最終話 夕焼け

すると、どうでしょう。

お姫様が叫び終えた途端に日は沈みきり、ひとたびの静寂が世界に染み渡りました。ふいにお姫様の身体がキラキラと光りだしました。まるで真夏の浜辺で砂が太陽を照り返すような眩しさで、それは儚くも力強く、細やかな煌めきでした。

空にはつい先程までの暗雲はなく、四方八方へと一目散に散っていく雲を追い払うように大きな虹がかかりました。大地には緑と野花が咲き誇り、果実は実りの産声を上げ、水は上流から河口へと勢いよく流れ出しました。再びこの世界に色が戻ってきたのです。


興奮して門番は言いました。

「お姫様見てください!沈んだはずの太陽が途端に東に現れました。太陽は金色……貴女の髪の色ですね。夕日はどんな色になるのでしょう、楽しみだなぁ。ほら、あそこに見える馬なんか」

続きを言いかけて門番はとなりにあるはずの温もりが消えたのを感じました。呪いが解けた今、お姫様はすべての色を失ったのです。そこに残ったのは白い骨だけでした。



思わず夢と疑ってしまう天変地異に、国中、いいえ、世界中の人々が泣いて喜びました。が、ひとり門番だけは嘆き悲しんでいました。門番の涙は頬を伝い、変わり果てた彼女へと落ちました。その時です。


「わたしはここよ!」

ふいに背後から聞き慣れた声が聞こえてきました。門番が目を凝らしてよーく見てみると、なんと影が喋っているではありませんか。

門番の慈しむ気持ちは涙を通してお姫様の亡骸に伝わり、奇跡を起こしたのです。最後に残った黒色で、お姫様は門番の影になりました。


それから2人は色のついた世界をいつまでも旅して回りました。



おしまい。




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あとがき


ここまで読んで下さった読者の方に感謝します。『モノクロの空』いかがだったでしょうか。

小説を書くのは初めてだったので、拙い文章だったと思います。(汗


また他の作品も心を込めて書いていくので、機会があれば読んでくださると嬉しいです。

読んだ方の心に少しでも潤いを与えられればそれ以上の光栄はありません。

ありがとうございます。

では、失礼します。


MeRRY

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モノクロの空 MeRRY @monoko

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