09 The Mechanism of Telescope

「どうぞこちらへ」

 コルデリアちゃんに部屋へ招き入れられる。

「どうぞおかけください。」

 机から木製の背もたれの付いた椅子を引き出しすと、私に勧めてくれた。

 特に昨日の夜と変わったところはない。強いてあげるとすれば、机の上の分厚い本とぎっしりとメモが紙の束が机の隅に寄せてあることと、真新しい用紙とペンが用意されていることだろうか。

「少々お待ちください」

 その端にバスケットを置くと、コルデリアちゃんはいったん部屋を出ていく。

  屋根裏部屋なんだろうな。窓際に行くに連れて低くなっていく天井と、1つだけある腰の高さほどの位置に設けられた外開きの窓。

 元の世界の私の部屋を基準にしても小さい部屋の中には木製の簡素なベッドと机、クローゼットが置かれている。

簡素な机の上に置かれた何冊もの分厚い本、そして積み重ねられた文字や図表で真っ黒になった用紙が置かれている。

しばらくして、どこかから木製の丸椅子を持って帰ってきた。

 そしてゴクリとつばを飲み、緊張した面持ちで私に向き直る

「では、望遠鏡の作り方を教えていただけますか?」

 ここまであらたまられると緊張する。

「うん」

 コルデリアちゃんに渡された羽ペンで、図を書きながら説明をした。

***

 まずコルデリアちゃんが作ったあの虫眼鏡の仕組みなんだけど、

 あ、ありがとう。

 ここのガラス出できた部分を凸レンズって言って、光を特定の規則にしたがって曲げるんだ。この特性を上手く使うことでものを大きく見たり、することができるの。

 えーっと、私達が何か物を見るときに、見てるものから私達の目に飛び込んできているものを光って思って貰えれば、望遠鏡の仕組みを理解する上で十分

 このガラス面の中心を通るこれに垂直な線を光軸ってよびます。

光は必ず直進して、レンズを通ると角度が少し変えられるんだ。この凸レンズの特徴として光軸に対して平行な方向に入ってきた光は、すべて凸レンズによってある光軸上の一点を通るように進む角度が変えられるんだ。そのある1点のことを焦点って言って、レンズの両側の面に1つずつあります。

その他に光軸上のレンズから焦点までの2倍の距離の点から出た光が、レンズの反対側のレンズから焦点までの2倍の距離の点を通るんだ。

コルデリアちゃんの作ったこれを2つ組み合わせると、見ているものが上下逆さまになってしまうんだけど、こういった性質を利用して遠くのものを拡大して見ることができるの。

***

「筒の中にレンズを2つ入れて、その1つを筒の中をある程度うごかせるようにすればいいと思う。」

「なるほどです・・・空までの距離はわかりませんものね・・・・」

 コルデリアちゃんが望遠鏡のおおよその構造を書き出す。

 大きな筒とその内寸よりやや小さいサイズがその外寸となる小さな筒の、2つの筒を用意してそれぞれの底面部レンズを取り付ける。

 それを大きな台座に固定すれば完成。多分こんな感じだで大丈夫だと思う。

失敗したらまた作ればいいよね。

そして、実際の製作に移る。

「うぅ・・・ごめんね、コルデリアちゃん」

私の目の前に無残に転がる多数の木片。

「私におまかせください」

 木槌とノミ、その他にヤスリなどの、木材加工用の道具の扱いはまるでプロのようで、

「慣れてるね・・・すごい・・・」

「お城の補修も私の役割ですから。」

そして、コルデリアちゃんの手の中でまるで魔法のように、森から切り出したばかりであろう木材が、私が社会科の資料集で知る望遠鏡の形へ段々と姿を変えていく。

そして、太陽がその円弧を描くの軌道の頂点に差し掛かる少し前、完成間近に迫った望遠鏡の筒の部分を残念そうに机の上に置く。

「そろそろ昼食の支度をしないといけません。」

「続きはお昼のあとにしようか」

「はい」

 

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