第7話 動き出す、悪夢
◯注意事項
・いつかやった卓の少し前の話。いわゆる内輪ネタ。
・何度も書いてるけれど、こういう内輪ネタが嫌いな人は戻るボタンをクリック推奨。そうじゃない人は、どうぞ見ていってくださいな。
◯登場人物
NPC
・ダンタリアン[ハイマン(?)・女]
・バフィク[サファイアバジリスク(?)・男]
PC
・今回はなし。
〈バフィクの居城・バフィクの部屋〉[tb:?]
「ヨーニャが夢現の幻亭で訓練しているところを誘拐する? ……正気か大先輩?」
「正気も正気よ。あの子、暇な時に訓練のために店の外に居ること多いし、その時だったら周囲に誰も居ないのもこないだから何度か見てきてるわ」
うふふ、と妖艶に笑うダンタリアンに、バフィクは首を横にふる。
「攫ってきてどうする? 誘拐されたのに気付けば探すだろうが、此処に誘拐されたと言うのが分からなければ来ないだろう? それに、そうやってヨーニャを誘拐する意味はあるのか?」
「そこは蛇の道は蛇、よ。もとい、冒険者なら冒険者らしく冒険させるためのきっかけを作ればいいの。例えば……此処を遺跡だと言って、地図を渡すとかね? 地図の端にヨーニャの誘拐についてのメモでも残せば、嫌でも来るでしょう」
「……ヨーニャを、釣り餌にする、ということか……」
苦虫を噛み潰した顔になる彼の顔を、そっと彼女は両手で保持する。
翠色の眼がみるみるうちに琥珀色の紋様でうめつくされ、琥珀色の眼に変化していく。
「そゆこと♪ もちろん、助けに来なければ、こないだ出した連行隊が、ヨーニャを連れてきた時用の案の中から、却下されたアレをさせてもらうわ。一回は退いて上げたんだから、今度は譲りなさい?」
「分かった……だが、その場合我の目的はどうなる?」
諦めたようにため息を吐くバフィクに、ダンタリアンは頬に指を当てて上を見る。
「そうねぇ、その時はイルを誘拐してくるだけよ。正直、そこでヘタれるよーな奴だったら論外だもの」
「イルは、そういうやつではない! あいつなら弟子がピンチと分かれば確実に助けに来る! 賭けてもいい!」
「きゃっ……!? ちょ、ちょっと、急に掴みかからないでよ」
激昂して胸ぐらを掴み上げられ、眼を丸くしながら彼女はその手をぺちぺちと叩く。ハッとした彼が手を離すのに合わせ、その体が床に落ちる。
尻もちを突きながらも、まったく、とジト目で後輩を睨んでから、ダンタリアンは乱れた服を直していく。
パンパン、と埃を払いながら、彼女は転移魔法の準備に入る。
「ま、近いうちにヨーニャ引きずって戻ってくるから、準備よろしくね?」
「釣り餌にするというなら、それなりの準備を整えておくさ先輩」
よろしい、とでも言いたげに頷くと、ダンタリアンの姿が転移魔法陣の光に包まれて消える。それを見送り、バフィクはかつてイルに使わせていた部屋へと歩を進める。
〈亜空間〉[tb:昼]
バフィクの元を発ってからそれなりの月日が過ぎた頃。ヨーニャが夢現の幻亭の外に出てくる。
それを幻亭の屋根の上から眺めつつ……まだ手は出さない。すぐに攫ってしまっては騒ぎにならないからだ。
可能であれば誰かが見ている前で攫うのが良い。そして、騒ぎの中で誘拐しきってしまえば、確実に助けに向かってきてくれるだろう、とダンタリアンはほくそ笑む。
問題はヨーニャを引き取った冒険者達がどれほどの実力を持っているか。手加減をして相手をするが、想像以上に強ければそれは讃えられるべきであると考えている。
その時は攫うのは諦めてあげよう、と考えていると、店の中からほかの冒険者が出てくるのが見えた。
「……さて、じゃあお手並み拝見と行きましょうか?」
そう小声でつぶやいて、ブリンク、スケープドールを仕込んでから亜空間に浮かび上がる。
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