第11話

 できましたよ、というポコの一言と共に私たちは一斉にポコの方を向く。ポコがこちらに寄越したのは烏の濡れ羽色のシュシュであった。リリーちゃんの方には純白のシュシュが渡されいる。どちらの烏の羽の模様が刻まれていて、とても美しいものだった。

「リリーの方は長い髪の毛につけて、ドレスと合わせてもスーツと合わせても様になるように白にしてみました。ニアの方はショートの髪の毛ではなく、腕につけて様になりそうな、私服とも合わせやすい黒にしてみました」

 ありがとう、とリリーちゃんと合わせてポコにお礼を言う。

「それはあたしたちからの餞別だ。困ったらそのシュシュに向かって何か念を飛ばしてくれ。なるべく早く駆けつけるようにするよ」

 最強のコネができてしまった気がする。そして素直に嬉しい。リリーちゃんも同じことを思っていたのか、こちらを見て嬉しそうな顔をしている。そうだ、とリリーちゃんが呟きつつ、なんでシュシュにしようと思ったのかとハルナに聞く。

「あたしもこの間まで別にシュシュに熱い思い入れがあったわけではないんだ。現にこのくらいの髪の長さだとシュシュはうまく使えないしな。この前会った金髪の少女があたしに再会の約束として水色のシュシュをくれたのさ。本人は決意を込めた黄色いシュシュを持っていってね。だから餞別にはシュシュを渡そうかなと思ったんだ。要するにただのきまぐれさ」

 とハルナは答えてくれた。

「なんだかいい話だね」

 とリリーちゃん。そういうことならば貰っておこうと思う。

「そういえば、リリーちゃんのこのドレスはどうなってるんだろう?」

 ふと気になった。さっきポコと精神世界から帰還した時、何故かリリーちゃんが着ていた。

「おそらく今はただのドレスです。似合っているのでそのままリリーがお持ち帰りください。その方がドレスも喜ぶと思いますから」

 とポコが答えてくれた。嬉しそうにするリリーちゃん。

 さぁ帰ろう、というハルナの声に合わせて私たちは教授の研究施設を後にした。

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眠りの姫に救いの未来を ラスト・エピソード けねでぃ @kenedyism

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