第10話

 ビルに到着する。入り口の案内板を見て、場所を確認する。

「ポコ、ビルの外を飛んで、窓から一気に侵入する。いいか」

「中を律儀に通るよりは、その方が楽だと私も思います。いいですよ」

 地上で鎌を装備し、そのままハルナは空へ旅立つ。目的の高さまでくると、鎌を豪快に投げ飛ばし、窓ガラスを突き破る。派手な音と共に警報音も鳴り響く。

「ここまでは想定内ですね。さぁ行きましょう、ハルナ」

 あぁ、と声をかけつつハルナが割れた窓から忍び込む。

 中に入ると、警報が鳴り響き、赤いランプがくるくる回っていた。警備員が見にくるのも時間の問題だろう。

「ハルナ、時間がありません。あのロボットを考えるに、制御装置はサーバールームかどこかにあるはずです。ハルナはサーバーの破壊をお願いします。私はこのオフィスのどこかにあるロボットとサーバの設計図を探します」

「サーバールームか。わかった。そっちも無茶をするなよ。困ったらすぐにあたしを呼んでくれ」

「その言葉、そのままお返ししますよ」

 いうじゃないか、とだけ残すとハルナが例の俊足で奥へ向かう。私も自分の仕事を果たさなければ。ハルナとは逆の方向へ飛び立つ。

 扉を一つずつ開けて中を飛んで探索をする。どこだ。どこに設計図はある?

 飛び回ること五分。三つ目の部屋でようやく設計図を見つけた。ロボットとサーバ。両方ともある。嘴にくわえて、ハルナのいる方へめがけて戻る。

 ハルナの進んだ方へ行くと、一つだけ扉が開いていた。中へ入ると、ハルナがサーバーを壊している最中であった。終わるのを待つ。鎌による乱舞で滅茶苦茶に切り刻み、サーバーは砕け散った。

 鎌をしまい、ハルナがこちらに気がつく。設計図を投げ渡す。

「それがロボットとサーバーの設計図です。さぁ逃げましょう、ハルナ」

「警備員がもうすぐくる。急ぐぞ」

 ハルナの肩に捕まる。俊足で元来た道を進む。思わず声をかける。

「相変わらず早いですね。陸上でもやっていたのですか」

「残念ながら生前は帰宅部だよ。帰宅部のくせに足の速さは学内最速だったけどな」

「短距離走に何度もスカウトされてそうですね」

「全部断ったがな」

 なんなんだろう、この人。

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