前のエピソード――第11話　猫の話。

　今までは、自分の体験談でしたが、今回は他人の話。

　私の市に車で観光に来た人が、道端にあるお地蔵様を見て、わざわざ車を止めて、車から降りてお地蔵様に手を合わせて拝んでいたところ、後ろから来た車に轢かれて死亡するという事件が過去にありました。

　その人は、お地蔵様に手を合わせさえしなければ、死ななかった。きっと信仰心の篤い人だったのでしょう。お地蔵様に手を合わせて、幸せになるというのなら納得できますが、お地蔵様に手を合わせたばかりに、命を失うなど到底、納得できません。

　なぜ、お地蔵様に手を合わせた、信仰心の篤い人が、死なねばならないのでしょうか。この世に、神も仏も無いのでしょうか。

　これは聞いた話ですが、お地蔵様はどこにでも祀っていいわけではないそうです。餓鬼道（うろ覚え）の上でないと、ダメだそうです。昔の人は、それをわかった上で、そこにお地蔵様を祀ったそうです。

　それを知らずに勝手に祀ったお地蔵様には、かえって悪い物が引き寄せられるとか。本当かどうか知りませんが、この事件以来、お地蔵様を見ると、このお地蔵様は本当に祀っていい場所に祀ってあるのか、気になります。

　犬の散歩で、よく通る道にもお地蔵様があって、私はついつい、早足で通り過ぎてしまいます。うっかり手を合わせると。。。

　また、そのお地蔵様を拝んだばかりに死亡してしまった可哀想な人の死亡現場近くで、別の交通事故もありました。

　就職して、初めての帰省のため車で実家に向かっていた女性が、観光バスと正面衝突しました。観光バスの乗客は怪我をした程度でしたが、衝突した女性は死亡しました。

　その現場は、見通しの良い場所で、普通に運転していれば、対向車線にはみ出すなど考えられない場所です。なぜ、そんな場所で観光バスと正面衝突したのでしょうか。

　やはり、そのお地蔵様の辺りは、良くない場所なのでしょうか。良くない場所だから、わざとお地蔵様を祀って鎮めようとしたとか、お地蔵様が餓鬼道（うろ覚え）と関係ない、本来あってはならない場所にあるので、悪い物を引き寄せてしまうのか、あるいはお地蔵様に手を合わせたばかりに死亡した人の霊が、事故を起こさせたのか。

　そんな風に、なんでも心霊に結びつけるのは、良くないかもしれません。観光バスと正面衝突した女性は、携帯電話で話をしながら運転していた、そんな噂が地元でまことしやかに流れました。

　スマホもポケモンGOも無い時代です。スマホの画面を見ながらの運転など考えられない時代です。携帯電話での通話に熱中して、ハンドル操作を誤った、そうでも考えないと、事故などありえない場所です。

　ついつい、お地蔵様との関係を想像してしまいます。あなたの近くには、お地蔵様は有りませんか。そのお地蔵様が、死を招かなければいいのですが。