第2話
裏口付近のエリアについた。ここから先に進もうとすると警備ロボットに気づかれ警告され、さらに進もうとすると攻撃をされるという寸法だ。
「さて、ここから先に進む前にお前の怪我を治しておく必要があるな」
ハルナはそういうとわたしの前にしゃがみ込み、足に手を当てる。何か呟くと同時にわたしの足の傷は癒えていた。
「えっ……」
思わず声が漏れてしまったらしい。ハルナが解説をしてくれる。
「それは異界に伝わる医術のようなものだ。こちらの世界の医術よりはるかに優れていて、かじっただけのあたしでもこの程度の傷なら回復ができる」
さて、行こうか、と彼女は立ち上がる。おそらく百七十cm近くあるだろう彼女が立ち上がるとどうあがいても私の身長では勝てないのが今になって悔しくなってくる。
あたしの前に立て、とハルナが指示してくるのでそれに従う。ハルナの前に立つや否や彼女は私を抱え込む。なんだか丸め込まれているような気持ちになって悔しい。くだらないことを考えているうちに彼女は突然飛び上がった。そう、文字通り飛び上がったのである。大きな烏の羽で。その横を相棒と思われる烏が飛んでついてくる。
そこのポコと力を共有することであたしは空を飛ぶんだ、などと後ろから解説する声が聞こえてくるが、こちらとしてはそれどころではない。なにせ人生で初めて、鳥人間擬によって空を飛んでいるのだから。生きた心地がしない。そのまま彼女は警備網を潜り抜け、裏口付近に着陸した。
さて進むかと彼女が言う前に彼女が何者なのか気になった私は声をかける。
「私は通りすがりの死神さ。それ以上でもそれ以下でもない」
とだけいうと先に進んでしまった。
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