Data 2.我妻のお悩み相談所

――娘は泣く泣くすがります。

「旅人様。旅人様。どうか村をお救い下さい。森にはそれはそれは恐ろしい化物が住んでおるのです」

　盗賊は声高らかに笑います。

「助けたところでなんになる。村には宝の一つもありゃしねぇ。感謝の言葉もいりやしねぇ」

　嘲り踊る盗賊達に、それでも娘は離れません。

「でしたら私を差し上げます。村を救って下さるのなら、毎夜旅人様の為に舞いましょう」

　酒に金に食い物に、そして何より歌と躍りが好きな盗賊達は、娘を従え宝を手に取り森の奥へと向かいます。奥へ奥へと……

　負けることなどありません。彼らは金銀財宝で武装します。

　恐れるものなどありません。彼らにはとてもとても心強い仲間達がいるのですから――

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