第5話 【天使か悪魔か】エピソード4

20. 続き 6月 高2

愁  「合格!彼女としてふさわしいことを認めます」

   と、ののみのおでこを人差し指で押し、ウインクする愁。

ののみ「・・・(瞼パチパチ)」

愁  「料理も、音楽や映画の趣味もピッタリ!」

   ののみの眼を見つめて。

ののみ「・・・」

愁  「いいよね?今から彼女ってことで・・」

ののみ「・・・(そっとうなずく)」

   ののみの顔を両手で挟んで、(唇に)キスをする愁。

   あっけにとられる久美と仲間、貴が袖から見ている。

   さらにその後ろにもうひとつの影。

愁  「これで封印したから」

    XXX

   スマホで、二人の写真に撮る久美。

女友達たち 「なんだよ!馬鹿しい、帰ろう」

   帰ってゆく女友達たち。

    XXX

   スマホ画面

   SNSに拡散した二人のキス写真。


21. 学校 次の日 朝 6月 高2

   校門に横断幕!「祝、愁&ののみ(ハートマーク)」

   横断幕を張る久美と女友達。

久美の声「これで嘘だよ・・とかは、無しだぞ」

   遠巻きに見ている生徒たちと、校長。

    XXX

   スマホ画面

   SNS書き込み「この写真合成だ」「やらせでしょ」


22. 校庭 夕方 6月 高2

   校庭の石段に座るののみと久美。

久美 「(スマホを見ながら)ほとんど信じられて無い・・・」

   ののみを見る久美、ののみ上の空。

ののみ「愁くん・・やわらかい唇・・私のファーストキス・・」

    XXX

   ののみの妄想

愁  「ののみ愛してる、僕にはお前が必要だ、お前のいない人生

   なんて考えられない」

ののみ「愁君がくれた愛」

   愁が両手でLを作って、それを合わせ、人差し指を曲げて、

   ハートマークを作る。ののみもマネして、ハートを作ろうと

   するが・・・うまくできない!指の間を覗くののみ。

    XXX

   やってきた愁、荷物をののみに渡す。

愁  「靴も洗っといてよ・・・DVD30点・・」

ののみ「・・・(30点)」

久美 「・・・(靴?)」

   去っていく愁。

久美 「ボディーブロー・・・効いてねぇな」

   シャドーボクシングする久美。


23. 学校食堂 日替わり、休み時間  6月 高2

   愁の前に、弁当を広げるののみ。

ののみ「今日は、おにぎりさんだよ、はい!・・お口開けて!」

   大きめのおにぎりを愁の口に無理やり入れようとするののみ。

ののみ「ほら噛んで噛んで」

   涙目になりながら、飲み込む愁!。(始業のチャイム)


24. 同グラウンド 同 夕方 6月 高2

   サッカー練習後、タオルを愁に渡すののみ(制服)、

   タオルには変なマーク。

愁  「何これ(タオルのマークを見る)・・ラーメンに入っ

   てる・・・ナルト?」

ののみ「ののみって書いてあるの!」

愁  「ナルトでしょ」

    XXX

   フラッシュ 点描 比較写真

   タオルに書かれたののみのマークとラーメンのナルト

    XXX

   サッカー選手Aにタオルを見せるすののみ。

   (着信音)電話に出る愁。

菜緒の声「上手くやったね、でもそれでいいの?」

愁  「まあね」

   電話する愁、ののみの視線が刺さり、硬直する。


25. 学校体育館裏(日替わり、夕方) 6月 高2

   体育館裏の階段に座る久美と貴(17)

   貴にキスしようとする久美。

   貴も顔を近づける。寸前で止める久美。

久美 「ほらね、男なんて誰とでもキスできるしょっ」

貴  「ちぇっ、(唇を尖らせ)誰でもって・・・」

久美 「あのキス、絶対怪しい!」

貴  「久美ちゃんは愁が腹黒説なんだ、しかしあの情熱的な

   キス・・」

    XXX

   回想 公園ジャングルジム前

   ののみのほほを両手で挟んで、キスをする愁

    XXX

   貴をにらむ久美

久美 「あんた居なかったでしょ!、ののみに目を覚まさせる

   しかないな」


26. 高校グラウンド(日替わり) 6月 高2

   練習中の愁を見ている、ののみ(制服)。

   筒居コーチ(23)、両手の親指と人さし指でカメラの

   フレームを作りながら、ののみを下からじっくり舐めるよう

   に視る。

   ののみ、足を見られたときはスカートを押さえ、胸を隠し、

   最後は顔を両手で覆う。

   筒居コーチ、サッカー選手Aに話し掛ける。

筒居 「やっぱり圏外かな?」

選手A「どうでしょ、ベストテンではないですね」

   筒居、玲奈を呼び、ふたりを並べる!(うなずいて)納得

   する筒居と選手A

筒居 「我が校では、サッカー班のエースとNOワンマネージャー

   (玲奈を見て)は付き合うことになっている。

   それが伝統だ!。」

ののみ「・・・(玲奈を見る)」

玲奈 「(Vサイン)」

筒居 「君は圏外だし、愁のサブのサブ!、サブサブって言う事

   だ!」

選手A「コーチ、サブサブは、寒いですよ!」

   グラウンドから戻った愁と健(背番号11番(16、高2)

   にタオルを渡す玲奈。

玲奈 「愁!ののみちゃんの何処が好きなの?」

健  「顔が面白いところだよね」

玲奈 「私だって面白い顔出来るょ(と変顔をする!)」

ののみの声 「これってセクハラだよね、クソぉ」

    XXX

   筒居コーチ、ののみをまた見る。

   視線に気づき、胸を隠すののみ。

ののみの声 「セクハラコーチ!愁君助けて」

   サッカーボールをけろうとするが、コケるののみ。

筒居 「しかし、いいのか、あの子で・・・」

   XXX

   SNS書き込み

   「サッカー班の新司令塔が愛妻弁当」

   「毎日練習に女を同行させている」

   「それで勝てるのか」

    XXX

筒居 「よーし、勝負だ!どっちが勝つか」

    XXX

   愁と健がグラウンドで一対一(オフェンス・ディフェンス)

   の勝負している。

筒居 「勝った方がエースだからな」

選手A「玲奈を賭けて対決ですね」

    XXX

   愁の攻めを、防いでガッツポーズする健。

    XXX

健  「わざとだったら怒るぜ」

愁  「何でわざと負ける!」

   手でグーを創り、ぶつけ合う二人!。

愁  「健がエースだよ」

   玲奈の方に健を押し出す、手でLを作り二人に合図する愁。

ののみ「・・・(グーを作り)頑張れ!」

筒居  「健の奴、愁に彼女が出来て、玲奈を独占できるから、

   がぜん力が出てきたんだろう!これで我が校の伝統も守れる

   な・・うん、良いことだ!」


27. サッカー用具置き場(練習後) 6月 高2

   ボールなどの片付けるののみと玲奈

玲奈 「ののみちゃん、そのボールこっちに入れてね!」

ののみ「これですか?」

玲奈  「そうそれ・・・ねえ、ののみちゃんって、愁君の

   こと本当、好きなんだね」

ののみ「まさか(困惑)・・・玲奈さんは愁君が本命とか・・・」

玲奈 「そうだよ・・って言ったらどうする?」

   ののみ持っているボールを、上にあげる。

玲奈 「嘘!嘘!、マジ切れぅ?」

   ボールをかごに放り込むののみ。

玲奈 「大丈夫(ほっとして)、大丈夫、安心して、愁君のことは

   もう好きじゃないから」

ののみ「もう?(もう)・・・」

玲奈 「どうしても比べるよ、司令塔とフォワードは、一体だけど

   ライバルでもあるからねぇ」

   適当な道具に座る玲奈。

玲奈 「どっちが好きって言われても、どっちもってなるよね」

ののみ「なんないよ!好きなのは一人でしょ」

玲奈 「ののみちゃんはでしょ!(笑い)」

   立っているののみの手を引き、横に座らせる玲奈。

玲奈 「安心したなぁ、愁君に好きな人が出来て、だって・・・

   健に集中できるからね・・・」

ののみ「集中・・・」

玲奈 「かっこいいし、さっき勝ったからね」

ののみ「私、応援する(ガッツポーズ)」

玲奈 「ありがと、でも大丈夫、健が私のこと好きって知ってる

   から、あとは玲奈次第でしょう(腕組み)」

ののみ声「・・・すごい自信たっぷり、完璧上から目線」


28. サッカー部室 昼休み時間 数日後 6月 高2

   ののみ、弁当箱を開ける(アンパンマンのキャラ弁)。

ののみ「はぁぃ、本日のキャラは定番アンパンマン!」

愁  「幼稚園児かよ」

   二人の横、玲奈と健が並んで座ってる。

   玲奈の弁当箱を開ける健(粗雑な弁当)。

玲奈 「どうぞ召し上がれ」

   健、目をつぶって、何か黒いものを口の中に入れなが

   ら・・・。

健  「いただきます・・・(はっほ!)」

   玲奈の弁当をチラ見する愁、ののみに向かって。

愁  「(小声)顔とスタイルは、負けてるけど、料理は勝利だね、

   (普通声)初勝利~~」

ののみ「初じゃないよ(すねる)、愁君をゲットしたし・・・」

愁  「俺は弁当でつられたのか?」

ののみの声「玲奈さんに、愁君を取られることは・・・たぶんなさそうです!」

    XXX

   フラッシュ 部室 翌日 昼休み時間

   ののみと愁が弁当を拡げている。

  ののみの弁当、豪華二段重。

29. 教室内(日替わり、休み時間) 6月 高2

   教室の黒板、書かれている字を消している久美、傍にののみ

久美 「ねえ、愁のホントの気持ち確かめてみない?」

ののみ「ほんとの気持ち?、愁君は私を好きって・・・言ってない

   かぁ(_| ̄|○)・・・」

久美 「交際宣言はあったけど、好きとは言っていないっしょ、

   聞きたくない?愛の告白!」

ののみ「うんむ・・、彼女だけど、好きってことじゃないかぁ?」

   久美、黒板に書く。

   黒板の文字「you(あなたの)情、I(私は)情、

   Can(する)情」

ののみ「どんな気持ち・・・」

久美 「確かめないと(黒板を見て)・・・」

ののみ「・・・」

   黒板に追加で書くののみ。

   文字「he(非)情」

音  響くホイッスル

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