Re : 第一羽
灰、白、黒がごちゃ混ぜに横たわっている。そして、至る所に赤色が散りばめられていた。赤色はエンジ色へと変わりながら、その面積を増やしていく。
すぐ横では煙が天へと向かって伸び、タンパク質の焼ける匂いがした。
四十九羽分処理をするのが大変だった。たった二箇所を切り落とすだけなのに、数があるとさすがに骨が折れる。
自分を呼ぶ声がする。夕食の時間らしい。
べったりと汚れた手をまだマシな白い羽のそれで拭い、その場を離れた。
メニューはオムライスだった。食卓では母と妹の二人が喋っていた。
「空を飛ぶのってそんなに良いことなの?」
「良いことかもしれないよ。反対に飛べないのも良いことだよ」
「どうして?」
「ニワトリは飛べないから良いんだよ。だから、簡単に飼いならせる」
「でも、にわとりさんにとって良いことじゃないよ。だって、飛べないから食べるために生かされて殺されちゃうもの」
「それはどうかな?ニワトリじゃないから、私達には分からないだけかもしれない。それに、今もこうやって恩恵を受け取ってる」
パクリとスプーンを口に運んだ。ケチャップライスと玉子の味が広がる。
「じゃあ、あの子たちにも」
「そうだね、意味はある。今はまだ分からないかもしれないけどね」
そう、必ず意味はある。
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