十七章 望みの鏡 <Ⅴ>償えぬ罪
男も女も、手に手に蛇を殺す
足の強い男衆の後ろ姿は、真っ先に見えなくなった。
「魔物が相手だ。
行く手を塞ごうと飛び出した慈慧は、手荒く押しのけられた。
それでも引き留めようとすると、棒で殴り倒された。
いっとき目を回した慈慧だったが、すぐに気を取り直すと、己も沼を目指して
「やめてください。気が済まぬと云うなら、代わりに私を殺してください」
だが、怒りに我を忘れた群衆は聞く耳を持たなかった。
したたかに殴られ、幾度も
「どうか聞いてください。あの蛇に罪はないのです!」
慈慧は、薬壺を抱えた柔らかな白い
「離せ!」
その腕を振り払いざまに、女は慈慧の顔を蹴った。
その
「自分の子が喰われなきゃ、分からないか!」
女はジロリと慈慧をにらむ。
「この口が火を噴きそうなんだよ!
女はケダモノのように慈慧を
「オロチにお
鬼の
「この毒で、オロチを殺すんだ!」
危うく木の根をつかんだ慈慧は、闇に飲まれたような思いがした。
あの子は、時雨に喰われた娘は、この人の娘だったのか。
私が、この人を鬼にしてしまったのか。
慈慧は夢中で崖を這いあがると、転げるように追いすがり、女の手から薬壺を奪い取った。
「何をするんだ。それを返せ!」
女は鬼の貌で飛びかかってきた。
「あなたをオロチにはさせません!」
女の腕をはねのけ、慈慧は薬壺の毒を
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