第6話

 旋風に乗り、勢いも安定し始めた頃、そういえば、とポコちゃんが呟く。

「ニアとリリーは一体どのような関係なのですか? ニアが真剣に貴女のために全力を尽くしている姿を見るとどうしても疑問に感じます」

「私たちは、大学の同級生だよ。でも、ただの同級生ではないと思う。ニアちゃんは、初めて、私が真剣に趣味を話せた友人だから」

 女に生まれた以上、やはりゲームを肴に真面目に語れる女友達は少ない。少なくとも私の周りには。ネットを通じて女子会を開けることはあっても、現実に夜な夜な語り合える友人というのは少なかった。だから大学では普通の女子として振舞っていた。バリバリの文系だったので文系女子として。そんな中、出会ったのがニアちゃんだった。彼女は偽装文系女子としての私を一瞬で見抜き、二人きりになった時、ゲームの話を持ちかけてきた。同じ境遇だったからこそすぐわかったのかもしれない。そのまま意気投合した私達はよく遊ぶようになった。お互い趣味を隠し通すのは慣れていたので緩い女子会と称してあちこち遊びに行きつつ話すことはゲームの話題が多かった。紆余曲折あったがなんとか大学を卒業した私はそのまま首都の大手企業に就職、ニアちゃんも名を名乗れば驚かれるような企業に就職したのでお互い順調に社会人生活をスタートできた。社会人になっても私達のやることは変わらなかった。隙があれば趣味に限らず無駄に話し続けたし、お金に余裕もできたので有給を浪費して旅行に行くことも増えた。

 あの時から、そして今でもニアちゃんには支えられっぱなしだった。それは趣味の枠に限らず、日頃の悩みを打ち明けたのもニアちゃんだったし、就活に疲れた時に甘えさせてくれたのも彼女だった。そして、度重なるストーカー被害から私を守ってくれたのも、彼女だった。そして、そのストーカーに体を奪われた今、助けに来てくれているのもやはりニアちゃんだった。


ふふっ


 思わずにやけてしまった。どうしたのですか? とポコちゃんが訪ねてくる。

「いやね、今の私、囚われのお姫様だなと」

「着ている服装も、眠っている貴女の体も、そしてハルナとニアが助けに来ている現状も、どこを切り取っても間違いなく囚われの姫ですね。大丈夫、眠りの姫に救いの未来は、ありますから。我々で用意しましょう」

 頼りになる眷属さんだった。私には姫を助けに来てくれるナイトにしか見えなかった。

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