ご。



 空手少年と元虎の着ぐるみの男の子をそれぞれに抱えて、寿と夢は智実アップルにしがみついて東京スカイツリーを脱出した。


 地表に降り立つ。しょうとナゴミが、空を舞台に超常の大決戦の真っ最中だった。


「はああああああああああああ!」


 しょうが飛ぶ。その身の周りに、数十もの光弾が発生。身を翻した瞬間、それが神々しい光の軌跡を描きながらナゴミへと向かって殺到していった。


「効くかよ、バーカ!」


 錐揉みしながら急降下! 地表スレスレで角度を変え、そのまま水平飛行へ。天空より光弾が降り注ぐも、その速度を捉え切れずにことごとくが大地に大穴を穿った。


「食らえええええええええッ!」


 身を翻し、巨大な翼を広げて急制動。地上より放たれた絵具の弾幕に対し、しょうが無言で三鈷杵を振るう。聖なる輝きを宿した衝撃波が絵具の弾幕を掻き消し、さらに地上にいるナゴミをも粉砕せんと迫る。直前でヒラリと回避すると、ナゴミは再び上昇していった。


「ひゃははは、すげぇな! 神様拝んでりゃそんなに強くなれんのか?」

「神様ではありません、仏様です!」


 弧を描き、螺旋を描き、両者が空中で激突する。そのたびにすさまじい衝撃波が発生。轟音が引っ切り無しに降り注いだ。


「王様と一緒に戦おう!」

「みんなで戦えばきっと勝てるよ!」


 二人の戦いに介入すべく、子供の国の夢想童子たちが地を蹴って次々に飛び立つ。


しょうの邪魔はさせない! 行くわよ猛!」


 天馬を駆る騎士と空を飛ぶバイクに乗った変身ヒーローがそれを迎え撃つ。音速突破の大空中戦。彼らが激突するたび、凄絶な衝撃波が大地を叩いた。

 地上では地上で、飛行能力の無い夢想童子たちが熱戦を繰り広げている。


「最初の予定通りにはいかなかったが、人質を逃がせられたらこっちの勝ちだ! 天國の邪魔もさせない。オレたちだけで、コイツら全部抑えるぞ!」


 その巨体からは信じられないほどの俊敏な動きで、クジラと見紛うサイズの熊が子供の国の夢想童子たちへと襲いかかる。ナゴミの援護をするか、先ほど逃げた人質を追うか、顔を見合わせて逡巡していた夢想童子たちが慌ててそれに反撃した。


 熊の背に座す少年が、弓を手に応戦する。放たれた矢は空中で無数に分裂し、炎や雷に姿を変えて降り注ぐ。それを掻い潜り、飛び上がり、あるいは熊の手足を駆け上がって、三人の夢想童子がその背の上の少年へと襲いかかった。

 迫る拳、唸る銃弾、閃く白刃。しかし少年は、その全てを宝刀の一振りで弾き返した。


「ナメるなよ、弓だけじゃないんだ!」


 多勢に無勢、それでも一歩も退かずに切り結ぶ。しかし矢の攻撃が止まったことで残る夢想童子たちが勢いを取り戻し、少年の死角である背後から四人目が迫っていた。

 その進路を阻むが如く、熊の毛皮の間に身を隠していた女の子がムクリと体を起こす。


「1二銀、3二飛、1四角、1五歩、2二飛成! これで詰み!」


 五角形の光がほとばしり、少年を襲おうとした夢想童子を大地に叩き落とす。女の子はそのまま、正面の三人を撃退した少年とごく自然に背中合わせに寄り添った。


「駒の動かし方も知らん人に、王将は取らせへんよ」

「後ろは頼むぞ、恋歌。高橋、そんなに気になるならコタンコロカムイを貸してやる! その代わり武者人形をこっちに貸せ、天音や2班のみんなも助ける!」

「いいの!? ありがとう、白沢兄ちゃん!」


 巨大なフクロウの背に乗って、鎧武者姿の男の子が空中戦に参加する。地上に残された少年と女の子は、子供の国の夢想童子たちと一進一退の攻防を続行する。

 風が轟く。光が踊る。大気が爆ぜる。天地が揺らぐ。


「す、すげぇ……あんなのが何人もいれば、もう自衛隊なんていらないんじゃねえか?」


 寿としても、もう眺めているしかない世界だ。正直な感想が口から漏れて、ハッとして夢を見る。確か父親が自衛官だと言っていた――気を悪くさせてしまっただろうか。


「…………」


 泣きたそうな、悔しそうな、それでも見届けなければならないと己に言い聞かせているような……そんな複雑な憐憫の眼差しで、夢は夢想童子たちの戦いを見詰めていた。


「……先輩?」

「そうね……今のしょうちゃんたちくらいの子が十人もいれば、小国の軍事力くらい軽く凌駕するでしょうね。戦術レベルの戦いに限れば大国とだってやりあえるかもしれない」

「落ち着いてくださいよ。先輩の親父さんがいらなくなるとか言ってるわけじゃ……」

「これはそういう話じゃないのよっ! まだ分からないの……?」


 叫んで、嘆息して片手で額を覆い、小さくごめんと呟いて、夢は続けた。


「サンジェルマン伯爵の目的は、夢想童子の兵器化――世界中の十歳未満の子供が兵器として扱われる、胸糞悪い未来そのものよ」

「いかにもその通り!」


 まるで最初からそこにいたように、稀代の怪人は快哉を上げた。





 三鈷杵の刃と絵具の鉤爪が鎬を削る。不意にナゴミが手を伸ばし、しょうの腕を保持した。


「……っ!?」

「オラ、行くぞォオッ!」


 あえてバランスを崩し、自由落下……いや地表に向かって飛翔する! 大地に叩きつけようとしているのだとしょうが悟り、しかし腕を掴まれているので逃げられない。


「くっ……ぅぅぅうあああああああ!」

「ぬぅう……!?」


 自らも相手に組み付き、強引に軌道修正。隅田川に斜めに着水。盛大な水柱が立った。





「世界を変革する意志の無い子供たちが手にした、世界をも変革しうる力! 真に世界を変革せんと望む者たちが目をつけないはずが無い! 見たまえ! いやはや日本人は実に勤勉だ、頼みもしていないのにせっせと宣伝してくれている!」


 サンジェルマンが指差した先に、目を回しながらも懸命に取材を続けるテレビクルーの姿があった。彼らはこの映像が、きっと素晴らしい視聴率を叩き出すと信じていた。その先のこと? 考えていないに決まっている。世界の未来より、今日のご飯だお仕事だ。





 隅田川の中から一気に上昇したしょうが、視線を巡らせてナゴミの姿を探す。

 水柱が生み出した一瞬のにわか雨の中、己に向かって飛び上がる絵具の塊を三つ発見。


「はっ!」


 三鈷杵を一閃。横薙ぎに振るわれた衝撃波が、その全てを捉えて粉砕する。

 どの中にも入っていない!? 頭上に影! 咄嗟に三鈷杵で頭部を守る。


「反応がいいじゃねえか!」


 硬化した絵具の鉤爪と三鈷杵の刃が、ギリギリと噛み合っていた。





 中国で、誰かがそれを見ていた。

 ソイツは大喜びして、部下に命じた。


「おい、新しいビジネスチャンスだぞ。十歳未満の子供限定の売買市場を作ろう!」





 両手を鉤爪と化し、突進しつつ振り回す。切る! 斬る! KILL!

 しょうは防戦一方、ひたすら後退だ。接近戦は苦手らしいな、とナゴミは判断した。


 ならば少々強引に仕掛ける! 鉤爪で切りつけると見せかけて体当たり。体勢の崩れたしょうに全力で切りかかる。先ほどまでとは違う手応え。三鈷杵が砕け散った。


 今まで以上の速さでしょうが後退。この好機を逃す手は無い、一気に距離を詰めて――


「ぐあッ!?」


 全身を襲う衝撃。三鈷杵の欠片が爆ぜた。このための布石だったのか!?

 一瞬、だが大きな隙。しょうが前に出る。その手には新しい三鈷杵。


「せいっ!」


 三鈷杵の刃がナゴミを捉え、両断する。

 手応えが無さ過ぎる。絵具の塊。三鈷杵の欠片の爆煙、それに紛れて!


「変わり身!?」

「くそっ! 今のは効いたぞ!?」





 ヨーロッパで、誰かがそれを見ていた。

 ソイツは感心して、上司に報告した。


「兵器の歴史が変わるかもしれません。アメリカに先んじてなんとしてもサンプルを手に入れなければ。ぜひ私をニホンに向かわせてください!」





 光弾を放つ。複雑な軌跡を描いて飛ぶそれが、ナゴミの軌道を封じ、追い詰めていく。

 避け切れぬと判断したか、翼で体を覆う。光弾が次々に着弾、爆発。


「いってぇ~……っ!」


 爆煙の中から元気に飛び出してくる。それでもダメージはあるようだ。


 どうやら遠距離戦はこちらに分がある、としょうは考えた。それでもあの瞬間的な判断力は脅威だ。一瞬一瞬での攻防では上を行かれる――少しずつ追い詰め、仕留めなければ。

 弾幕を張り接近を阻む。大小の火力を織り交ぜて少しずつ逃げ場を奪う。この状況なら自分が優位に立てる。決してペースを崩さずじわりじわりと削っていく。


「……? ……!?」


 突然ナゴミの体が大きくなる。接近されたわけではない。なんだ?

 絵具で空間を塗り潰している! 四方八方を飛び回る。見失った。どこにいる!?


 いったん距離を取って――


「オラァ!」

「あ、ぐ……っ!?」


 動きを読まれた。背後から蹴りを食らう。背骨がミシリと嫌な音を立てた。





 アフリカで、誰かがそれを見ていた。

 ソイツは少し考えて、同僚に提案した。


「女どもに子を産ませよう。コレが出回る頃には使えるようになっているだろうよ。できれば女の子がいいな。十歳なら早ければ初潮が始まるし、またリサイクルして……な?」





「はああああああああああああ!」


 三鈷杵が閃く。光弾が舞う。御仏を呼び出し、その力を借りる。


「オオオオオオオオオオオオオ!」


 鉤爪が唸る。絵具弾が飛ぶ。幻惑し、塗り潰し、相手のペースを崩す。





「十年。夢想玩具が世の有り様を変革させるのに、それくらいの時間はかかるだろう」


 壮大なプレゼンテーションを終えたように朗らかな顔で、サンジェルマンは言った。


「だがその十年は激動の時代になるだろう。その中心地たる日本では、どのようなことが起きるのだろうね? 夢想童子を兵器として最初に正式に採用するのはこの国になるのではないか、僕はそう見ているんだが……どうかな?」


 寿は答えなかった。答えられなかった。

 全てが、どこか遥か遠いところで行われている出来事であるような気がした。


「日本は良い国だ。暮らし始めて三十年ほどになるが、僕はこの国のもっとも平和な時代を味あわせてもらった。本当にそう思うよ。ぬるま湯のような平和……退屈な、ね」


 夢は俯いて沈黙していた。固く噛み締めた唇が痛々しかった。

 自身の左の手首を掴む彼女の右手が、よく見ればギリギリと震えていた。


「平和のありがたみも知らず、戦争の痛みも知らず、綺麗事が大好きで、汚物には触ろうともせず、笑顔には笑顔が返ってくると信じている。素晴らしい。素晴らしく退屈だ」


 智実アップルだけは話がさっぱり理解できず、途中で飽きてしょうとナゴミの激闘を眺めていた。


「そんな国が! 否応無く世界の変革の中心となり! 子供の兵器化を率先して進め! 無数の嘆きと泥のような悲劇の中で! まったく新しい“何か”に生まれ変わる!」


 サンジェルマンが振り返る。邪気の無い、春の陽光のような、聖者さながらの笑み。


「僕は、それが、見たい」


 気がつくと、寿はサンジェルマンを無言のまま殴り倒していた。

 引き起こして、さらに一発殴る。それでも足らずにもう一発。


「……先輩、コイツのことなんだって言ってましたっけ」

「腐肉を吐瀉物で煮締めたようなゲス野郎」

「その吐瀉物の部分、肥溜めに変えるべきだと思うっス」

「あんまり下品な言葉使うとこっちまで情けなくなるじゃない。それにほら、一応肥溜めは人様の役に立つし」

「人生の先達に対して言いたい放題だね。時に、そろそろ決着のようだよ」





 ギギン、と硬質の悲鳴が上がった。


 三鈷杵の刃が、絵具の鉤爪を断ち切ったのだ。「接近戦では優位に立てる」と結論したナゴミと、「接近戦では不利だから工夫しなければ」となお考え続けたしょうの差だった。


 得物を壊されたナゴミの動きと思考が一瞬止まる。そこに、しょうは三鈷杵を真っ直ぐ突きこんだ。破邪の刃が、絵具の怪物の細い胴体を貫く。


「……え?」


 そんなしょうの手を取り、さらに深く刃を突き込ませるように、ナゴミは力を込めて彼女を引き寄せた。


「かかったな?」


 絵具か、あるいはそういう色の返り血なのか、藍の色をした液体が噴出する。それを真正面から浴びて、しょうはしばし呆けて目をパチパチと瞬かせ、そして不意に硬直した。


 ナ ン ダ コ レ ハ 。


 見知らぬ部屋に自分がいる。知らない男が近づいてくる。笑いながら燃えているタバコを押しつけてくる。そんなことをしたら火傷してしまう。やめて、待って話を聞いて――


「タバコの火って、熱いだろ?」

「……っ!?」


 振り返る。誰もいない。いや誰かがいる。先ほどの男。拳を振り上げて――


「大人に本気で殴られるのは、痛えだろ?」

「……あ、ぁ……っ!」

「冬のベランダは冷てえだろ? 自分の体が自分のじゃないみてえだろ? 溺れるのって苦しいだろ? 頭を押さえつけてる手の力が強くて逃げらんねえだろ?」

「あ、あぁあ……」

「一番大切なモノを、男に○○されるのって――」

「ああーっ! あああぁあああぁあああぁあああっ!?」


 三鈷杵を取り落とし、己を抱きしめ、崩れ落ち、しょうがガクガクと震え出す。傷跡を撫で擦りつつ、ナゴミが彼女に大股で歩み寄っていった。


「悪いなぁ、お前強いわ。普通にやってたんじゃ勝てそうにねえ。でも、なんか攻め方が綺麗なんだよな。やっぱ“こういうの”知らなかったろ?」


 天國しょうは、善良な少女だった。

 両親の下で不自由無く育ち、優しい人々に囲まれ、健全な価値観の中で生きてきた。

 笑顔には笑顔が返ってくるものだと、根拠も無く信じていた。

 悪は必ず駆逐されるのだと、無意味に夢想していた。

 この世界は愛で包まれているのだと、それを一度として疑ったことなど無かった。


 故に、生まれて初めて味わった人の悪意に容易に屈した。


「まぁ、おもしろかったぜ。二度とやり合いたくはねえけど、な……っ!」


 震えるばかりのしょうの片腕を取り、左腕一本で吊るし上げる。右手に鉤爪を生やし、そのまま彼女の薄い胸板を貫く!


「…………っ!?」


 右腕の肘までがしょうの胸を貫通。やや遅れて彼女の体が光に包まれ、一瞬前までとは少しズレた場所に出現する。髪の色は元に戻り、服は破れていたが胸の傷は消えていた。


「あれ? ブッ刺してもダメなのか。こりゃ本格的にどうやっても殺せねえらしいな」


 少し落胆した様子で言って、ナゴミは気を失っているしょうを担いで、子供の国の仲間たちの下へと向かった。





しょう……っ!」


 反射的に駆け出して――夢に止められる。無策で行っても意味が無いというのだろう。


「いったいどうしたのかしら、急に全然動かなくなって……あの返り血は毒だったの?」

「毒といえば毒だろう。あれは神崎一十三ひとみ七五三なごみの姉妹が味わい続けた虐待の記憶だ」

「虐待の記憶……? しょうは、あのしょうが、ンなモンを味わわされたってのか!?」

「何をそんなに憤慨しているのかね。あんなものはこれからの十年の間に、この国のどこでも起こることだというのに」

「…………っ!」


「何も知らない無垢で綺麗だった人々が! ある日唐突に世界の悪意に直面し、穢され、飲み込まれていく! 実に楽しみだ。天國しょうの悲鳴は、まさに新しい日本の産声だよ!」

「あれ以上にあなたを貶める言葉を、パッと思いつけない自分の才能の無さが悔しいわ」

「それは素敵な褒め言葉だ、記憶しておこう……さて、新世界の第一歩としてはなかなか価値あるものを見ることができた。宣言した通り後は傍観者として――」


 大きく息を吸って……言う。


「――させねえ」


 サンジェルマンがこちらを見る。夢が怪訝そうにこちらの顔を覗き込んでくる。智実アップルは連れて行かれたしょうを心配そうに見詰め、時々自分の方にチラチラと視線を向けていた。


「まだ何かに付き合えというのかね?」

「そうじゃねえ……! お前の思い通りにはさせねえ。夢想童子を兵器なんかにさせたりしねえ。しょうも、智実アップルも、ナゴミも、誰一人、お前の言うような哀しい目には遭わせねえ」

「……ふむ?」

「平和で、綺麗事が好きで、アホっぽくて、けどみんなそれなりに幸せで、日本はそれでいいんだよ! 十年経とうが百年経とうが、笑顔に笑顔が返ってくんのが日本なんだ!」


「どうやって?」

「知るか! とにかく、なんかやるんだ! 今決めたぞ、サンジェルマン。俺は俺の人生全部使って、テメエの腐った計画を台無しにしてやる。ぬるま湯の日本を守ってやる!」

「すでに夢想玩具が存在する世界で、それを為すことは不可能だと思うがね」

「言ってろ! そして見ていやがれ! 十年後に日本が変わってなかったら、俺の前で頭丸めて、そこに油性マジックで“ボクちゃんおバカちゃんでちた”って書いて土下座して日本全国回れッ!」

「君の前かつ日本全国、というのは矛盾していないかね?」

「うるせえ! 退屈が嫌だってんなら、それくらいなんとかしてみせろ!」

「ふむ、それは確かに退屈しないですみそうだ。差し当たって何から手掛けるのかね」

「……アイツを、止める」


 どこで拾ったのか、気を失ったままのしょうの顔に刃物を突き付け虹色童子隊に何やら強要しているナゴミを見る。いつの間にやら変身は解除しているようだ。


「賢い少女だ。あれなら天國しょうに傷をつけることもできるだろう」

「感心してる場合じゃないわよ!? なんか、顔に傷をつけるとかって言ってるわ!」

「ナゴミを止めて、しょうも助ける」

「両方やらなきゃいけないところがやれやれなの? 相手、夢想童子よ?」

「方法はある!」

「あるの?」

「はずだ!」

「無いの!?」


 進路は決めた。覚悟もできた。あとはただ歩を進めるのみだ。

 寿寿は、今ようやくにして、己の定めた道の最初の一歩目を踏み出した。

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