第3話
ん……。
目が覚めて、最初に感じたのは足と背中の柔らかさだった。ふと周りと見る。どうやらハルナの腕に抱かれていたらしい。
「まったく、目覚めの悪い姫だ。さぁ立て、プロトタイプリリーと教授があたしを取り込もうと襲いかかってきているところだ。力を貸してくれ」
ハルナが声をかけつつ、私を下ろす。そしてこちらに金属バットを投げてよこす。ありがとう。寝ていた分までしっかり働かないとね。
寝ていた分、ね。そういえば、
「ハルナ、本物のリリーちゃんを起こす手段は考えてあるの?」
「んー。特にない。ポコがリリーと緊急同調できれば精神世界にポコが直接起こしに行けるが、行ける保証がないな。できるか、ポコ?」
「ふむ。特にリリーと同調できるきっかけがあるかわかりませんが、やってみましょう。装置に近づき調べます。援護をお願いします。」
ポコがリリーちゃんを入れた装置に近づく。教授とプロトタイプリリーが止めに来るが私がプロトタイプリリーを、ハルナが教授を止める。プロトタイプリリーは鞭でこちらの腕を絡め取ろうとする。なんとかかわす。こちらの武器が金属バットである都合、あまり絡みとられたくはない。
「ニア! 走れ!」
妙に通るハルナの声が聞こえる。よくわからないが本能的に走り出し、プロトタイプリリーの脇をすり抜ける。私が先ほどまでいた場所にフラスコが落ち、謎の液体が飛び散る。一瞬で蒸発したが、何かまずそうな液体であることは容易に想像できた。
「ハルナ! 何故かはわかりませんがリリーと緊急同調できそうです! 支援をお願いします!」
ポコの声が聞こえる。させるか! と教授が叫びつつ装置に走り出す。ハルナが防ごうとしたが、謎の液体を足元に投げつけられ、足が止まってしまった。私が防ごうとしたが、プロトタイプリリーの鞭に足を取られてしまい、そのまま背中から転倒してしまった。息が詰まる。痛い。
邪魔をするな! とハルナが叫びつつ鎌を投げる。回転しつつ鎌は教授に襲いかかる。間一髪のところで避けられてしまったが、彼の足を止めることには成功した。そのまま壁に豪快に突き刺さる。
「行きます!」
ポコが言うと彼の体はリリーちゃんに吸い込まれた。
「リリーのことはポコに任せよう。ニア、今はこちらの二人を始末しないと安全が確保できない」
「そうだね」
まずはこいつらを倒さないと。
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