十五章 沼のオロチ
十五章 沼のオロチ <Ⅰ>過去へ
鏡は、始まりの宇宙のように飛散する。
あたしとオロチは、
あたしは胸一杯に息を吸い込んで、青い星へと降りていった。
チカチカと
眼下に鋭い峰が迫り、白い粉砂糖を散らしたような
小さな沼が、青い空を映している。
岸に近い
二度と逢えない人に別れを惜しむように、
あたしは、色褪せたワタスゲの岸に立つ。
立ち並ぶブナの樹上に、さっき飛びすぎた玄い山脈が
――しぐれや しぐれ 帰っておいで
銀色の
――しぐれや しぐれ 帰っておいで
誰なの? あたしを呼んでるの?
――しぐれや しぐれ 帰っておいで
「あああ、やめて、やめてくれ。僕を呼ばないで」
空で、オロチが
「約束したんだ。嫌です。僕は帰りません!」
雲に
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