必死に訴えかけているのではないだろうか。


「レイシャ、エートのどれい。だからエートのもの」


 突然、レイシャが妙な事を口走った。


「もう奴隷じゃない。だから奴隷なんて言っちゃダメだよ」

「わかった。レイシャいわない。エートのゆうこと、きく」


 やはりレイシャは必死だった。必死に瑛斗たちについて行きたいと言っているのだ。


「エートのゆうこと、なんでもきく。なんでもする。だから……」


 レイシャの顔が、見る間に泣き顔でくしゃくしゃに歪んでいく。

 何が起ころうとずっと泣くことのなかったレイシャが、ここにきて遂にボロボロと大粒の涙を零し始めた。


「ほらレイシャ、鼻水拭いて」

「ん、うび」


 瑛斗はポケットティッシュを取り出すと、レイシャの鼻を拭いてやる。

 鼻を真っ赤にしたレイシャは、瑛斗の目を覗き込むように首をちょんと傾げて「……ほんとだよ?」と不安げにいう。

 こうなるともう一緒に連れて行ってやりたいものだがどうしたものか。実はその最難関は、瑛斗の後ろに立っているハイエルフである。


「私たちエルフ族は森の種族だけど、よくもまぁ、この私の目を欺いたものね。殆ど気配を感じなかったわ」


 アーデライードは呆れたように言うと、瑛斗を指で呼び寄せた。


「なに、アデリィ」

「ちょっといいかしら?」


 何を言われるかは、想像に難くない。アーデライードは「道を戻って返してきましょう」と瑛斗に言った。しかし、戻ったとしても単純計算で二時間以上は、サプたちと離されている可能性がある。追いつけるかどうかは運次第だ。


「子育てなんて、あなたには無理だわ……私はもっと無理だけど」


 そういうアーデライードの言も一理ある。瑛斗はずっと異世界に常駐しているわけではないのだ。こういう時、爺ちゃんはどうしたのだろう。

 振り返って、レイシャの目をじっと見た。無表情なレイシャの中に、複雑な感情が入り交ざっていることに、もう瑛斗は気付いている。じっと見つめ返すレイシャの中には、相当な意志の強さが感じ取れる。それは間違いようがなかった。

 瑛斗は「もしも、だよ」と前置きをして、アーデライードに聞いてみた。


「アデリィがレイシャと同じ立場だったとしてさ。爺ちゃんが……ゴトーが君を連れて行かない、グラスベルの森へ置いていくって言ったら、どう?」

「えっ、やだ」

「絶対に、置いていく」

「やだ、絶対にやだ」

「駄目だ。ならんもんはならん」


 爺ちゃんだったらきっと、こういう風に言うんじゃないだろうか。そしてじっと目を見つめ、それ以上は何も言わずに背中を見せるだろう。


「えっ、えっ、やだ、やだ……やだよぅ……!」


 ゴトーとアーデライード。共に歩んだ二人の旅は、今でも鮮烈な思い出となって焼き付いている。瞬時に遠い昔のあの頃へ引き戻せるほどに。頑ななゴトーならば、こうと決めたら決して曲げることはない。


「だめ、そんなの絶対、だめ……」


 アーデライードはすっかり心細くなってしまった。余りに動揺してしまったせいか、声までもが震えている。手のひらで掬い上げた水は、いつかはみな零れて失われてしまう。そんな喪失感に襲われた。

 そうだった。今まですっかり忘れていたのだ。

 幼い頃の自分にとって置いて行かれることは、想像を絶するほど辛いことだったのに。それなのに、こんなにも辛いことを自分がいとも簡単にしようとしていたなんて。


「ダメ、ダメ、絶対にダメッ!」


 アーデライードの血の気はすっかり引いてしまった。絶望にも似た青ざめた色が表情に表れている。いつもはピンと伸びたハイエルフの耳も、ぐったりと萎れて力なく垂れ下がった。

 そんなアーデライードの様子を見て、瑛斗は謝罪した。


「もしも、だよ。そこまで悲しませる気はないんだ。ごめんよアデリィ」

「わか、わか、わかってるわよぅ……そ、そんなの……」


 口に手を当ててわなわなと震えているアーデライードの肩を掴むと、瑛斗は優しく語りかけた。


「それでも、レイシャを置いていけと言うことができるかい?」

「ダメよ! そんなの絶対にしちゃダメだわ!」


 正反対の言葉が口を突いた。本心は渋々だ。絶対に上手くいきっこないと思っている。けれど自分の身に置き換えたら、とても我慢できることではなかった。何があろうが絶対に、その後を追いかけるに決まっているのだ。

 幸い『悠久の蒼森亭』には、瑛斗が三階に借りている長期滞在客室キープルームがある。レイシャはそこへ住まわせることができよう。

 アーデライードとそこまで話したところで、瑛斗は決意を新たにレイシャへ向き直った。


「レイシャ、一緒に行こう」

「……ん」


 とととっと瑛斗へ駆け寄ると、レイシャは瑛斗の腰にしがみ付いた。

 レイシャの頭を優しく撫でながら、瑛斗は約束を誓った。


「君が大人になるまで、俺が護ってやるからな」


 こうしてここからは、瑛斗とアーデライード、ダークエルフのレイシャ。

 不思議な組み合わせの三人で、暫し旅をすることとなった。


 はてさて、目指す街まではもう少し――の、ハズである。

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