終章

イヌとサルの二匹の死体を回収した後、カーゴシップは大気圏を脱出し、鬼ヶ星の重力圏外へと出たところで、地球へ向けたワープ航行に移行した。俺は船内にある簡易医療室で地球までの旅路を過ごした。


極端に少子化が進んだ地球では「爺さん」「婆さん」の二種類の人類だけが取り残された。彼らは長い進化の末、生殖機能を失い、緩やかな絶滅の道を歩み始めた。そこで、人類は「桃」と呼ばれる人工子宮を開発、自らの遺伝子をインプットとして、「桃太郎」と呼ばれる異星探査用の人型クローン人間の開発に成功した。異星を探査することで、生存のヒントを探し始めたのだ。また探査支援用として、動物の遺伝子を「桃」のインプットにすることで、特殊な能力を持ったミュータントを生み出すことにも成功した。主に、「イヌ」、「サル」、「キジ」を支援用ミュータントとして採用した。彼らは「桃太郎」と同様に「キビ団子」の再生効果に対する親和性が高く、過酷な環境下でも探査可能であったからだ。「爺さん」「婆さん」「桃太郎」「各種ミュータント」を一つのチームとして各星々に探査が始まった。


探査を進めていく中で、高度な技術力を持った生物との衝突が生まれた。人類はこの生物を「鬼」と呼称した。この衝突は「地球」と「鬼ヶ星」の星間戦争にまで発展した。人類にとって種の期限が迫る中、長きに渡って戦争が続くことになる。


――未だに戦争終結の兆しはない。


終わり。

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桃太郎SF キンジョウ @yutakakinjyo

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