第10話 組まぬ2人のとある一時

◯注意事項

・まだまだ未熟者の筆者が書いている駄文でございます。

・眠気との戦いしながら書いていたので、多分どっかしらで見直しミスをかましていることかと思われます。ミスが合ったら笑って見過ごしていただけると幸いです。「ここ間違ってるよー」って言ってくれると更に助かります。

・何時も通り、内輪ネタを読みたくない人は迷わず戻るボタンをクリック推奨。無理に読まなくても良いのだから。



◯登場人物

NPC

・ケイゼン[夢魔・男]


PC

・ダンリ・タオン[ハイマン・男]

・ソア・ノルタガ[人間・女]



〈夢現の幻亭・店内〉[tb:夜]


薄暗くなってきた店内で、冒険者達が今日の依頼の成功などを祝って乾杯を繰り返す。

その喧騒を眺めながら、カウンター席でちびちびと飲み物を飲む人影が2つ。

「……皆、元気」

「ですね。若干騒がしくもありますが」

目を細めて呟くダンリに、目元を髪で隠したままソアが返す。いつものパーティメンバーの姿は珍しいことに見えず、2人だけがどこかのんびりと飲み物を飲んでいた。

「まぁ、君たち以外の冒険者達だって、それなりに色々と冒険をしてきてるのさ」

そこに、何時も通りの眠たげな顔をした店主がひょっこりと口を挟む。先程まで料理を運んだりしていたが、どうやら全部運び終えたらしい。

ふふ、と笑うケイゼンに、2人が小さく頭を下げる。

「他の皆はどっかで依頼でも受けてるのかな?」

「そうなりますね。私達2人はたまたま出遅れて、置いて行かれたというわけです」

「ソアさん、は、銃の、メンテ、してた、から、ね。私は、本、読んでたら、置いて、いかれた」

別に此処以外に泊まらないわけじゃないんですけどね、と肩をすくめるソアに、わかってるとでも言いたげにケイゼンが苦笑する。


「でもまぁ、ある意味珍しい組み合わせだよね」

「あぁ、考えてみると私達2人、組んだこと無いですもんね」

「あー……。そう、いえば、そうだ、ね」

依頼の時は毎回毎回別行動だったため、顔くらいは合わせたことがあれども、あまり接点が無いことに、ダンリは目を丸くする。

「まぁ、私、も、ソアさん、も、後衛、だしね」

「私はガンナーで、ダンリさんが妖精使い。必要とされる役割も異なりますからね」

「君たち2人が揃えば、探索とか調査とかは捗りそうだけどねぇ。というか、後衛としての役割はほぼ十全な気もするけど」

そう言ってクスクス笑うケイゼンに、困ったようにソアは口を歪める。

手元の飲み物をクイッと煽り、喉を潤してから彼女は言葉を紡ぐ。

「……ちょっと褒め過ぎでは?」

「そうかな?」

「ん……。クレリア、から、聞いた、限り、なら、ソアさん、は、優秀な、スカウト、だしね。私じゃ、できない、火力担当、も、出来る、のは、羨ましい」

「あれ、意外と情報収集されてる……?」

えぇ、と困惑の声を上げたソアは、ダンリに顔を向ける。

「でも、イングリットさんには火力面で負けてますよ?」

「代わりに、ソアさん、は、銃も、スカウトの、やり方も、丁寧。当て方、上手だって、ゾバルさん、言ってた」

「……結構見てるんですね、あのご老人……」

「まぁ、クレリアとゾバルは割と皆のことを見てるからねぇ」

ソアの前に追加の飲み物が置かれる。怪訝そうな顔をする彼女に、受け取りな、とケイゼンがウィンクをしてみせる。

背後の喧騒は、ますます大きくなるばかり。しばらくはその宴は止まる様子は見られない。


「そーいえばさー」

「なんです?」

「何?」

「君ら、パーティ内で恋愛とかってあるの?」

きゅふふ、と口元を隠しつつ、笑いながらそう問うケイゼンに、飲み物を飲んでいた2人は思わず吹き出しかける。

突然の下世話な話。非常に愉しげな表情で繰り出されたその話題は、普段ボケボケしている彼の口から出てくるとは思っていなかったもの。

「と、突然何聞いてるんですか?」

「え、恋バナ。年頃の子たちが集まってるし、そーゆーのあるのかなー、って興味が湧いてね」

「……コリンさん、が、言うには、ケイラーンさん、が、イルに、恋する乙女、だって」

「そしてダンリさんは乗るんですね!?」

んーと、と悩みながら呟かれた言葉にツッコミを入れつつ、ソアは自分の知る範囲でそういった対象が居たかどうか思い返す。

「……や、多分惚れた腫れたってのはほとんど無いんじゃないでしょうか。というか、ケイラーンさんがイルさんにホの字って初耳なんですけど」

「まぁ、時々、妄想、してる、コリンさん、の、言だし……」

「信憑性は若干低い、と」

うんうん、と頷きつつ、ダンリは飲み物をズズッと啜る。

それを聞きつつ、へー、とケイゼンは笑顔を崩さない。

「……そういうお二人は?」

「ノーコメントで」

「……気になる、相手が、居ない、わけ、では、ない……けど」

小声でポツリ、と呟かれた言葉に、バッ、とケイゼンとソアの顔がダンリに向けられる。

「「……居る(の(んですか))?」」

ハモった2人の声に、若干恥ずかしそうに彼はコクリと頷く。

「教えてくれる気は?」

「……恥ずかしい、から、やだ」

「ですよねー」

食いつくケイゼンを銃底でしばき倒しつつ、ソアは飲み物を再び煽る。

その脳裏に蘇るのは、クレリアが右手を失くして帰ってきた時の、ダンリの慌てよう。


――――

「●×▼◆!? ◯△□◇×!?」

帰ってきたクレリアさんに真っ先に駆け寄り、ダンリさんは私にはわからない言語で叫ぶ。その顔は青褪め、失くなった手を心配気に見やっていた。

半泣きになりつつ、彼女の側を離れようとせず、私達から何があったのかを聞いた彼の表情は、呆然と怒りの混じったもの。

それはすぐに引っ込んだが、紛れも無くその怒りはクレアリアへと向けられたものだろう。あの苦い敗北戦の時に、ケイラーンさんが浮かべていたものと全く同じモノだったから。

――――


「(多分、クレリアさんのことなんだろうなぁ)」

そう思いつつも、口には出さず。含んだ飲み物と一緒に言葉を飲み干す。

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