10月30日

【解説】

 まだ小学生が主人公らしい。

 浮気は恋愛の嘘。そんなイメージでドラマや女の子達の会話が入っている。

 小学生ぐらいの頃の『恋愛』は恋に恋している雰囲気が強く、当時は凄く無理しているように感じられた。その辺りを考えていたように思う。

 これも話が広がらず、メモも中途半端な書き出しで止まっている。


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 ピ。ピピピ。

 三回目でアラームを止める。

 カーテンの下の明るさに瞬きしながら起き上がる。カーテンを引き開ければ、今日の天気が広がっている。

 雲がない。高い空。晴れ。

 嘘だと誰かに言って欲しい月曜日の朝だ。

「起きなさい! 遅刻するわよ!」

「はーい!」

 僕はもう起きていたけれど、今起きたみたいに返事をする。

 上着を羽織って寝間着のまま、台所へと出て行った。


「ママ、おはよう」

「はいおはよう。パンは焼けてる。牛乳は冷たいのでいい?」

「うん」

 ぱたぱたくるくるママは動く。自分の椅子によじ登って、トースターから飛び出したパンを一枚引き抜いた。ジャムを付けて一口囓る。テーブル脇に置かれたテレビからアイドルの悲鳴が聞こえてきた。

『浮気なんて、絶対ゆるせません~!』

 だん、とテーブルが揺れた。僕は気付かないふりをする。パンを家事って目玉焼きにお醤油をかけて。

『だって、嘘ついたって事ですよね!?』

 次の話題に移る頃、ママへと振り返ってお願いするのだ。

「アニメ見ていい?」

 ママはもう、嘘つきのテレビを見ていない。好きにしなさい。漬け物を摘まみながら呟いた。


 登校班に混じって学校への路を歩く。六年生の班長が先頭に。班長の妹がくっつように後ろにいて、女の子達の集団が続く。一二年生がその後ろ、僕らは副班長と一緒に後ろだ。

 僕らの後ろには女の子が一人居た。


 あの子は嘘つきだとか、だからしゃべってはいけないの、とか。

 言ってる近所で一番可愛い女の子は、好きな人がまた変わったのだときゃらきゃら言う。

「ほんとうじゃなかったの。だって、ぜんぜん優しくなんかないんだもの」

 先週の月曜日も同じ事を言っていた。

「今度はほんとうよ。まえのはうそよ」

『本当』はたった一週間で『嘘』になった。



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