第7話 まだ見知らぬ世界
「キュー!キュ!」
子竜はすくっと肩から立ち上がり、綺麗に着地するかと思ったらテーブルの上にべちょと落ちた……
うん。
なんか、可愛い。
そして、むくっと立ち上がり、彼の小さな体で、シャーと
「ふふ、可愛いらしい子ですね。貴女の使役獣ですか?」
「いえ、落ちていたのを拾いました。親竜がいたら返すつもりですよ。」
「…そうですか。そんな事もあるのですね。」
使役獣の事も合わせて聞いたが、一般的な魔法使いのサポートとして犬、猫や鳥などレアなものならドラゴンやグリフォン、一角獣など様々あるらしい。マニアなら
街中で飼う場合は、届け出が必要で私は返す予定なので届け出は入らないが6日以上手元にある場合は罰金があるらしい。気をつけないといけない。
さっきの質問をかわす事が出来て良かった。セーフと安堵していると、私を彼はじっくり見て小声で、偶然にソレを拾うとか運があるのかないのかと呟いた。
「実はですね。最近、薄暗の森で竜が発見されていまして。」
「この親竜ですか?」
「だと思いますね。白竜と報告されています。理性が確認されているそうです。」
「無事に上のランクに上がったら行ってみようと思います。」
「かなり荒れているとお聞きしていますから、気をつけて下さい。」
「まぁ、無事に帰れるかはわからないですけど。」
私は自嘲しながら、この人は、私が生態ピラミッドの頂点に君臨する竜と会うというランク合わないのに、私を嘲笑う表情もなく、当然の様にしている。
私が大丈夫だと確信しているのか、竜を信じているのだろうか。理性があるからか?
そんな事を考えながら、私はまだかなとカウンターの方へ向くと、お待たせーっと声が聞こえた。
やって来た様だ。
「いや、絡まられて。大変だった。」
「ばかじゃないの。レンってあんなのほおっておけばいいのに。」
ヨジヨジと私の体を爪を引っ掛けて登っている白竜を肩に再び乗せた。
私はどうしたと思い、二人を見ると外で懲らしめたから、もう襲っては来ないだろと、レンはプンプンと軽く怒っているアカリと話し合いながらケラっとして私に笑いかけてきた。
「お疲れ様」
「ふん。別に待ってていっ」
「待ってた訳でもないよ。講習を待っているだけ」
ジト目で此方を見ているアカリに対して、私は実際にこんなにテンプレ通りにしなくてもと思い、彼女はいっそのことこのツンデレキャラは作り物かと思った。
そんな事を思っていたら、やはり同じテーブルの彼は私のローブを気にしているらしくジッと見ていた。
「そういえば、そのローブ、実は私の知り合いと同じ物を持っていてですね、もしかして、クオンという女性に心当たりは無いですか?」
「!やはり、クオンさんと知り合いですか?」
「はい、私がまだ幼少期にお世話になった方です。では、エルエリアさんは、クオンとお知り合いですか?」
私はただ、ローブを貰っただけど…
ついに来たか。
クオンさんと知り合いの人。
あ、そうだ。
あの手紙を渡せばいいのかな。
私と間違えられたら、この手紙を渡して下さい。私の友人の子と記して置きますって書いてあったな。
なんかよくクオンさんを、知らない私が持ってていいのだろうか。
そんな葛藤を持ちつつ、手紙を懐から取り出す振りをして、アイテムボックスから取り出した。
「やっぱり、王都?」
「うーん。クエストの競争率が高そうだし、ここの方が良いんじゃないか?」
アカリと、レンはこれから何処を拠点にするのか話し合っている様だ。
「あのこれクオンさんから、間違われたら見せる様に言われてた物ですが、一応見ますか?」
「は、はい!ぜひとも。」
テーブルにそれをそっと置く。
「かなり年代物ですね。紙質は時渡りの葉を混ぜ込んでいますね。…………あの人らしい。」
彼は読みながら、嬉しそうな、切なそうな表情をめまぐるしく浮かべている。
「……ありがとうございます。」
彼は、切なそうな表情を浮かべ、それから手紙をコートのポケットにいれた。
彼は思案顔になり、私をジッと見てから決意したらしく、一言言った。
「きっと、貴女なら竜達に気に入られると思いますよ。では……おっと、私に用があったら受付にニアティフィルに用があるって言えば来ますから。」
「ええ、ありがとう。」
去って行った彼は上の階から降りてきた、赤茶色の髪、金色の瞳の額に黒い角がある竜人族の女性に何か怒られているが、笑って何か話している様だ。
あの人はほんと謎の人だなと考えながら、大方自身よりも強者だろうと思った私は、チートを貰って侮っていた気を引き締めようと思った。
「初回講習をこれから始めますので、申し込まれた方は、中に入られて下さい!」
声が聞こえたので、私は立ち上がる。
「シヴァさん。」
「シヴァでいいわ。」
「えーと、シヴァ、ありがとうございます。これから初回講習受けるので失礼しますね。」
「ふふ、大丈夫よ。色々調べたい事もあるから気にしないでいいわ。」
手を振ると、笑いながら振り返してくれた。
彼女は、少し訳ありそうな人だけど、一緒にいると何だか安心する。そんな事を考えてながら、講習室へ向かった。
講習室には、教壇の所にいる緑色の髪の先生の他に、私とレン、アカリ、筋肉モリモリの男性二人組み。赤髪の少年と茶髪の少女。緑色の髪のローブの少年。私と似ているフードを被った黒ローブ男?二人組みと銀糸のフードを被ったローブの男?みたいだ。
意外といっぱいいる。
「えーと、これから初回講習を始めます。字が読めない方はいらっしゃいますか?」
シーンとした室内。誰も手を上げない。
「大丈夫ですよね。今回講師を務めます。モーティマーといいます。今回の目的は、一般的な冒険者になる為の常識の知識の講習となります。ではまず、依頼を受けるにあたって討伐型と採取型、護衛型と雑用型、そして特殊型にわかれます。ご存知の通り、討伐は魔物の討伐になります。採取型は、有名なのは薬草取りとなっています。護衛型は低いランクの内は、見かけないと思いますが、ランクが上がると商人の護衛など多くあります。但し、貴族や商人に寄って人気なのがありますので直ぐに無くなります。」
「何で人気があるんだ?」
レンは不思議そうに聞いている。
「はい。特に貴族は、平民をゴミの様に扱う方から、大事な仲間として扱う人望高い方まで様々いらっしゃいます。商人もかなり厳しいが、その代わり報酬が高く貰える方までいらっしゃいます。ですので、風評に寄って人気があります。」
「なるほどね。」
「雑用型は、皆さんのランクでも受けられる唯一のクエストですね。街の中の配達から、犬猫の捜索。様々な方から要望があります。この場合、解決した場合、依頼書に依頼者のサインをしていただくと依頼完了となります。配達の場合は、配達先でサインでも良いなど変則もありますので依頼者と話し合うのが必要です。基本的に雑用型は、依頼者との方と話し合うのが、求められるので気をつけて下さい。」
「特殊型は、グラウンドクエストなど特殊なクエストからギルドからの指名クエスト、他の依頼者の方からの指名クエストなどになります。」
なるほどね。
雑用型は、要相談っていう事か。
「俺なら、直ぐに指名クエスト来そうだな。」
「そうですね。ネロさんの邪眼のパワーに、指名クエストだらけになりそうっす。」
「スルメ君、わかってるじゃないか。あぁ、体が疼くぜ。」
後ろからこそこそと小さな声で話し合っている様だ。
話の感じからして、転生者かな?
な、名前適当過ぎませんか?
スルメって。
絶対、現在後悔しかないよね。
それとも、いや、マジな方のユニークスキル持ちか。
「ネロさんのスキルってユニークスキルあるんすか?」
「……フフ。一つあるぞ。『稚拙な定理』だ、これこそ我が神話の始まりなのだ。」
「流石っす!……俺はないっすけど。因みにどういう内容です?」
「聞いて驚くなよ!それはな、現象の定理を適当な理由で喋ると、外れている事に力が一定蓄積されるのだ。なんと、適当過ぎる程、増幅する。」
「そうなんですか!それは(使えるのか使えないのか)凄いっす。」
「ただ、やはり出過ぎた棒は叩かれるのこどく、誰かに間違いを正されると、今まで貯めてきたのが消去されるという欠点があるのだ。やはり、チートだからこその運命の宿命さ!」
「そうすっか。(使えねぇな…こいつ。)」
あれー。
ちょっと、スルメ(笑)君声漏れてるし、実はそうんな事を思っていたのね……
いや、使いようによっては使えるスキルだと思うけど。
というか、邪眼関係なくね……
うん。
たぶん、
懐かしいな、私も今も少し疼……おっと、危ない危ない黒歴史が再び幕を開ける所だったわ。
というか、こんな世界の片隅に転生者が集まっているなんて、珍しいというか偶然過ぎないか。
まさか、転生者結構数いるんじゃないか?
確かに思えば、ゲームのキャラメイクした人だから、世界同時提供だし結構大量にいそうだな。
そんな事を考えていたら、銀糸のローブの人から視線を感じて見てみると、うーん、顔はフードのせいで暗くて見えないや。
「では、世界の情勢について次は話しますね。」
先生の声に気づいて前を向くと、先生は紙を配った。それはに簡素な世界地図の様だ。
この現在いる城塞都市レコンキスタは、風の国ハイラリアにあるらしい。大陸の南東の果てに位置するらしい。海を挟んで少し離れた所に日本みたいな細長い島国がある。
ハイラリアは竜が翼を広げ、尻尾は半円を描く様な形。
東の島国は、
南の海の諸島に、海洋諸島アディナガマー がある。
北側は海を挟み、その先に平原の向こう側に魔国?と書かれた場所がある。
水の国の向こう側に、土の国ティエナがある。一応ティエナ国と陸続きで大平原や砂漠の向こう側の魔国と繋がっている様だ。
土と水の国の丁度ど真ん中の国境の辺りに丸がある。
丸の離れた小さな国があり、えーと、ヴァニラ聖国と書かれている。
その下には、火の国 へルファイアと書かれている。その向こう側は書かれていない
。
私は、クオンさん達が残してくれた本でわかっているが、それはクオンさんの時代その時点の事柄なので、今現在はどう変化しているかわからないので丁度良いかと思っていた。
「なぁ、この丸って何だ?」
レン君がモーティマー先生に聞くと、不思議そうな表情を浮かべていた。
「あれ?知らないですか?!あんな有名な都市の名を!」
「知らないからさ、教えてくれよ?」
「あー、そうですね。その名は、自由学園都市国家フィルヴェーク。世界各国中から、色々な突出した優秀な人が集まります。有名な方といえば、仲間思いな性格で出会った人を魅了する魔戦士ジーク様、神出鬼没な錬金術師として有名なエドワード様、優しく、慈悲深い剣聖フリスメル様など多く在籍していたとされ、最も有名な最近のでしたら、黄金期と呼ばれた自由気まぐれで人を惹きつける前風の王ジン様、女神の加護を受けたとされる勇者マルス様。マルス様と共に歩んだ水の国の巫女であったエリアリア様。マルス様とエリアリア様は現在亡くなられていますが、このギルド長であるニアティフィル様とドワーフ族であり、みんなが頼りになる兄貴、『ナルさん』ことナルニエル様が居ますよ‼︎その皆様が在籍されていたのがこの自由学園都市国家フィルヴェークにある『マジュルワーツ剣術魔術学校』です!」
ゼェゼェと荒い息をはきながら先生は、瞳をキラキラさせながらレン君に語っていた。
「へぇーそんな強そうな奴がいるんだぁ」
「く、雲の上の存在です!私達は足元にも及びません!」
「わくわくすんな!」
「そうですよね!私も初めて聞いた時は、そこに入る為勉強しましたよ!」
二人は楽しそうに盛り上がっている。ハリー・○ッター的な魔法学校ですかねぇ。少し見てみたい様な気がする。
それにしても、楽しそうだ。
「あっ!ぇーと、す、すみません。それてしまいましたね。この国々の他はまだ開拓が進んでおらず、未開で何があるのかわかっていません。だから、私達冒険者ギルドが冒険者と呼ばれる所以です。」
「フィルヴェークかー行ってみたいな!」
「はい、フィルヴェークには冒険者ギルドの総本山があります。過去有名な方々が在籍されていた方の持ち物などの博物館もあります。ダンジョンや迷宮もあります。」
「ダンジョンと迷宮って違うの?」
「はい。ダンジョンは広い空間を自由に探索出来ます。唯一、階層事にボスがいます。迷宮はその名の通り、中が迷路になっているが特徴的ですね。どちらも魔物やボスがいたりします。迷宮は、とても神のご加護に満ちていて、死んでも迷宮内なら最初の入口で復活します。特徴的なのが、シーカーですね。シーカーは、レコードクリスタルと呼ばれる装置を使い、迷宮探索を手助けをすることをメインとした所謂案内人ですね。迷宮は生きていますので、ある一定の時間で動きます。レコードクリスタルは、迷宮入口前と各迷宮階のセーフティーゾーンにあるそうです。冒険者とシーカー兼業するのが一般的です。中にはシーカー専門の方もいらっしゃいます。迷宮には簡単な初心者向けのから百戦錬磨な冒険者でも苦戦する未だ未踏逹の物もあります。一般的にはそうですが、これはまぁ、目安と言っても過言ではないですね。」
「先生?他の国の事も教えて?」
茶髪の少女は首を傾げながら、催促したらしい。
「そうですね、現在居る風の国から話しましょうか。現在王は、シ・ルェーヌ殿になります。世襲制ではなく、枢機院の複数の枢機卿の推薦で認められた方が議会で多数決で承認得られた人が王となる制度になります。王が最近変わりまして……戴冠式の後、前王ジン様は行方不明でして亡くなられてはいないと思いますが。この国の特徴といえば、自由を好む竜が多く住み着く、止まない風の生まれる悠久の国です。多種多様の人種が暮らしており、海に接しているおかげで港町も貿易で盛んですね。王都ルフレーティアは綺麗ですよ。あの伝説の古代人族が作ったとされる街なんですよ。大人気な水の国の次に人気です。」
先生は嬉しそうに風の国の竜の目の辺り、胸元や尻尾の先など多くに印を付けた。
「ここ辺りは、禁域の
「へぇ!かっけぇ!俺はドラゴンスレイヤーになる!」
赤毛の少年は目をキラキラさせて立ち上がる。
なんかどっかの某海賊のコミックをもじった有名セリフをいってるよ。
「む、無理無理!俺たちまだそんな強くないから!」
緑髪の少年は本を抱えながら、首を勢いよく左右に振る。
赤毛の少年はうーんと悩みながら座る。
私も無理だと思う……
「えー、そうですね。冒険者ギルドに入る方の殆どがそういう方が多いくて、昔は講習もありませんでした。そのせいで、竜区に入る初心者の冒険者が多く死亡し、その傾向に気づいたギルドは講習を設ける事にしました。
その結果、無謀な挑戦者は数が減りました。」
そう言いながら、先生は顎に手を添えて、しかめ面をした。
「それに、竜区に住む
「えっ!ドラゴンって喋るの?!」
赤毛の少年はびっくりしたのか、傍にいた少女に手を動かした後ぶつかった。
「はい。彼らは、私達がいる前から数百数千年生きますからね。知識はかなり高く、神に近いという個体もいるそうです。なんでもA級冒険者の人が伝言で、最近領域に未熟者が多数来てその儚く命を落としているとのことですね。」
「なんか、思ってたのと違うなぁ」
「まぁ、彼等からすれば羽虫が煩く感じたくらいの感覚ですね。」
「あはは、確かに」
緑髪の少年はうんうんと頷いている。
「禁域竜区は特徴的であり、空中の魔力の濃さからわかります。異常な程高く、魔力が低い方は直ぐに気分や身体に影響を及ぼしますよ。天候が変わりやすく、雨が降ったと思ったら、槍の様な雹が降ってきたとか、煮えたぎる熱湯の様な雨が降ったとかもあります。吹雪が吹いたら、雪景色になったり、自然の法則が消えていますね。竜の心臓はここの街からでも見えます。あの大きな火山の辺りですね。貴重な資源、例えば貴重で高値で取引されるアルテマエ鉱石、貴重な大きく澄んだ魔石、宝石など多くの資源が眠るといますね。近くにある麓の町に温泉があるとかで有名らしいですね。なんでも
みんながぽかんと先生の言葉に一同なっていた。
天候が変わりや過ぎる。
自然の法則が消えて過ぎて跡形もない。
いっそ事、別世界でしょ。
禁域怖いわーって思っていたら、銀色のローブの人からジッと見られ続けている。
何故だろうか。
知っている人に似ているからかな?
うーん。わからない。
「では、次に話すのは……」
私はその人から目線を外し、先生の方へ視線を向けた。
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