第17話 君が選んだその道は


 1.軍の研究者となり世界と戦う国落ちストーリー


→2.城の研究者となり姫と一緒に勉強する青春モード


→3.町の研究者となり家族や親友と楽しく暮らす日常パート


☆ ☆ ☆


「うーん、どうしよう…悩むなぁ」

どれも先が見えなくて、でも全部楽しそうだなと思った。

【一国の姫の意見と致しましては、軍部が今人員不足でして是非入隊していただきたいのですよね…優秀な研究者もいなくなって軍師も先の戦いで戦線離脱いたしましたので…】

姫様が困った顔をしながら独り言のようにつぶやいた。

「そんなに頻繁に戦争してらっしゃるんですか…?」

あまり治安の良い世界ではないのだろうか?いや、日本が平和ボケしすぎてるだけかな。

〈おいクー。軍はやめておけ。たくさん死ぬぞ。〉

フレアが口をはさんだ。

「死ぬって・・・やっぱりそんなに危険なんですか?」

フレアが重たい顔で首を振った。

〈違う違う・・・いっぱい人を殺すことになるって言うんだよ。お前は。〉

【そのとおり、敵陣に竜巻や局所地震なんて起こせたら圧勝でしょうね。】

そうか・・・

人を殺すことなんて考えてもみなかったな。

「前任の研究者さんってその・・・戦いでお亡くなりになられたんですか?」

【いや、前任の研究者さんは戦線を離脱しただけよ。それはもう優秀な方でね、自ら進んで戦うことはなかったけれど、自軍の被害を最小限に抑える戦い方をする人だったわ。】

俺もフレアも、ローズ姫の語る武勇伝を黙ってただ聞いた。

【その人は化学の研究者で、兵器の開発と軍師を担当していたわ。相棒の軍医と一緒に多くの成果を上げていたの。】

それなら疑問が1つ残る。

「そんなすごい人が、どうして軍から離れちゃったんですか?」

姫が目を細めて言った。

【どうしてでしょうねぇ…ねぇフレア?】

〈・・・あぁ。〉

・・・えっ

「その軍の研究者って、フレアさん!? うそ・・・」

嫌な昔の思い出でもほじくられたかのように、頭をかきながらフレアが言った。

〈軍に所属すると研究費がたっぷり貰えてな、それ目当てで入ったのはある。というか国王様の指令だったからな、私の軍所属は。一定の成果があるまで帰してはもらえなかったんだ。〉

フレアが語りだす。

〈私の作った兵器は戦況をかえちまったよ。自軍の生存率は上がったが敵国の人間を多く殺した。それが耐えられなくてな。その戦果と功績を称えられて私は教士になったんだけど、もう自分の研究成果が人殺しの道具になるのが嫌で嫌でたまらなかった

。〉

あの日、初めてシャーリーやフレアと会った日の事を思い出した。

フレアが泣いていたのはそういうわけだったのか。

〈私もメディみたいな選択がとれればよかったのにな…〉

「メディさんも一緒だったんですか?」

〈そう、メディも。当時メディと私は錬士になったばっかりで、それから軍部に呼び出されたんだ。私は研究資金欲しさに進んでなったが、メディは最後まで嫌だと反対してな。私が兵器を生み出した日に、メディと喧嘩して、そしてすぐメディは軍を去ってったよ。今思えば私がばかだった。人殺しの道具を作り出すなんて。〉

そういうフレアはどこか寂しそうな目をしていた。

姫がそうそう、と付け加えた。

【もちろんペナルティはあったわよ。研究者のランクは錬士、教士、博士の順で高いんだけれど、メディはその件で錬士を剥奪されてしまったの。降格って言った方がいいかしらね。】

錬士だって、相当優秀な研究者だ。その戦争を境にフレアは上のランクヘ。メディは下のランクへ行ったってわけか。

〈私は一定の戦果を挙げて教士になったわけだけど、それからすぐに軍を止めたわ。もう、私の研究で人が死ぬのは嫌なの。というか、メディに嫌われたくなかった。〉

そっか、そんな理由があったのか。

「分かりました。軍は…やめてもいいですか?」

おそるおそる姫の顔色を窺う。

【んー、残念ですね。この国の姫と致しましては是非軍に入っていただきたかったんですけど・・・】

といいつつも口元が笑っていた。

【でも、私セント・トパーズ個人の意見としては、出来ればこの街か城に残っていただいて是非ぜひ一緒に勉強したいしわからないところとか教えてほしいかなー、なんて思います。】

ちょっと恥ずかしそうに、少し子供っぽく、ローズ姫がそんなことを言った。

「いいんですか?」

【いいですよー。私に地学教えてくださいっ!】


日常青春パートを取った。



【あぁでも研究者の認定許可とか所属決定権とかの最高権限は私が持っているんで有事の際や国防の危機の時は働いてくださいね。】

〈仰せのままに、姫。〉

「畏まりました。ありがとうございます。」

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