第3話 【恋は試練】エピソード2

8. 教室内(授業中) 6月 高2

   自分の机から、窓の外の景色を見ているののみ。

   (飛行機雲が流れている)

   フラッシュ XXX

   回想 グラウンド

   愁の顔を仰ぐように見るののみ。

   子猫を見る目で見降ろす愁。

   XXX

   前の席から回ってきた、メモ片を受け取るののみ

   メモの文字[駅裏公園7時、愁]

   まぶたをパチパチさせ、反射的に立ち上がる。

   椅子が後ろの机にぶつかる。

   愁の背中を見つめ、口を半開きのののみ。

   後ろの生徒たち、ののみをいぶかし気に見る。

   教師、黒板に向かっているので気付かず話している。

ののみ「あぅ、い・い・天・気・・」

   と、周りの雰囲気を悟って、スローモーションで椅子に座る。


9. 駅裏の小さな公園(薄暗い夕方) 6月 高2

   (小さな雑草の花)スマホを向けるののみ、背後に愁

愁  「それオオイヌノフグリだよ、ただの雑草!」

ののみ「この青キレイ、優しい青だよね(スマホを観る)」

   ののみ立ち上がると愁の目の前。

   ののみの顔に、顔を近づけ、唇を凝視する愁。

   眼を閉じ(薄目)、あごを出すののみ。

愁  「リップ?はみ出してない?」

   愁、人差し指で、唇のスイッチを押す。

   指を離すと、唇が指にくっついてくる。

    XXX

   フラッシュ 回想 化粧室 直前

   手が震え、口紅がはみ出すののみ。

    XXX

愁  「あぁ、ワリ、明太子かと思ったぞ・・からし・・」

   手で唇を拭くののみ。

愁  「昨日の話だけど・・・良いよ!俺の専属マネージャーなら

   だけど・・」

ののみ「え、専属って!・・・」

   スマホを操作し、(専属)を検索する、ののみ。

愁  「(遮って)専属契約、俺だけのってこと」

   と、愁、スマホを操作するののみのほほを両手で挟む。

ののみ「もっ、もちろん・・なります専属!」

   挟んだ手をさらに狭める。

愁  「じゃぁ、明日の昼飯から頼むな」

   暗がりに消えていく愁、後姿を見送るののみ。

ののみ「昼飯?」

   スマホを操作しようとするが。

ののみ「あぁ・・・」


10. ののみ家、玄関(その日夜) 6月 高2

   帰宅するののみ、玄関に靴を脱ぎ散らかして駆け込む。

ののみ「ママ!(叫ぶ)お弁当箱!カワイイの出して」


11. ののみの家のキッチン(深夜~早朝) 6月 高2

   机にお弁当箱(花柄)。

   スマホを見ながら書くののみ。

   ノートにお弁当中身の完成予想図とレシピ。

ののみ「よしできた・・・やばい、もう作り始めないと・・・」

   時計が4時を指す

    XXX

   まな板でニンジンを刻むののみ。

    XXX

   フライパンで炒め料理をするののみ。

ののみ「(調味料を入れ)愛を注入」

   料理をつまむ。

ののみ「しょっぱい(!)水足しとこ・・・」

    XXX

ママの声「あらぁ、派手にやってるわね」

   散らかされたキッチン。

ののみ「(汚い口元)ママ、手伝って・・・」

ママ 「がんばるわね」

   ののみとママ、話しながら料理する。

    XXX

   完成したお弁当、窓からの朝日

ののみ「さあ食べて」


12. 学校のサッカー部、部室 休み時間 6月 高2

   愁の前にお弁当を広げるののみ。

ののみ「一生懸命作ったんだよ、卵焼きが甘いのは、我が家の

   味ってやつで・・・」

   ののみの話は聞かず、ペットを飲んだり、がっつく愁。

    XXX

愁  「うま(!)いいね!、これ冷凍食品じゃないよね、

   やっぱり手作りはうまい、明日もよろしく」

   あっという間に食べ終わると、弁当箱を置きっぱなしで、

   部屋から出ていく、愁(始業のベル)

   残された空っぽのお弁当箱。ボー然とするののみ。

ののみ「はやぁ・・・、感想は?、味分かってるのかな・・・

   あっ、やば・・・授業はじまってるし・・・」


13. 河原 (夕方) 6月 高2

   夕焼けのオレンジ色が水面に反射してキラキラ光る。

   石を積み上げているののみ、背後から愁が来る。

愁  「(川に向かって)風が気持ちいい」

   立ち上がるののみ。

ののみ「ほんと、キラキラしてキレイだね!」

   手で双眼鏡を作って、その水面を覗くののみ。

愁  「ここに来ると色んなこと思い出す」

   と、ののみの横で、さらに石を積み上げる。

ののみ「楽しい思い出?」

愁  「まぁね(水面を見ている)」

    XXX

   ののみの胸にサッカーウエアやジャージを押し付ける愁。

愁  「これ洗濯して、乾かして、明日持ってきて!」

ののみ「乾かしてって無理だよ、家、乾燥機ないし、それに徹夜で

   寝てないし・・」

愁  「あっそ・・、いいよ、もう」

   行きかける愁。

ののみ「あっ、待って待って!やります、命かけて!」

愁  「じゃ、これな」

   ののみのおでこを人差し指で、押す愁。

愁  「スーパーウーマン、よ・ろ・しく・・・」

    XXX

   パンパンに膨らんだのバック、たすき掛けにするののみ、

   猫背だ。

ののみ「・・・(重い)」

   親指と人差し指で、Lを作る愁。

   帰りかける、ののみの背中にピストルにして向ける。

愁  「(バァーン・・・)」

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