11月4日

【解説】

 嘘を何に据えるか。

 日常の『嘘』、友達の『嘘』、彼女の好き、色々混じっている。

 その中に、血縁の『嘘』もある。


 完成稿でも出ているが、父親と正人の血液型は通常の遺伝上親子ではあり得ない組み合わせをしている。もちろん、正人は知らされていないし、完成稿では父親は最後まで語らなかった。ちなみに戸籍上は実子である。このメモではまだ父親は気が弱く、遺伝上の父親では無いと認めて、けれど、選ぶ結末を考えていた。

 これには母親の『嘘と本当』という理由があり、母親の『よく似た兄』がでてくる。

 ややこしいね!

 何があったのかは考えている期間を通して一切書く気は無かった。


 ちなみにオトちゃんは父親にそっくりである。生きていないわけではあるが。


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「嘘でも構わないって思ったんだよ」

 コーラを注がれて、お返しにとビールの缶を持ち上げた。

「父さんは母さんが好きだったし」

 背筋を伸ばして手を伸ばす。少し目線を上げた親父は、うれしそうに目元を緩めた。

「こういうことをしたかったんだ」

 五〇の声も聞こえ始めて、すっかり額は広くなって。Yシャツの首元はすっかり色が変わってしまって、スーツの皺も取れないけれど。

「俺の父親は親父だけだから」



まさと(仮):AB型

親父:O型

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