第2話
「その能力、やはり俺程度では勝てないか」
短剣をしまいつつ彼がぼやく。
「そうだな。残念ながら今のお前では力不足だろう。もう少し力をつけてからくるといい」
「昔の貴女と比べると本当に強くなりましたね。素直に感心します」
一言多いカラスだ。
さて、何故あたしの力が欲しかったのか、その理由を聞こうじゃないか。
「あぁ、復讐がしたくてな」
復讐?
「そうだ、親父に命を狙われていてな」
「どうしたらそうなるんだか。ポコ、お前にはわかるか?」
「さぁ? 私にはよくわかりませんね」
「大きい組織の若頭なんだ、俺は。親父の組織の方針が嫌いでな。組織を変えようと動いていたらこれだ」
なるほどな。どうも派手な親父さんなこった。
「で、あたしは何をすればいい?」
「は?」
「もう一回言うか? 何をすればいい?」
「そうじゃない。手伝ってくれるのか? お前に利益は無いじゃないか。死ぬかもしれないし」
「あたしは既に死んでいるがな。どちらかというと肉体のある幽霊といったところだ。丁度暇だったんだ。それに、面白そうじゃないか。楽しいが正義ってやつだ」
「そうか……。変なやつだな。そうだ、俺の名は残雪、お前は?」
「私は一応ポコと言います」
「あたしはハルナだ」
名前を名乗るつもりは無かったのだが、ポコが勝手に説明してしまったのでこちらも話す流れになってしまった。お喋りなのは誰に似たのやら。
「そうか、よろしく、ハルナ、ポコ」
ところで、だ。
「これからどこへ向かうんだ?」
「実家。奇襲をしかける」
「この人数でか。面白い奇襲だな。もっと策はなかったのか」
あれば、その策をとるだろう。人数不利で突撃しなければならないほど切羽詰まる状況だからこそ、霊力の塊であったあたしを見つけたその時、何かできるかもしれないと直感的に感じ、襲いかかってきた、というわけだろう。
「申し訳ないが、策はない。そして時間も無い。ここにいるのがバレるのも時間の問題だろう」
「ずいぶん切羽詰まった状況だな。そんなに親父さんはお前を探す必要があるのか?」
「重要なのは俺じゃない。俺が持ってるうちの家の秘密だ。物もだが、俺が持っている情報もあまり外部に漏らされるとまずいと考えるはずだ」
「何やら大層なハナシが出てきましたね。とても一筋縄でいくとは思えません」
「そうだな。しかしどれほどの秘密を持てばそんな血眼になって探すほどの命になることやら」
「実物を見た方が早いと思う。行こう」
彼が歩き出す。さぁ何が出てくるのかね。
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