反撃

「待たせたね」


 同時に、爆炎が鬼たちを襲う。次々と舞い上がる爆音爆炎とともに鬼の体も舞う。目の前にいた鬼が、振り上げた金棒を下ろし、逃げ出す。見上げて、爆炎の正体を確かめる。爆炎の正体は、カーゴシップによるレーザー爆撃だった。


「桃太郎、さあ帰ろう」


 婆さんの声だ。婆さんの操縦するカーゴシップが、周囲の鬼たちを次々と一掃していく。


「遅くなっちまったね」


 そう婆さんはカーゴシップの拡声器越しに話しながら、次々と爆炎を上げていく。搭載した爆撃弾を撃ち終わると、周囲にいた鬼たちは炭へと変わっていた。あたりにはカーゴシップのエンジン音だけが響き渡っていた。


 ***


 肉塊と化したキジを担いで、カーゴシップへと乗り込んだ。カーゴシップの窓から小さくなっていく鬼ヶ島が見える。婆さんが操縦するカーゴシップとは逆方向に無数のカーゴシップが飛んでいく。


「援軍さ。この地区の鬼はこれで制圧できる。桃太郎、本当によくやったね」

「…………」

「婆さん、イヌとサルを置いてきちまった 」

「そうかい……拾いに、いくかい?」

「……頼む」

「桃太郎……自分を責めてはいけないよ。 」


 カーゴシップを旋回させながら、婆さんがそう呟いた。

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