第9話 見間違い?

 私が、幼稚園児のときのことです。しとしとと小雨の降るなか、ひとりで庭で遊んでいました。

 ふと見ると、家の壁の所に、私の背丈ほどの大きな赤い蟹がいるのです。驚いた私は、家に飛び込みました。

 家に入ると、ちょうど母親が、こちらに背を向けて、なにか作業をしていました。私は母親に、大きな蟹がいたことを告げました。

 母親は、こちらを振り向くでもなく、私に背を向けたまま、どれぐらいの大きさか、聞いてきました。

 私は、1メートルぐらいと答えました。母親は、やはりこちらに背を向けたまま、そんな大きな蟹はいないと、そう言うのです。

 心外に思った私は、もう1度確認しようと、小雨の降る庭へと出ました。すると、もう大きな蟹はいませんでした。幼かった私の見間違いだったのでしょうか?

 ただ、漫画家の流水りんこ先生の「誰も信じなくていい・・・でもボクたちは見た!!」というコミックスを読むと、私と似たように、信じられないものを見た人の目撃談が、多数収録されています。それらも、すべて錯覚なのでしょうか?

 私は、子供の頃にだけ見ることができる「何か」があるのではないか、そう思いたいのです。その方が、夢がありますから。


 これも、子供の頃の話です。小学校3年か4年生のときでした。私は、学校が終わったあと、家の屋根に登っていました。

 私が子供の頃の我が家では、夜になると兄弟で屋根に登り、星を見るということを頻繁にやっていたので、子供の私は、屋根に登るのが好きになったのです。

 季節は忘れましたが、冬でもなく夏でもないのは、確かです。北陸の冬は寒くて、屋根になど登っていられません。夏場は、瓦屋根は熱くて、やはり屋根に登れませんから。

 私の家の隣のうちは、屋根ではなく、ビルの屋上のような、そういう造りでした。子供の私は、その屋上に憧れていたのです。

 私の家は広いので、当然ながら屋根も広いです。屋根に登った私は、屋根を移動して、憧れの屋上を持つ隣のうちが見える場所へ行きました。

 すると、隣のうちの屋上に、大きな鳥がいるのです。鷲のようでしたが、翼を広げると1~3メートルもあるのです。

 すみません。記憶を辿って書いているので、翼を広げると何メートルだったか、ちょっと忘れました。1メートルでは、あまりインパクトは無い気もしますが、とにかく大きかった。

 大きな鳥を見た私は、怖くなって、慌てて屋根から降りると、友達の家へ行き、その大きな鳥のことを報告しました。

 友達が、大きさを尋ねるので、○メートルと答えました。友達も驚くだろうと思っていたら、友達は、そんな大きな鳥はいない、と言うのです。

 いないもなにも、先ほど見たのです。でも、これも見間違いなのでしょうか?

 最近になり、ビッグバードというUMAがいることを知りました。私が見た、大きな鳥も、ビッグバードだったのではないでしょうか? 

 ビッグバードは、私が小学生の頃からすでにいて、この北陸の小都市にも飛来していた。そう考えると、夢がありますね。

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