粉砕

 焦燥感と絶望感が体を駆け巡る。今、鬼の攻撃を受ければ、俺は確実に死ぬ。肉塊となった、イヌとサルの死体の姿が一瞬、脳内にフラッシュバックする。しかし、これは俺の思考ではない……。念波通信を介して感じるキジの絶望の感情が流れてきているんだ。この場を切り抜けるための思考回路をフル回転させようとするが、動揺したキジの念波が本来の思考の邪魔をする。キジから流れ来る感情を払うように、刀を振るが、鬼のカーボンアーマーを砕くことはできない。刀が高い金属音を鳴らしながら、反動で体が仰け反る。手が痺れるのを感じる。


「<クルゾ!避ケロ>」


キジから次の鬼の一撃を警戒する念波が送られてくる。

鬼の金棒が再び、振り下ろされる。咄嗟に出した左腕が胴体から切り離される。左腕に金棒が叩きつけられ、血しぶきを上げながらもげた。骨まで粉砕された。

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