第13話 【起死回生】エピソード12

97. 高校 正門前 夕方 2月 高2

   他校の制服女子から話しかけられている、(の)の字の

   ニットキャップの愁、ニット手袋にも(の)。

   しばらくして、うつむき駆け去る女子。

   ののみ慌てて、愁にダッシュして詰め寄る。

ののみ「何?、今の女の子、近くの女子高の生徒でしょ」

愁  「告られた(にやけ顔)」

ののみ「もちろん断ったよね」

愁  「断ったから、行っちゃったんだろ(残念顔)」

ののみ「よかった(ほぉ)・・・」

愁  「あの子みたいのを、接着系女子って言うらしい、女子高

   は出会いがないから、捕まえた男は一生離さないんだって

   (ののみを見る)」

ののみ「私も?接着・・・」

愁  「同じ接着系でも、美人で、輝くダイヤで、でも糊!、

   小学校で使ってたチューブのやつ、あのくらいの接着力

   ならなぁ・・」

ののみ「チューブ糊・・・」


98. 同 教室 昼休み

   久美と話すののみ。

久美 「ひどくない、そんな言い方、ののみが接着系って・・・

   まあ、超強力なんだけど・・・」

ののみ「私、愁君からそんな風に思われてたのかな、ゼウスの

   ように私の気持ちをさらったくせに・・・」


99. 愁の家 ののみの部屋 点描

   メッセージを送るののみ。

   愁の返信「友達とスケート中」。

   ののみ、LOVEのチョコレートをチョップで真っ二つに割る。

    XXX

   休日 

   メッセージを送るののみ。

   愁の返信「友達とスキー中」。

   ののみ、焼いたもちにかじりつく、伸びるもち。


100. 高校グランド 日替わり 4月初旬 高3

   桜が舞い散るグラウンド

   サッカーをしている選手たち。

   一人ベンチに座って、英単語帳をめくりるののみ。

ののみ「Lose momentum、Lose one,s place、lose

   sight of、ロスアンゼルス?・・・」

   玲奈と筒居、そんなののみを見て話してる。

筒居 「(グラウンドを見て)愁に相手されてないらしいぞ」

玲奈 「こう言うの、なんて・・・」

筒居 「・・・倦怠期(?)」

   疾風で、ののみの肩に、桜の花びらが降り注ぐ。

    XXX

   ののみを真ん中に挟んでベンチに座る筒居、玲奈。

筒居 「卒業・・って恋の転機でもあるんだよ」

ののみ「The turning point・・・」

   と、顔をあげるののみ。

筒居 「99%の恋人は、卒業と同時に、まさに卒業となる」

ののみ「graduation・・・」

筒居 「俺とみみんは、復活したけどね・・・」

   ののみ、筒居の顔を一瞬見るが、またうつむく。

ののみ「復活(顔を上げる)・・・」

筒居 「あれ、戻ってくるって・・・聞いてない?」

ののみ「ベタだ・・・」

筒居 「俺たち、遠距離で、自然消滅したんだが、奇跡的に復活

   したんだ」

玲奈 「奇跡ですね・・」

ののみ「・・・(走る愁を見る)」

玲奈 「私と健は、99%の方かな」

   玲奈の顔を見るののみ。

玲奈 「多分、遠距離で、・・・フェードアウトになるね」

ののみ「fade-out・・・自然消滅・・・」

   玲奈、筒居の耳元で。

玲奈 「(小声)99%ってのは、まったくフォローになって

   ませんよ」

   桜の花びらが、グラウンドで渦巻いている。


101. 高校 休憩コーナー 日替わり 昼休み 5月 高3

久美の声「接着系は、どっちなのさ」

   テーブルに、ののみと愁が、弁当を広げて一緒に食べている。

   久美やって来て、二人の前の席に勢いよく腰掛ける。

久美 「愁の方でしょ、粘着じゅない」

愁、ののみ 「・・・」

久美 「毎日毎日、こき使って・・」

   と、テーブルを叩いて、ののみの顔をガン見。

ののみ「久美・・・」

久美 「ののみ、もう止めなよ、こんな事、水滴が岩を砕くって

   言ってたけど、そんなのあり得ないよ」

ののみ「砕くよ・・・」

   立ち上がり、一瞬、愁を見るののみ。

ののみ「いつかは・・・砕くよ・・・」

   ダッシュで出ていくののみ。

   愁も立ち上がり、腕を伸ばす・・・。

愁  「弁当、片付けてけよ・・・」


102. 高校グラウンド外 日替わり 5月 高3

   サッカーをしている選手たち。

   グラウンドの、脇の小屋の影。

   手の望遠鏡で覗くののみ、菜穂が来る。

菜穂 「どうしたの、もっと近くで観れば良いのに・・・」

ののみ「近すぎて、ピントが合わないんだよね!距離感!傍に

   居たいって気持ち、接着力が強すぎたかも」

菜穂 「・・・そうなの?」

ののみ「菜穂ちゃんのおかげで、愁君と話せて、それだけで

   良かった(両手を斜に握り)!」

    XXX

   フラッシュ 回想 グラウンド

   ののみを、まるでハンマー投げのように、力いっぱい突き

   放す菜穂。

   旋風を巻き起こしながら、回るののみ。

    XXX

   振り反って、菜穂に向かいなおす、ののみ

ののみ「でもね、気持ちがエスカレートして、優しくされたい

   されたいって、欲が出てきちゃったんだ!」

菜穂 「欲張り・・・」

ののみ「チューブ糊みたく、ちょっと離れてることにしたんだ、

   私の気持ちは濃密密度、最重量級らしい・・・」

菜穂 「・・・(首を傾げる)別れるつもりなの?、もっと

   ワガママにすればいいのに・・私ならそうするよ・・」


103. 愁の家 日替わり  朝 5月 高3

   愁の家からカバンを持って出るののみ。

   犬小屋のポチに、別れを告げるののみ。


104. 橋を渡るののみ 5月 高3


105. 愁の家、廊下 5月 高3

   壁の十箇条を見ている愁、愁の石を持っている。

   壁の紙(1いつもキレイで笑顔、2先に起きる(平日)、

   3男子とツーショット禁止、4外出は事前報告、5門限は

   7時、6日記を共有する、7連絡は即反応、8スマホ

   チェック厳禁、9GPSは切らない、10関係者を大事

   にする)

愁  「ちゃんと守ってたみたいだな・・・」

   愁の石を持って、家を出ようとする愁。

   靴を履きかけて止まる愁。

愁  「手のひらで踊らされる石・・・かな?」

   もう一度靴を履き掛けた時、石が愁の手からこぼれる。

   玄関に転がる石、袋から飛び出す。

愁  「あぁ、ヤバ・・・」

   慌てて拾う愁。袋の中に入っているものに気づき取り出すと

   、鍵だ。

愁  「(はぁとして)」

   家の中に戻る愁。


106. 愁の部屋 その後

   押入れから、宝箱を出す愁。

   箱の中に入っている絵や通知表などを取り出す。

   一番下に錠前のついた箱。


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