第4話 共同体

第四幕 共同体


一 無農薬有機栽培野菜直売所


「自然の恵み 無農薬有機栽培野菜直売所」という看板をかかげ、店先に、野菜や果物を並べている店がある。

そこで、小奇麗な服を着て、黒の前掛けをしている店員が盛んに客引きをしている。

店員は若くて黒髪、薄化粧である。


店員 有機栽培のおいしい野菜ですよ、いかがですか?


A太郎は、なにげなく店先を覗く。


店員 これはうちの農場で作ったキュウリですが、試食してみませんか?


店員は、キュウリをぶつ切りにして味噌をつけたものを差し出す。

A太郎はそれを食べる。


A太郎 へえ、なかなかうまいね。どこで作ったものなの?

店員 これは、わたしたち川溝会の自家農場で有機栽培で作ったものですよ。無農薬ですから安心ですし、有機農法だから味が濃いでしょ。それじゃこちらのリンゴもいかかですか?

A太郎 (リンゴを試食しながら)これもなかなかおいしいねえ。そういえば、川溝会って聞いたことがあるな。仲間で村みたいなものをつくっているところでしょ?

店員 そうですよ。私たちの会は他のところとは違って、間違いなく有機栽培ですし、決して産地偽装とかはないんですよ。

A太郎 そうだよねー…。最近、産地偽装とか、食材虚偽表示とかが多いよね、中国産のウナギを日本産だといったりとか、ロブスターを伊勢海老といったりとか…

店員 その通りですよね。肉なんかでも、くず肉を軟化剤で柔らかくして結着剤で固めた成型肉とか、注射器で脂肪を注入した肉とかなんかも普通に外食産業で使ってますからね。

A太郎 注射器で脂肪注入! それじゃ肉の整形手術だね…。舞台俳優も顔負けだ。


しばらく、お互いの顔をじろじろ見つめ合う。


A太郎・店員 (無言)…

A太郎 (気を取り直したように)それで、川溝会のものは信用できるのかい?

店員 もちろんですよ! 興味がおありなら、ちょうど農業体験とかやってますから、今度の週末でもいかがですか? 意外とここから近いところにあるんですよ。単なる気晴らしでも全然かまいませんよ。


店員は、A太郎にチラシを渡す。


A太郎 (独白)ふーん、農業体験か。週末は予定もないし、体に良い昼ごはん無料って書いてあるからな。行くだけ行ってみても別にいいかな。それに店員さんがかわいいからな。古来から、いや天地開闢以来、かわいい子に悪い子はいない、巨乳の子に悪い子はいないっていうからな…


(暗転)



二 川溝会の集会所


集会所の前で、川溝会の会員や農業体験参加者たちがカントリー&ウエスタンの音楽に合わせてダンスをしている。

しばらくしてダンス終了。


会員一(直売所の店員) 農業体験ご参加の皆さん、川溝会に興味のある方は、詳しくご説明しまーす! どうぞ集会所の方へ。


A太郎ほか数名が集会所に入る。

集会所の中は、会議用の机といすが並べられている。

A太郎と他の参加者、川溝会の会員数名が机を取り囲んで座っている。


会員一(直売所の店員) 農業体験いかがでしたか?

A太郎 いやあ、久しぶりに太陽の下で労働して気持ちよかったですよ。昼ごはんもおいしかったし。

会員一(直売所の店員) それはよかったです。是非、また遊びに来てください。それから、直売所の野菜もよろしく。いまは通信販売もやってますし。なにしろ、現代はネットの時代ですからね。私たちも、農産物は手作りですが、販売面では現代的な方法を活用しているんですよ。

会員二 ところで、先ほどご説明したとおり、川溝会は、共同財産によって共同で生活する理想の共同体という理念を掲げています。皆さんは、川溝会の理念に興味があるということですね。

A太郎 はあ。会員で共同生活を送るということですが、今の社会でそれって本当にうまくいくものでしょうか? 皆さんどんな生活を送っているのか、教育や医療などはどうしているのか、不思議なことだらけです。それにどのようにして会を運営しているのでしょうか? だれかカリスマみたいな人がいるんですかね。その辺が知りたいのですが…

会員二 なるほど。そのあたりは今日参加の皆さんも興味のあるところでしょうね。(A太郎を手で示しながら)それではこれからこちらの方に参加者の代表になってもらって説明のようなことをしたいのですが皆さんよろしいですか?


一同うなずく。

会員二はA太郎の正面に座る。


会員二 あなたなかなかよさそうな腕時計をしてますね。ちょっとはずしてもらっていいですか?


A太郎は、腕時計をはずし、会員二に渡す。

会員二はちょうど皆の輪の真ん中に腕時計をおく。

会員二はその腕時計を指さしながらA太郎に問いかける。


会員二 これは誰のものですか?

A太郎 私のですが。

会員一(直売所の店員) なぜ、あなたのものなのですか?

A太郎 私がこれを店でお金を払って買ったから。

会員一(直売所の店員) なぜあなたが買うと、そのものはあなたのものになるのですか? これをあなたよりもずっと必要としている人がいるかもしれません。そうしたら、この時計はあなたよりその必要な人が使うべきではないのですか?

A太郎 そんなこと言われてもね…。自分のものは自分のものでしょ?

会員二 では、あなたは金で時計を買ったということですが、その金は本当にあなたのものなのですか?

A太郎 (憮然とした調子で)もちろん自分の金ですよ。

会員二 それは単に、その金を誰かから横領したとか、盗んだものではないというだけのことでしょう。しかし、形式的にはそうでも、あなたが実質的に金を横領していない、窃盗していない、といえるのですか?

A太郎 あなた、いったい何をいいたいんだ!

会員二 あるいは、あなたが労働の対価として金銭を得たと主張するかもしれないが、それは本当に正当な対価だったのだろうか? あなたは、本当は価値の大してないものを作ったり売ったりして、価値以上の対価を得たのかもしれない。これは不当ではないのですか?

A太郎 (かなりむっとして)何言ってるのですか! 法律上私の所有権は認められているはずだ!

会員二 ほう、法律で決まっているから正しい、そういわれるのですね。それでは、ナチスがユダヤ人をガス室送りにした法律や、黒人はみな奴隷であるというような法律も、法だからすべて正しいのですか? 法律で水を飲むな、空気を吸うなと決められたらそれに従うというのですか?

A太郎 それは極端な例でしょう。通常は法律に従って行ったことは保護される…

会員二 あなた今、通常といいましたね。いったい何が通常なのですかね。あなたは、今現在ある社会制度というものの存在をよく考えたことがあるのですか? いまは、所有の話をしているわけですが、そもそも、このものがある人のものであるということは、今の制度では認められているかもしれないが、別の制度では違うかもしれないですよね。例えば、人類がまだ未開の段階で、人は小集団で生活し、狩猟や採取生活をしていたとします。そのような段階で、はたして、この土地は俺のだとか、この木は自分のだとかいったのでしょうか? それに文明が発達した段階でも、例えば、中世のころイタリアのフランチェスコという聖人は、無所有を唱えていました。そして、実際、彼とその弟子は、所有権をすべて放棄して生活したといわれています。つまり、実際にそのようなことは可能だということです。あなた、フランチェスコわかりますか?

A太郎 小鳥に説教をした人でしょ。教科書に絵が載ってましたよね。ほかは詳しくは知りませんが…

会員二 まあいいでしょう。とにかく可能だということはわかりましたか?

A太郎 そんな聖人のような特殊な話をされてもね…

会員二 あなたは、個人所有を否定することが例外で特殊で、おそらく異常なことと思っているのでしょう。しかし、異常なのは、個人所有を認めそれにどっぷりつかって生きていくことなのでしょうか? それとも個人所有を否定し、すべての人が平等に暮らすことなのでしょうか? 個人所有を認め、それに従って生きるというのは、固定観念に縛られているとは考えられませんか? 固定観念から一度解放されて、そこから自由になってみたらどうでしょうか。

A太郎 (自信なさそうに)あまり深く考えたことがないので…

会員二 もちろんそうでしょう。ほとんどの人はあなたと同じようなものですよ。実は、私もこの会に出会う前は、あなたとほとんど同じだったのです。所有のことなど特に深く考えず、惰性で暮らしていたのです。実は私こう見えても銀行員だったのですよ…。銀行では融資を担当していたのですが、世の中すべて順調にいくということはないです。融資が焦げ付いて、取り立てをすることになって、担保を取り上げることになったのも一度や二度じゃなかった。担保をとれば済むなら良いが、それでは済まなくて、破産することになったケースも多かったですね。破産した会社の従業員とか、あるいは自宅も取り上げられた上に、裸同然で放り出された経営者たちは悲惨なものですよ。いままで立派な家に住んでたのがぼろぼろの壁紙がはがれかかったようなアパート住まいですからね…。結局、年寄りや病人を抱えて、家族が風俗に身を落とす例、これを業界用語で風呂に沈むというのですがね、そんなことだってあった…

A太郎 (ぎょっとして)あなた、風呂に沈めたことがあるんですか?

会員二 (あわてて手を振って)あのう、いっときますが私が風俗に行けといったとか、風俗業者を紹介したわけじゃないですよ。私はそこまで悪人じゃない。闇金とかじゃないですから…。話をもとに戻しますがね。この社会では資本主義が当然視されているが、本当にそんな制度が人を幸福にできるのでしょうか。あなたも知っていると思いますが、今の世の中、強欲資本主義の時代ですからね。ごく一部の大金持ちや大会社が利益を独占する。他の圧倒的多数は、労働は強化されているのにさっぱり収入は上がらない。共働きをしてやっと食べられる程度ではないですか? つまりほとんどの労働者は、会社の所有する生産動物、いってみれば、「社畜」ですね。

A太郎 生産動物…社畜!?ですか…怖い言葉ですね…

会員二 中にはね、インターネットカフェで生活するような人たちだっている。今の世の中、そういう底辺の人たちのことなんか何も考えてはくれない。それどころか、ますます金持ち優遇を推し進めようっていう算段だ。世の中の権力者っていうのはね。一般市民が思っているよりはるかに狡猾なんですよ。さすがに現代社会ではあからさまに一般市民を抑圧することはできない。だから、権力者ははっきり見えないような方法で大衆を操作するわけです。マスコミなんかをつかってね。結局、マスコミから何度も何度もたれ流される歪んだ情報しか知らない一般人は、いつのまにか洗脳されてしまって、自分の首を絞めるしかないような政策に賛成してしまうわけです。以前の消費税増税だってそうだったじゃないですか? 

A太郎 なるほど…そういうことだったかもしれませんね…

会員二 私はつくづくそんな世の中が嫌になりましてね。そこで出会ったのがこの川溝会です。この会に出会い、この会の理念と理想を知って私は感動したのですよ。そして、会員として活動したのちはね、個人的な感想ですが、ほんとに心が軽やかになりました。心の中にさわやかな風が吹き抜けているような感じですかね。ですから、ぜひ他の人にもよくこの会の活動を知ってもらいたいのですよ。それに、あなたのように教養のある人は、こういうことを真剣に考える義務があるのじゃないですか?

A太郎 (やや気圧された感じで)そのうち革命でも起こそうというのですか?

会員二 いえいえ、そこまでは考えていないのですよ。会はもっと小さくかつ確実な目標と理念を持っているのです。今の社会体制のなかでも合法的でありながら、個人所有の否定と人間性の回復という理想を実現しようとしているのです。さきほどフランチェスコの話をしましたが、フランチェスコの活動も時の教皇庁から認められていたのです。要するに、現実の社会制度が理念と異なっていても、理念を実現する余地があるのです。

A太郎 (やや興味をもって)どのような方法なのですか?

会員二 それは、会員になるとき、すべての個人の資産を会に譲渡するという方法です。会員は自分の資産をすべて会の共有財産とする。これは今の法律に照らしても全く合法的な行為です。そのかわり、会は、会員に対して住居、食糧、医療、教育などを保障します。ただし、会員はその能力に応じて労働を提供することが求められます。それなしでは、共同体を維持できませんからね。

A太郎 えっ! 財産全部ですか? それは厳しいですね…。それに、人によって資産に大きな差があるでしょう。少なくても多くても会での扱いは同じなのですか?

会員二 もちろん同じです。会の理念は平等です。提供資産の違いで差別したのでは、個人の所有の否定とか人間性の回復とかいう理念は到底実現できませんから。それから、会の運営は極めて民主的に行われます。会のなかでは上下関係はありません。すべては話し合いで決まるのです。

A太郎 なかなか話し合いがつかない場合はどうするのですかね?

会員一(直売所の店員) そのような場合のために、調整委員会というものがあるのですよ。そこが話を取りまとめるために介入するわけです。

A太郎 なるほどねえ。

会員二 大事なことはね。生活の満足ということです。会の中ではですね、皆が皆のために自分のエゴにとらわれず生活するわけです。そういう生活をしているとですね、だんだん皆の表情も変わってくるのですよ。

A太郎 どんな風にですか?

会員二 なんというか、穏やかな顔つきになるというのですかね。私なんかも、会に入ってから、大分人相がよくなったといわれましたよ。そしてですね。自分のしていることが、自分のためだけではなく常に皆のためになっているという、そのすばらしさ! この感動は何事にも代えがたいものがあります。

A太郎 そんなものですかね…

会員二 先ほど話し合いのことを言いましたが、実際にはもめごとなんかほとんど起こらないのですよ。みな生活に満足していますから。だんだん自分の個人的意見と会の方針が一致するようになるというか、自分の判断より皆の判断を優先するようになるというかね。そんな感じになるのですよ。

A太郎 (正面を向いて独白)こりゃ、ひょっとして判断や意見を全部会に丸投げして、自分は何も考えなくなるってことかな。ちょっと聞いておくか。

A太郎 あなたの場合、最近、会に意見を言ったりしたこととかはあるのですかね?

会員二 もちろんありますよ。集会所の周りに植える花はコスモスよりパンジーにしたらどうだとか、学校の壁の色は白よりアイボリーの方がいいのじゃないかとか…

A太郎 ずいぶん小っちゃい話ですね。会の運営方針とかそういうことではどうですかね?

会員二 それはないですね。会の運営は適正に行われているし、だいたい、自分の判断なんかより、会の判断の方が正しいのですよ。深く考えず従っている方が楽だし、結果的に良いのです。

A太郎 会の運営に反対するような人たちはどうなるのですか?

会員二 (無関心そうに)さあねえ。だいたい会を脱退するようですがね。まあ会に合わなかったというか、十分会の理念を理解できなかったということでしょうかね。

A太郎 ひょっとして、上の決定には絶対服従で、反対したら粛清されるようなどっかの国みたいな話なんじゃないのですか?

会員二 (怒気を含んで)あなたはいったい何者か。無知であるのに、経綸を論じる者は!


ひとりの会員が新聞紙の半面分をA太郎の横に敷く。

A太郎と新聞紙のまわりを会員たちが囲む。


会員二 (強い調子で)あなた、そこの新聞紙の上に立ちなさい。


A太郎は、びくびくしながら新聞紙の上に立つ。


会員二 よいですか。これが今のあなたの状態です。あなたは今何を感じていますか?

A太郎 なぜこんなことをしなければならないのですか?

会員一(直売所の店員) (大声で)質問に答えなさい! あなたは何を感じるの?

A太郎 (おびえた感じで)狭いな、と感じます。それから拘束されているような気がしますが…

会員二 それがあなたの現在の状態そのものです。既成の社会規範にとりこまれ、どっぷりつかり、批判することを忘れ、人のいいなりになっている。新聞紙の上で立っている今のあなたの姿こそが、通俗的な規範にとりこまれたあなたの姿の象徴です。わかりますか?


A太郎は、疲れたようにため息をつく。


(暗転)



三 街灯付の電信柱とベンチがある広場


広場のベンチにA太郎が座っている。


A太郎 ああ、結局、川溝会もろくなところじゃなかったな。あやうく全財産を巻き上げられるとこだったよ。だいたい俺の腕時計を返してもらうのにどえらい苦労をしたよ…。あれを取り上げられちゃかなわないよ。なにしろ、円周率暗記世界最高記録達成記念キャンペーンローンで、金利三・一四一五九二六五三五八九七九三二三八四六パーセントの一〇年ローンで買ったんだからな。なんでも、そこの銀行員が世界記録を達成したとかなんかでね。よくあんな無意味な数字の羅列を覚えられるものだよな。

電信柱 人間には不思議なところがある。

A太郎 それにしても川溝会だけど、あそこじゃ、パンツまで共用だそうだ。いくらなんでもパンツくらい自分のものを穿きたいよ。それに、もし退会したいといっても、一切の財産は返却されないうえに、下手すると、もらってない賃金の税金までとられるっていう話らしい。随分な話じゃないか? 民主的運営だっていうのなら、財産の一部くらい返却すべきじゃないのかね…

電信柱 うまい話には裏がある。

A太郎 それに怖いのはあの会員たちの集団の圧力だよな。新聞紙の上に立たされたときはビビっちまったよ…。何を感じるとか聞かれたとき、本当は、どっかの大国みたいに「強烈な不満」を表明してやりたかったけどね…。たぶん、みんなで話し合って仲良くみんなで決めるっていうのは嘘っぱちで、上の方が決めたことを形式的にみんなで承認するだけなんだな。上の決定に逆らったら、結局村八分かなんかにされて、何を言われても逆らわないように態度を変えるか、退会するしかないようだ。でも、退会するって言っても、財産は返してくれないから、普通の人は会に残るしかないってことかな。

電信柱 塀のない刑務所が一般人の指定席なのさ。

A太郎 でも、一番怖かったのは、何も自分で考えなくなるってところかな。会員の人たちはそのほうが楽だし幸せだって言ってたけど、なんかそんなのでいいのかねぇ…。あの人たちは、普通の会社員たちを社畜とかいってバカにしていたけど、彼らも川溝会の家畜みたいなものじゃないのかなぁ…。

電信柱 多数派にすり寄るのが人間だ。

A太郎 そうかもね…。これは日本人の典型的な欠陥だよね。いつも上からの指示、周りの多数派の考えに合わせ、すりよって生きてゆく。原発事故のとき話題になった原子力村っていうのがあるけど、原子力関係の、原子炉メーカー、電力会社、その下請け会社、役人はもちろん、原子力関係の大学関係者なんか、みな村社会の人間だったもんね。村社会の内部では、原子力推進に反対することなんて不可能だったみたいだし。原子力は利権と結びついているから、反対勢力が存在するということは利権を失うということにつながりかねないわけだ。だから、反対派や不満分子は徹底的に排除されたらしいね。まさに、多数派が少数派の批判や考えを頭ごなしに無視し、圧殺したということだね。その結果どうなったか。それがあの原発事故だよね。多数派にすり寄るってことは、そんなことなのかね…

電信柱 利権こそ人生ということだな。

A太郎 ああぁ、俺もダメな男だ。あんな怪しい団体が幸せをもたらしてくれるんじゃないかなんて、ちょっとでも考えたのが間違いのもとだよ。今度は、もっと自分でなんとかするんだ。やっぱり他力本願はダメだな…。なんかいいものはないかな。うーんどんなものがあったかな…


A太郎は、電信柱に貼ってあるビラに目をやる。


A太郎 「禅体験 〇×寺にて」だって。今度は禅ですか…


A太郎、立ち上がって歩き出す。


A太郎 そろりそろりと参ろう。そろりそろりと…


(暗転)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る