大爆発
今日は第4回目の魔術の授業だ。3回目まではみっちりバリアの授業をした。
長い事バリアを張りすぎて先生のように倒れる生徒も数人いた。
今日からはやっと攻撃魔法の授業だ。先生がいつも使っているあの火の玉を作る。
「火の玉もバリアと同じく、想像すれば出ます。魔法の9割は想像力です。ただし、火の玉の危険性は、しっかり丸まった形で作らないと火が周りに引火してしまう可能性もあります。しっかりと空を飛んでいくビジョンを浮かべなければ、地面に落ちて火災が発生してしまうかも知れません。安全の為に火の移らない金属製の部屋で練習をします。」
そう言って俺達を地下のある部屋に連れていった。そこには的が沢山並んでいた。
「それでは練習開始です!」
先生の一声で一斉にみんなが的に向かって火の玉を放つ。
どうせなら火の玉の強化版を作りたいな。魔法陣から火の龍がドーーーーーーーンと出て翼を広げて広範囲に体当りさせる。
ビジョンはできた。あとは撃つだけだ。
「グロオオオオオオオオオァ!」
掌を目の前に広げて、イメージで魔法陣を作る。大きな魔法陣からはさらに大きな火のドラゴンが叫ぶ。
ピタッと周りの生徒の動きが止まる。獣人族のうさぎ族の少年が気絶した。その姿はまるで狼に襲われたうさぎである。
先生が慌てている。ただの初心魔術の授業なのにいきなりやばそうな魔法を生徒が放っているのだから、慌てるのも当然だ。
「皆さん!今直ぐにバリアを張ってください!!!!!!!!!!」
先生が叫ぶ。
そして、先程の龍の咆哮よりも何倍も大きい爆発音が部屋に広がる。
真っ白い光と炎が部屋を包んだ
ーーーーー10分後ーーーーー
「ん、んんん……うう…………」
目を覚ますと そこは医務室だった。
先生達が総出でB-1クラスの生徒に治療魔術を施している。何故こうなったのだろうか……
考えてもらいたい。ある程度密閉された部屋で大大大爆発が起きたんだ。爆発のエネルギーは外に逃げることが出来ず、爆発のエネルギーは部屋の中で一度固まり、一気に爆発を起こす。爆発のエネルギーは数倍になるだろう。
あまりのエネルギーに耐えきれず、あの部屋には大きな穴がぽっかりと空いていた。
火は部屋の壁を跳ね返り生徒に当たる。この世界では医療魔術があるので、なんとか死者はいないようだが、前世の時に同じ爆発に巻き込まれていたら、まず生きては帰れなかっただろう。
因みに俺は無傷だ。あの龍を出した後、先生の指示に従ってバリアを張った。俺のバリアはなんとか爆発と火を守りきった。
ほかの生徒はどうかと言うと、皆バリアを張ったのは良いものの、1回目の爆発で吹き飛んだり、バリアが破壊されたりと、俺のように耐えられず、火傷や骨折をしてしまっていた。
無傷だったのは俺とソニックだけだった。ソニックは凄い。自分の周囲の光、風、炎をすべ低速化し、すべてを避けて生き残ったのである。その姿はまるで、超高速で移動する生物をスーパースロー映像で見ているようだった。
ソニックという名前は意外と合っているかもしれない。
この事件のあと、先生に無茶苦茶怒られた。
「なんでこんな魔法を使ったんですか!みんなが危険になるような事はもう絶対しないでください!」
この後知ったのだが、俺が使った魔術は威力的に上級魔法と同じくらいの威力らしい。
そもそも魔術とは人の想像から生まれたものなので、誰もが同じ魔術を使えるとは限らない。似ているようで、実は威力や見た目がちょっと違うことが多い。複雑な魔術の方がそういう事が起こりやすい。
まぁ今後気をつけろという事だ。
因みに今度の龍にも名前を付けたい。そのまま火炎龍でいいだろうか。
良いよね。
うん。いいね。
ーーー校長室ーーー
「この事件についてはもう隠し通せないだろう。奴らも動き出すかも知れない。ヴァイア君も気をつけたまえ」
「了解しました」
「うむ。下がりなさい」
ーーーとある学校にてーーー
「4,2校にて不審な爆発。生徒による物と思われます。またしてもあの学校が有力生徒を隠している可能性ありです」
「分かった。引き続き調査を頼む」
「……………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます