episode:彼の関心は、未来でもあり、過去でもある

《エリア:天界 楽園地区》


天使長のアルニエルの隣には青年が、いた。頭上には、白く光る輪っかが浮かんであり、藍色の髪に金色の瞳を持つ白き翼が、背中にある青年は、興味津々の様子で、下界を覗き込む。


「また、見ているのか」


アルニエルは呼びかけられて、邪魔されてつまらないそうなブスっとした表情の彼を見て、思わず吹き出しそうになった。


「あーなんだ?アルニエル。俺に用?」

「…お前、表情死んでるぞ。」

「なんだ。用ないのか?」


再び彼は下界を覗き込む。


「……なぁ、俺自身が“彼女”と初めて会う俺自身と交換するのは駄目か?」


ポツリと独り言の様な小言を彼は言った。


「駄目だろう。そうすれば、本来起こるべき未来は来なくなり、新たなる未来が生まれ、君自身が消滅…いや、パラダイムシフトか、新たなる世界が生まれる。簡単にいえば、新たなるパラレルワールドが生まれるか、ということだな。」

「…試しに言ってみただけだ。…わかっているよ。それでもあの時の選択には、後悔はしてないよ。一生姿が見れないよりはましだ。」


青年は、下界に映る白銀の髪の女性が、興味津々に食べ物を食べて満面の笑みを浮かべている姿に珍しく、ほくそ笑み、彼女を見ていた。





《エリア:天界 中央 ???地区》


女神は憂鬱そうに独り、大量の本棚に囲まれた所にいた。


「私の………頭痛むわ。子供というか、妹が正しいのかしら、元気だと良いけど。」


創世神といた様な無邪気さは身を潜め、そのにいた女神は、その美しい顔を軽く歪めながら世界を覗き込む。


「また、沢山の歪みだわ。この頃アイツと私が落とした一部が暴走しているのよね。私のは世界的に良い方向進ませているけど。アイツのは……見事に歪みになってるわ。また記憶と力を失なわないといけないのかしら。折角、戻りかけていたのに。」


女神は、覗き込んでいた下界に涙を一粒無意識に落とした。


「《アカシックレコード オープン》」


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「な、なんで開けないの。」


目の前の空中に浮かぶ赤の言葉を見て、女神は、珍しく慌てて立ち上がる。


《管理者権限コード0により、一定期間、凍結されました。》


「0って。」


「ワシじゃよ。ガイア、待つのじゃ。“ソレ”は多様禁物と言っといたはずじゃろうが。」


女神は振り向くと、創世神がゆるりと椅子に座り、何も表情を浮かべておらず、目を閉じていた。


「だ、だけど、アレをほっておいたら世界は。」

「うむ、そうだろう。荒れるだろうな。落ちた地点も運が悪いというか、計っていたのはわからんが、いい場所にまぁ、下界の彼らからしたら一番来て欲しくない所、生活の要にきてまっているのう。だが、それがどうした。ガイアが身を切る程の事でもない。それは彼らに試しの試練にした。ただの人々だとかなり部が悪いが、だが、今回はちと違う。神の因子を持つ彼と彼女に、その他の転生者 部外者がおる。彼らが出来るすべはある。今回は、黙ってちと、見ておれ。」

「それで、凍結したのですね。確かに過保護はいけないですけど。でもやっと目覚めたのですよ?少しばかりは、目を瞑っても。」

「甘い甘い。お主は直ぐ助けたがる。試しの試練を受かってからにしとき……」


女神はブツブツと小言を始めた創世神を見て、ふぅとため息をつきチラリと下を向き、下界を見て女神は、どうか関わらない様に願った。


「無理じゃろうて。それが彼女の運命だからのう。」


創世神はふっとほくそ笑んだ。


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