第15話 【一直線】エピソード14

121. ののみの部屋 後日 6月 高3

   ののみの部屋のドアを半開けで、ののみに

   学部案内書を渡す愁。

愁  「だいぶ成績上がっている、俺と同じ工学部にしろよな!」

   受け取ったののみ、学部案内を見ながら。

ののみ「工学部かぁ・・」

   愁の石を見つめるののみ。

    XXX

   いろんな場所 点描

   河原の石、拡大ルーペで見たきらきらの砂、滝修業で

   見た荒々しい岩肌、古城・・父と畑の土・・・ののみ

   の頭の中を巡る映像!。

    XXX

ののみ(あっそっか)愁の石を手に取り、キスをする。


122. 愁の部屋の前 直後 6月 高3

   愁の部屋のドアを叩くののみ。

ののみ「愁君ねぇ、愁!」

愁  「何、問題終わった?(ドアを少し開けて)」

   強引にドア開けると愁に飛び付くののみ。

ののみ「私決めたよ!石の勉強する、石とか土とか・・・」

愁  「じゃ、土木工学だな」


123. いろいろな場所 点描 7月 高3

   並んで、勉強する愁とののみ


124. 点描 夏の海 砂浜 8月 高3

   水着の愁とののみ、愁父、愁妹、若い職人、海岸で遊んで

   いる。点描。

   砂浜で、お城を作る、愁とののみ。

    XXX

   夕方 海岸 

   きらきらした夕日の落ちる海。

   護岸の上に座り、たそがれる(夕日を見る)愁とののみの影。

    XXX

   夜の海岸

   手持ち花火をする一行。

   浴衣のののみ。


125. 民宿 夜 食堂 8月 高3

   いくつかのテーブルに用意された食事、座っている愁一家。

   立ち上がりビールのコップを持つ愁父。

愁父 「(ううん)夏を乗り切るための、毎年恒例のバカンスで

   鋭気を養ってほしい・・・新しく離れを建てるための工事

   を始め・・・」

   女将さんが駆け込んできて。

女将 「今年は、愁君の彼女も来てるんですってねぇ」

   ののみ、みんなから、指を指される。

ののみ「(首をちょこんとする)」

愁  「カンパ~イ」

   乾杯する一同。

    XXX

   ののみの横に座り話す、女将。

女将 「かわいい子ね(ののみの顔を見ながら)、さすが愁君の

   選んだ彼女さんだわ」

ののみ「かわいいなんて、正直なんですね」

   照れて、片手で髪を掻き揚げる。

女将 「毎年来てくれるのよ、もう20年くらいになるかな」

   女将、愁家族を見る。カニを夢中(無言)で食べる家族たち。

女将 「お母さんが亡くなった後に来た時は・・・」

ののみ「・・・」

女将 「愁君にお母さんはって聞いたの、そしたら死んだって

   言うじゃない、びっくりしちゃって・・・」

ののみ「・・・」

女将 「まだ、小さかったからかな、わかってなかったのかもね」

    XXX

   女将の回想 昔 民宿座敷

   一緒に遊ぶ、男の子と、泣きべその女の子。


126. 海辺の漁港 同深夜 8月 高3

   愁が漕ぐ、ボートに乗っているののみ。

ののみ「大丈夫なの、真っ暗だし、なんか流されてる・・」

   街の明かりが遠ざかっている。

愁  「やばい、ほんとに流される・・」

ののみ「えぇ、えぇっ!」

   立ち上がろうとするののみ。

愁  「立つな!!」

   木の葉のように揺れる船、そーっと座るののみ。

   愁、ボートの中、横になる、ののみも、隣に横になる。

   夜空、太陽のような月明かり。

愁  「月が眩しくて、星が見えない」

ののみ「怖いよ、このまま流されてどうなるの」

愁  「やばいな・・・流れ着くのは、ロシアかな」

   ののみ、スマホを探す。

ののみ「スマホ持ってきてない」

愁  「誰にも気づかれないままなら・・」

ののみ「怖いけど、愁君と一緒だから・・でも怖い(ふるえ)」

   ののみ、愁の横顔を、見ていたが、夜空に目を向ける

    XXX

   月が傾き、星の蛍光。

ののみ「(落ち着いて)ねぇ、星は無数だけど、ほとんど名前

   あるんだよね・・」

愁  「名前ない星見つけたら、自分で名前つけれるらしい」

ののみ「なのに、石や砂には名前ないよ、無数にあるのは同じな

   のに・・・」

愁  「自由だから・・自由だから動けるし、姿も変えら

   れる・・」

ののみ「だから、土台になったり、建物になったり出来るん

   だね・・」

愁  「石を探すのもいいかも・・」

ののみ「石もこの星と同じ・・う~ん、それ以上にきらめいて

   いるんだね」

愁  「・・」

   手をつないでいる二人。

ののみ「・・愁君の手、あったかいね・・・」

   そのつないだ手を自分の胸に置く愁。

ののみ「・・・(目を閉じる)」

    XXX

   ふいに、ボートが動き出す。

   起き上がる二人。船外機付きのボートでけん引されている。

    XXX

   桟橋、固定されるボートから、降りる二人。

   (陸だ~)と、手を取り、地面を踏みしめるふたり。

   船外機付きボートを運転していたのは、若い職人。

   愁、職人に話しかける。

愁  「怖かったぁす・・」

職人 「お化け屋敷なんかより、よっぽど怖いべ」

愁  「最高の肝試しでした」

ののみ「肝試し(!)・・・」

   腰が抜けしゃがみ込むののみ。


127. 点描 部屋、図書館、塾

   愁とののみ、ノートに書き込んだり、ヒアリングしたり、

   講義を受けたりする。(いくつかシーン)


128. 点描 試験会場 

   試験を受ける愁とののみ(いくつかシーン)


129. 愁の家リビング 数ヵ月後 12月 高3

   ののみと愁、ののみパパ・ママ、愁父、るり子、愁妹、

   みみん、筒居が集まっている。

   テーブルの上、料理、ケーキ、飲み物、そして家の模型が

   並んでいる。

   万国旗が張られ、バルーンが壁が彩られている。

ののみ「なんと推薦入試で、愁君と一緒の大学に合格しました!」

   それぞれ合格通知を広げる二人。

愁  「同じ工学部!俺は建築学科で、ののみは土木工学科、

   石の研究をするんだって」

   クラッカーが鳴る。

一同 「おめでとう」

ののみパパ 「おめでとう、よく頑張ったな」

愁父 「ののみちゃんの頑張りには感動したよ」

ののみママ 「・・・(泣く)」

   くす玉を割るののみパパ、垂れ幕に文字。

   垂れ幕の文字

   「祝!!合格 バレンタイン結婚式」


130. 愁の家作業場(日替わり) 12月 高3

   愁が工房で作業している。

   やすりがけする愁、職人が手伝っいる。


131. 愁の家ののみの部屋 日替わり 12月 高3

   クリスマスリーフ作りをするののみ。

   リーフに河原の石を付けている。


132. 愁の家 夜中 12月 高3

   愁の部屋に忍び込もうとするののみ、部屋に内側から鍵が

   掛けられていて入れない!

ののみ「チェッ・・・」


133. 愁の家 後日クリスマスイブ 12月 高3

   竹ぼうきで作ったクリスマスツリー、派手に飾り付けられ

   ている。

   ののみ、トナカイのコスプレ。

   テーブルに食べ終えたオードブル、ケーキなど並ぶ。

   電話するしているののみ。

   つながらずスマホを放り出し、ソファーにうつぶせに

   倒れこむ。

ののみ「あいつ、またバックレやがった・・」

   大きなモアイのぬいぐるみを正拳突きするののみ。

   ののみのスマホが唸る(犬の遠吠えの着信音とバイブ

   レーション)。

   スマホ画面「愁とデートする女を見た!!久美」

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