第9話 ジルクニス討伐①

 街を後にし、クエスト依頼者の元へと向かう。街を出ると広大な草原が見える。スライムやら、ゴブリンがあるこちにいる。


「街の外に出るのは、初めてだな」


 俺はモンスターがいる事に多少驚きはしたが、モンスター討伐クエストがあるのだから居てもおかしくはないと納得する。


「私も、初めてよ」


 セリナは―まぁそうだろうよ。こいつ戦えないし。


「キグナスは、初めて?」


 そんな事はないと思うが、一応確認する。


「私も、外に出るのは初めてだ」

 え......嘘私の年収低すぎ。じゃなかった、このPT大丈夫か?不安材料しかないのだが。

いきなり、飛竜を討伐するのは危険すぎる。

 俺は二人に提案をする。


「その辺にいるスライムで、うでだめししないか?戦闘の経験を積んだ方がいいと思うし」

「そうね賛成」

「私も異論はない」


 2人の了承を得たところで、一体のスライムにターゲットを絞る。


「あのスライムにしよう!」


 炭みたいに、真っ黒の色をしたスライムを指差す。


「了解だ」

「良いわ」


「決まりだな。セリナは、遠くから回復援護俺とキグナスで、スライムをはさみ打ちな。じゃあ行くぞ」

「うおー。そいや」


 俺は、スライムの真正面に行き剣を一振りする。半分に分裂した。


「やったか」


 分裂したスライムは時間が経つに連れて、くっついていく。


「再生しやがった。こうなったら」


 俺は剣をこれまでもかというほど振り回す。

「どうだ。これで再生できまい」

「二斗あぶないっ」


 剣についたスライムの破片が、再生するとともに、腕を引っ張られる。


「うあああああ」


 俺はスライムの中に閉じ込められてしまった。ヌルヌルして気持ち悪い。息が出来ん、苦しい......


「次元閉鎖ロックド・ディメンション」


 スライムだけが、黒い空間へと吸い込まれていく。


「キグナス、すごいわ」


 セリナは感心している。


「ところでその技は?」


 俺は、息を整え問う。


「ロックドディメンション、この技は対象一体を選択し別次元へと飛ばす技」


 キグナスは淡々と話をしていく。滅茶強いんですが。飛竜もこれ使えば、楽勝じゃん。


「飛竜もこれで、いちころだな」

「いや、それがだな。この技は弱いモンスターにしか効果はない」


 まじか。そんなに簡単に倒せる相手ではないという事だな。


「二斗、キグナスさん。モンスターもやっつけた事だし先を急ぎましょう」


 俺は、今回の戦闘で良いところを見せられないまま依頼者の元へと歩みを進める。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る