第15話
ルナファストはやけにキグナスに怯えていた。革命軍とは言っていたが、なぜ怯えているのかが気になった。
「キグナスの知り合いだったのか?」
キグナスは、表情を変えることなくまっすぐこちらを見ている。
「いいえ。革命軍と戦闘中に、私は国の平穏を脅かすものを取り締まる義務があるのでその時に会っていたのでしょうね」
なるほどな。向こうは知っていたが、キグナスは初めて会っていたということか。
「素朴な疑問だ。この世界で死ぬとどうなる?」
今更になって、気づいた訳だが。俺は今まで、死んで生き返るような事を考えたことは一度もなかった。しかし、ここは異世界。もしかたらがある。
「生き返りはするね。でも、ステータスやレベルは下がってしまう。二斗君の場合はかわらないんだけどね」
そんなに笑顔で言わないでくださいよ。悲しくなってくるじゃないですか。
「生き返るんだ」
何度死んでも大丈夫だとわかって肩の荷がおりたような気分だった。
「あまり、死ぬことはおすすめしないね。苦痛に耐えながら命を落とすことになるからね。生き返りはするが、瀕死状況から半日以内に蘇生が行われないものは死ぬ」
彼は、自分で軽々しく言った。半日以内.....か。
肝に銘じておこう。
俺もそれだけは、いやだ。何としてでも生き残る術を見つけなければ。
「忠告ありがとう。気をつけるよ」
「じゃあ、ルナファストも」
口を挟むようにして、キグナスは話す。
「ああ、そうだね。彼も今すぐにでも治療をすれば死にはしない。だからこそ私たちのような街を守る人が必要になってくる」
たしかにそのとおりだな。革命軍は彼女を狙っていた。
「セリナは、俺たちといたら危ないのかもな」
いつまた革命軍に襲われるかわからない。
「私なら大丈夫よ。これでも、あなたを信用しているつもりよ」
俺なんかを頼りにしてくれるのはありがたい。が、俺というよりキグナスが守ってくれている。
「キグナス、いつも助けてもらってばっかだ。すまない」
深く腰から曲げてお辞儀をする。
「いいんだよ、そんなことは。君がやれることは君がやる。俺がやれることは俺がやる。適材適所ってやつだ。気にすることはない」
身も心も隊長にふさわしい器を持っていると関心してしまう。
ーー
それにしても、革命軍とはなんだったのだろうか。相手から情報を聞き出す間もなくあの後、何者かが遺体を回収に来た。また、現れることがあれば必ず聞き出してみせる。
(ふぅ、疲れが今になってどっと押し寄せてくる)
「二斗君かい」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
「シュナイダーさん!」
久しぶりにあった。
「よかった。この街の暮らしにはだいぶ慣れきているようだね」
「はい。新たに2人のメンバーが加わって楽しいです」
「それはよかったよ。それじゃ」
「二斗君。あの人は?」
「シュナイダーさんは果物屋さんの店員だよ」
「へぇ、そうなんだ。革命軍にいたきがしてね」
シュナイダーさんが革命軍の一員だと......そんなはずは。
「キグナス、革命軍ってのは一体?」
「簡単に言ってしまえば、この国を乗っ取るのが彼らの最大の目的だ。革命軍。名をガルカスと言う。昔んに私たち、セイント軍が壊滅させてはずだったのだが、まだ水面下では生きていたらしい」
俺の知らない所でそんなことが起きていたなんて。
「彼らは、基本的に単独で行動していて、街の人と同化して普通に暮らしている。だからこそ見つけるのが難しい」
そのガルカス軍が居る限り、街には平穏を訪れないと言うことだな。
「わかった。俺がガルカス軍のボスに文句を言いにいってやる」
「二斗君、簡単に勝てる相手ではないよ」
「二斗、やめておいた方がいいわ」
彼女と、キグナスは必死に俺を説得する。俺だってセリナの役に立ちたいんだ!
「俺決めたんだ。この街とセリナを守るって」
「二斗君。かっこいいね」
「二斗......」
「分かった。案内するよ」
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