HSP
「皆さんは直に体験して分かったと思いますが、魔術には危険が多く潜んでいます」
先生の言葉が俺の胸に刺さる。先生は俺に向かっていっているようなものだ。
「先生!僕はどんな危険があっても女性を守りたいと思います!」
(シャープ)ナスが大きな声で宣言する。
うん。頑張れ。
「...........ええと、どんなにバリアを張っても、怪我をしてしまう事は有ります。そんな時に便利なのが、治療魔術です。今日は実際に緊急治療(ヒール)をやってみたいと思います」
はいおめでとうナスくん。完全スルー賞を授与しましょう。
確に怪我をした時は治療が出来ると良い。いくら強めのバリアが張れても割れたら終わりだしね。
「今回の緊急治療(ヒール)は治療魔術の中では最も簡単な魔術です。怪我をした所に魔力を送り込む事で治癒を行うのです。ただし厄介なのは、治療中は怪我の部分から手が離せなくなる事と、呪文を唱えなければならない事です」
この世界では二つの魔術が存在する。想像して魔術を使うパターンと、呪文を唱えるタイプのものだ。
想像するタイプの魔術は、通常の魔力を使用するが、呪文を唱えるタイプの魔術は、一般的に加護と呼ばれ、自身の魔力ではなく、周囲に漂う
HSPも、人によって扱える量が違う。これに関しては例の細かい区分けは無いが、適正SABCDの5ランクで区分けされる。この差は、どれだけ精霊に愛されているか、とか、自分の守護霊の魔力で決まるとかなんとか。まあとにかく良く解っていないのだ。そもそも守護霊が居るのか、、、て言うか精霊がいるかさえもしっかりとした証拠がないのだ。
とにかく今回は、その適性を測るらしい。適正テストだ。
「いくらDランクでも、緊急治療(ヒール)は大体出来るので、安心してください」
テストは簡単。先生の前で緊急治療(ヒール)を行い、実験用のモルモットの怪我を治す。その治す時に出たHSPを先生が感じ取って終わりだ。
その手のプロになると、微かなHSPの流れでも感知が可能なんだとか。それによってその人のHSPが分かるらしい。
「では皆さん並んでください。実際にやっていきますよ」
後少しで俺の番だ。俺の前はやっぱりカルエル。何故いつも前にカルエルがいるか?
それは入学時の出席番号で俺の前がカルエルだからだ。
カルエルは見た目はたしかに可愛い。人種族だ。髪を長く伸ばし、身長も120ちょいとこの年にしては背が高い。魔力もそこそこ強い。
カルエルの番だ。
「我の手に聖なる光を。緊急治療(ヒール)!エイッ!」
ぽわっと優しい光がモルモットを包み込み、傷は直ぐに回復した。
「凄いです!カルエルさん!あなたはAランクです!」
Aランクの凄さをざっくり説明すると、瀕死の生物を10人分は完治させられる(休まずに)
正直凄いと思う。S級はこれ以上だと聞くと少しひくな。
そして俺の番だ。
「我の手に聖なる光を。緊急治療(ヒール)」
因みにこの我の〜 っていうのが呪文だ。決していたい奴ではない。
しかしおかしい。いくら待っても傷は回復しない。
「先生…………これは……?」
「て、て、適正ナシ…………ですね……」
稀にいるのだ精霊に見放された(精霊が居ればの話)人というのが。
「先生……じゃあ俺はHSPは一切使用出来ないんですか!?」
「100%とは言いませんが、少なくとも治療系のHSPは一切使えないでしょう……」
「そんな…………」
魔力使えてHSP使えないとかふざけてる。怪我しても治せないじゃあ無いか!
今日の授業はこれで終わりだった。
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