第8話 木の葉トンネル・笛の音。
犬の散歩で、海に行ったときのことです。海水浴場と岩場を繋ぐ、木の葉トンネルという、短いトンネルがあります。
夏場なので、犬の散歩の時間でも、まだ日はありました。海水浴場から、木の葉トンネルに入り、歩いていると後ろから、からからからと音がします。
後ろを向くと、木の葉が一枚、こちらに転がって来ます。でも、風など吹いていないのです。もしかしたら、足下にだけ風が吹いていて、私は靴下とスニーカーなので、気づかなかったのかもしれません。
あるいは、トンネルにまでは風は吹き込んで来ないけど、海から風が吹いているのかもしれません。
木の葉は、そのまま私を追い越して、トンネルの外に出て止まりました。トンネルの中には、風など吹いていないのですが、木の葉が転がるぐらいの風なら、少しは風を感じてもよさそうなのに。
トンネルの名前は、木の葉トンネル。なにか関係があるのでしょうか? もしかしたら、こういう事が以前からあって、それで木の葉トンネルという名前にでもなったのでしょうか?
もうひとつ。私の部屋は二階にあるのですが、その近くに別の部屋があります。天気の悪い日に、家族が洗濯物を干すのに使っている部屋です。北陸では、冬などは天気が悪くて、いつも部屋干しです。
これは夏場の話ですが、私の部屋は本が多く、あちこちに本の山があって狭いので、その物干し部屋で柔軟体操でもしようと入りました。
夜中の話です。すると、外からピーっと、笛の音がするのです。私の家は広くて、物干し部屋は外から少し距離があります。でも、すぐ近くから笛の音がするように感じます。
こんな夜中に、誰が笛を吹いているのでしょう? 笛の音は私が物干し部屋に居るあいだに、2~3回しました。その後も、その物干し部屋に入ると、外からピーっと笛の音がします。
夜中なので、家族は眠っています。物干し部屋は、私の部屋から近いのですが、私の部屋で笛の音を聞いたことは、ありません。
物干し部屋で笛の音が聞こえるなら、私の部屋でも笛の音が聞こえないと、おかしいのです。つまり、物干し部屋に居るときだけ、外から笛の音がするのです。
その笛の音は、いつも弱々しく、淋しい音色でした。いまは、夜中に物干し部屋に入ることがなくなったのですが、もしかしたら、今でも夜中に物干し部屋に入ると、その笛の音が聞こえるかもしれません。
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