ナンチャッテコース料理
「鯛のカルパッチョです。パンもご一緒にどうぞ」
いいねいいねその顔。カルパッチョ?なにそれ美味しいの?って顔してるね。
美味いんです!
ーーー3分前ーーー
「料理をお持ちしました」
結局俺が料理を運ぶことにした。
運ぶ事は成功した。またどっかの誰かさんにぶつかる事は無かった。
まぁ、そのどっかの誰かさんが食事運んでるんだがね。
王様は俺を見て言ったのさ。
「ふん。この学校ではこんな仕事も子供にやらせるのか。料理は零さないように注意するんだな、坊主よ」
いやいや。さっきは大人が零したんで、子供も大人も関係ないっす。
え?俺のせい?はてなんのことでしょう?知らないよ?別に知らないよ!因みにさっきの料理人にはちゃんと謝ったからね!
「固まってないでさっさと料理を出せ」
「ではまず、こちらから」
運んできた料理の蓋を開ける。
「鯛のカルパッチョです。パンもご一緒にどうぞ」
「貴様私を舐めているのか?そんな量では私の胃袋の50分の1も満たされやしないぞ」
とか言いつつ早く食べたそうな顔を隠せていない。
「ご安心ください。そちらは前菜と言い、食欲を駆り立てるための食事の飾りに過ぎません。そちらを食べ終わったあとに新たに料理をお持ちします」
「そ、そうなのか。あまり待たせるなよ」
一見平然を装っているが、多少焦りがあることが窺える。恐らく自分の知らない食事の仕方に多少動揺しているのだろう。
「では、失礼いたします」
そう言って俺は部屋から出た。
今回のコースはあくまでもナンチャッテコース料理だ。地球の時と全く同じように料理を出す必要は無い。今回はスープを抜きにして、魚料理を出す。と言っても、ソースがないので、塩焼きにするだけなんだが。塩焼きで美味しい魚と言えば、鮭、鮎、鯖、秋刀魚などがいいと思う。
さっきストックの魚を見たら、鮭と鯖と秋刀魚があった。流石に鮎は無かった。
今は季節的にも秋刀魚って感じじゃないからなぁ。比較的さっぱりとした鯖の方がいいかな。
早速鯖を出して調理を始める。まずは鯖をちょうどいいサイズの切り身にカット。そこに酒と塩を振って水分を出す。
あとは焼いて周りに人参、ゴボウ、キノコ各種等を軽く焼いたものを添えて、完成だ。ソースがないので、ちょっと味気ない感じだが、素材の味が出てていいと思うよ。
次に肉料理。コース内にパンを入れない代わりに、ここにご飯を入れようと思う。米はさっき炊いてあった残りがある。それにお酢、砂糖に塩を加えて酢飯を作る。
更に残った米をトマト、玉ねぎ、人参、ニンニク、塩コショウと炒めて簡単なガーリックライスを作った。仕上げにバジルを軽くまぶしておいた。
肉はさっきから料理人たちに指示して煮込んでもらっていた。塩水につけてもらった後、ワイン、蜂蜜と林檎の入った鍋に投入。じっくり煮込む。
それを薄く切って酢飯と一緒に握ればビーフステーキ寿司に。上にワサビを軽く載せる。ソースはないけど肉の旨みはしっかり出ている。
残った肉もサイコロ状に切り刻んでガーリックライスに添えて完成だ。
和と洋のコラボ。二種類の味が楽しめるのもいい。本来なら二つも作る事は無いが、なんせナンチャッテコース料理だからね。
チーズは無いのでそれもパス。そうすると次は果物だ。
あった果物を綺麗に切っていく。見栄えよく並べたら蜂蜜を添えて完成だ。一応隣にパンを添えておいた。
次のデザートだが、ケーキもアイスも無いので、代わりに砂糖を焦がしてカラメルソースを作ってさっきの果物に蜂蜜と添えておくことにした。
これでナンチャッテコース料理は完成だ。
ほかの先生達に頼んでサラダと魚は持っていってもらっている。料理も終わったので次の肉は俺が持っていくことにしよう。
いやあ。それにしても自分が言うのもなんだが旨そうだな。て言うか味見したから美味いのは分かってるけど。
こっちに転生してからまともな料理 (こっちの世界からすればまともなんだろうが)食ってなかったからなぁ。たまには自分で作って食いたいもんだ。
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