フルコース
考えてみよう。たった30分で 一国の王を満足させられる料理は作れるだろうか?
答えは否だ。そんなこと出来るわけが無いんだ。
下ごしらえの時間を省いても、30分じゃ作れやしない。
じゃあ俺はどうしようか考えた。そこで俺はある答えにたどり着いた。
やっと厨房に着いた。厨房の中では数名の料理人が笑いながら雑談をしていた。
全く……この大変な時に……
と、思ったが、考えてみれば彼らは知らないんだった。
俺が厨房に入っことを料理人達は気付いていない。
冷蔵庫、ストッカーなどをざっと漁る。 食材は余るほどある。が……
調味料関係が全く無い。醤油、味噌、マヨネーズ、各種スパイス、出汁、無い……全く無い。いや、存在すらないのだ。この世界には……
穀物系の調味料はある。酒もあるし、お酢なんかもある。あとは塩と砂糖、蜂蜜ぐらいか。一応スパイスとして瑚椒やわさび、唐辛子の粉末(一味)はあった。
俺は包丁を取り出し、早速俺はあるものを作り始める。
(タタタタタタタタタタタタタタタタ)
久々に包丁を持ったが、案外使えるものだ。まあ実際生まれてから初めて包丁持つんだけどね。
「ん…………?おいおいそこの坊主。君みたいな子供が包丁なんてつかちゃあ危ないだ………………ろ?」
料理人の一人が包丁の音に気づいてこっちに来るが、俺の包丁さばきを見て絶句する。それもその筈。俺は前世の地球で世界一になったシェフだぞ。
最初の料理人のあとを追うように、ほかの5人の料理人がぞろぞろとやってくる。
「おい坊主。それどこで習ったんだ?」
「お前すごいな!」
少しずつうるさくなって鬱陶しい。たしかに俺は、この人達の頑張って作った料理を無駄にしてしまった。料理人として許されることでは無いかもしれない。だが今は時間が無いのだ。
「邪魔です!暇なら手伝ってください!」
目上の人 (立場上は)に向かって失礼かもしれないが、緊急事態だ。手伝ってもらった方がいいと思う。
「お、おう」
「何すりゃいいんだ?」
「あんな包丁さばき見せられたら断れないだろ」
俺は全員に指示をすると直ぐに一品目に戻る。
鯛を薄くそぎ切りにして、塩、瑚椒を振る。パプリカピーマン玉をみじん切りに、水気を切ったら並べた鯛の上へ振りかける。更にオリーブオイルとレモンの汁、少量のお酢を混ぜたタレをかけて完成。ついでに真ん中にパセリを添える。周りにトマトも載せておいた。
皆さんお分かりだろうか。10分でできる簡単カルパッチョだ。まあ今回は鯛をさばくところからだったので、多少時間はかかったが。
なかなか簡単なレシピだが、盛り付けはプロだ。見た目は最高に良い。
パンはあったので、カゴの中にパンを入れて一緒に持っていく。
俺が何をしたいのか。30分で作れなくても、もう少し時間があれば料理は作れる。その為、客が料理を食べている間に料理を作れば十分に間に合う。だから俺は、コース料理のようにすればいいと思ったのだ。今のカルパッチョはその前菜だ。
スープやチーズ、ソルベなどの準備は出来ないが、その他の料理なら十分に作れる。
二つ目は、サラダだ。だが、この世界ではドレッシングのような物は存在しない。だが、簡単なフレンチドレッシングならすぐに作れる。あとは野菜を準備すれば完成だ。
そんな中、ヴァイア先生が走ってやったきた。
「皆さん、どうもすいませ、……ん?」
皆が黙々と調理をしているのに気がつく。
「先生。今変えの料理を作っているので安心してください」
そういいながらレタスを取り出す。
「ガリュー君!何であなたがここに?作っているって…………間に合いませんよ!あと5分でもう会食の時間ですよ!」
「大丈夫です待っててください!」
「そうですか……もう諦めようと思いましたが、どうせなら食べてもらうだけ食べてもらいましょうか……」
諦めるって……学校潰す気かよ。
「なんとか私の首の皮は一枚つながったようですね。本当にダメなら私が奴隷にでもなってなんとかしようと思っていたのですが……」
重い重い!責任重い!それはやばいって。
それよりこんな世界にも奴隷制度があるとは……いや、今は関係ない。
それにしてももう時間か。そろそろ食事を運んでもらうか。
ガリューの豆知識 コース料理
コース料理には、料理を出す順番がある。
まずは前菜で色鮮やかな料理を楽しんでもらい、サラダで血のバランスを良くしする 。
まあ王様に出すんだからもっと見栄えよくしたいが...
次にスープ、パン。そして魚料理を出しす。
その後にソルベを食べてもらって口の中をリセット。そしてメインの肉料理を食べてもらう。
そしてチーズ、果物、デザートを出す。チーズないな...。
これがフルコースだ。
今回はソルベやチーズは作れないので、出番は無し。スープも時間が無いので出番はなしだな。
簡単な豆知識コーナー...だな。
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