第3話
さっきまで元気に走り回っていた犬が、ぺたん、とその辺に座り込んでしまった。
はしゃぎすぎて疲れてしまったのかな? と思ったが、苦しそうにうーうーと唸っていて、なにやら様子がおかしい。
「あれ、どうしたんだろう?」
「マナが足りなくなったんだと思いますよ?」
「マナ? 魔法に使う魔力素のこと?」
「人間はそう呼ぶのです? 我々モンスターは特技を発動するたびにマナを消費するのですよ?」
そうか、この犬の特技、舐めまわしだったもんな。
さっきから俺とインプのおっさんをぺろぺろ舐めまくってたもんな。
ひょっとしてあれ、生命力を削る行為だったのか。
しかし、カワイイ犬が苦しそうに唸っているのは見ていてしのびない。
「どうやったら治せる?」
「マナを蓄えさせる必要がありますよ? 犬が食べられる手ごろなモンスターを作るといいですよ?」
「そうか……よし、新しいモンスターを作ろう」
俺は、むーん、と唸り声をあげ、ダンジョンに魔力を送り続けた。
俺の体から漏れ出る魔力素をたっぷり体に含んだ栄養たっぷり、滋養強壮モンスター……。
爪も牙も持たない犬が食べられるような離乳食にもバッチリ、おつまみ感覚のモンスター……。
あと、エサがなくなったら困るから、大量に繁殖するモンスター……。
じわりじわり、と魔導白書に新たなページが刻まれていく。
どうやら、アリのような虫系のモンスターになるようだ。
「よし、こんなもんだろ」
そう言って、気を抜いたとたん。
どばっと、ダンジョンの一角から凄まじい勢いでアリがあふれてきた。
犬もインプもその大量のアリの波にのまれて、姿を見失ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます