第4話 思惑

只人ただびとが居ない天界。


ただ白く、何もかも存在しない。


そこには、白銀の髪をたなびかせて、転がる女神がいた。


「あはは、あの子死にかけてるだけど!ちょーウケる!ヒヒヒ」

「しかしガイア様、あの者もう生き絶えますよ?魂の記憶を維持させたまま移動させたのに。」


むくっと、起き上がった女神ガイアは、近くではぁとため息をついた白く光る輪を金髪の上に浮かんでいる、顔立ちがかなり整った青年を見た。

それから、下へ視線を向けると何も無かった空間に突如、玉座が現れる。


どっしりと座ると、女神の羽衣が滑り、その下から現れた足が無防備に晒される。

もし、そこに一般人の男がいたら、無我夢中で触りたくなる様な、その美脚に惚れ惚れとするだろう足を組む。


「うゔん、えっと、ガイア様、その様な……」

「ふぅん。天使長のアルニエルは気になるの?私のあ・し?」

「いえいえ、そんな。ただ節度を」

「フフ、そんなだからアルニエル、か」


「これこれ。若いのを揶揄からかうでない。女神ガイアよ。お主、わしが寝ている間に、よくも面白い事をしてくれたのぅ。ワシも混ぜんか。」


背後から、異空間から白い髭を伸ばした老人が現れ、手をかざすと白い柔らかな座椅子が現れた。


「創世神様!お目覚めになられたのですか」

「ふむ、そうじゃ。先程な。まだ少し寝足りないがのぅ。丁度良い所でまた、寝ると思うがの。おやおや、あの若者そろそろじゃな。名……現在はイシュハルドか。竜と戦っているのじゃな。ぬぬ、あっ。」

「創世神様、どうなされましたか?」

「何か足りないのぅと思ってたら、三種の神器が無いわ。その一つを彼奴あやつが持っているの。眠りにつく前に放り投げたのが悪かった、カッカッカッ!」

「あれ、投げたのですか。それで下界に落ちて……」


天使長のアルニエルは創世神のご機嫌な様子に、自身の金色の髪を撫でてつつ、安心した。


「そこで、私が利用したのよ。面白いでしょ。宝珠はバラバラで各転生者に分けて、争わせるのよ!神剣は、銀髪の子だし。鏡は……誰だっけ。えーと、確か女だった様な。」

「確か、無意識にガイア様の容姿のややそっくりに選択した子ですね。瞳の色は、違いましたけど。」

「フフ、其奴そやつも面白いのぅ。うむ、このイシュハルドは、神剣を正しく使いこなせていないの。」

「そうなのよー、そこが面白いくて。ついつい笑っちゃうわ。あら、スキル獲得したみたいね。この子に褒美に少し回復してあげないとね。」


女神は手を一振りすると、光が3人が覗きこんでいた下界へ降り注ぐ。


「魔神様が復活に今も幾多の魂をかなり消費しているので、彼方の世界はかなり増殖してましたし、丁度、良かったですね。停滞した世界の起爆剤となるようでしょう。神器はある程度の所で取り上げて、レプリカと交換すればいいでしょうか?」

「ええ、過ぎた産物は、良くないからね。」


フフ、と微笑む女神は、下界で立ち上がる彼を見て、と呟き、どこまで耐えるかのぅと快活に笑う創世神を見て、アルニエルは青年よ、耐えろと少しばかり気の毒に思いながら、祈った。




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話は変わり、ここは、ある小さな国の監獄。

そこには、野性味溢れる身体の男達が驚いていた。


「急に現れたな!」

「どっから現れた?」

「こいつ、意外と可愛いなぁ。そのイイ身体使って楽しいことしようぜ。」


茶髪茶色の瞳の可愛いらしい少年は、周りの環境を見て驚いた。


「な、何だ?誰だよ、お前ら。俺、学校にいたはず、何だけど。」


のっそりと近づく男は、手を伸ばしながら少年に語る。


「俺、溜まってるんだ。ヘヘッ、この際男でもいいよな。」


俺も俺も。


男達は、可愛いらしい少年を見て、下半身を高ぶらせながら少年に手を伸ばした。


そう、ここは監獄。


女っ気なんてない、一つの大部屋に設置された鉄格子の中にある監獄。


彼らの欲を、解き放つ存在は皆無。

その飢えた狼の中に、一人子羊を放り込んだらどうなるかは、明白。


「これって夢?」


やっと、声変わりが終えたばかりの声は、男達の喜ぶ声に書き消えた。



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「ふーん。じゃ、ここは異世界で俺って転生しちゃったのね。」


一方、ある王国の洞窟にあるに血を流している倒れた頭領の上で、クルクルとジャグリングする様に、短剣を回している青年は楽しそうに笑った。


青みがかかった黒髪に、青の瞳を大きく見開いて青年は楽しそうに一人語る。


彼奴等あいつらも来てるのかな。また、会えるよな。絶対に。」


さて、探すか。


そう彼は呟き、かつて名の知れた盗賊団のアジトは、今はいない。


全て、盗賊も捕らえられていた人も、屍へと変わっていた。


彼にとって他人は、興味がなく、つまらない。


高飛車な貴族令嬢も、助けを求む奴隷の少女も、彼はいらない。


唯一、彼が望む者は、この世界には数少ない。


彼は、窃盗品の中から足がつかない貨幣の入った袋を取り出してアイテムボックスに入れ込んだ。


「他に使えそうなのは……」



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私、エルエは現在森に居ます。


薬草 【植物科】白い花を咲かせる。これを食べると、失った体力を回復する。そのままでは、効果が低いが、錬金術で高めるとポーションになる。花びらが一番効果が出る。全て同じ様にすり潰して良い。


魔草 【植物科】薄く魔力を発する不思議な草。これを食べると、失った魔力を回復する。そのままでは、効果が低いが、錬金術で高めると魔力ポーションになる。根は使えないが、全て同じ様にすり潰して良い。



地面を見ながら、二つを鑑定しながら見つけたら、ブチっと剣で切り、アイテムボックスに収納する。


そんな事を繰り返していたら、マッピングの機能のおかげで今いる現在地を確認した。


左上の空中に、地図が見えるのだが、結構離れてしまったらしい。


私がいたエデルフォールの近くの森は、通称『神隠しの森』と呼ばれている。木々が特徴的で、白い木肌をしている。葉はびっくりのロイヤルブルーの色だ。


流石、異世界。トリッキーだ。


現在いるのは、その隣に位置する通称『薄暗の森』と呼ばれる端にある辺り。

ここは、ごく一般的な普通の森だ。


神隠しの森を、最短距離で抜けてしまった様だ。戻らねば。


そう思っていると、ガザガザと茂みが音を立ている。


敵か。


そう思い、あの抜けた感覚が魔力なら、最初から準備しとくかと、コップに水を注ぐ様に、練る事にした。



ローウルフ 【魔物科】よくいる狼系統の魔物。剥ぐと良い毛皮になる。肉は、余り美味しくないが、食べれる。部位証明は、左耳。


グルグルと怒っている。此方に走って来ているのを、確認して、私は風で切り裂くのをイメージした。


一陣の風がローウルフを切り裂き、隣に生えていた木を切り倒した。

そして魔物は命を落とした。


よし!やった!


ちょっと威力高過ぎたかもと、思っているとまたもや、ローウルフが現れた。


やばっ!と思って、私は急いで風で切り裂くイメージをすると、ローウルフを何とか切り倒した。


ユニークスキルの『時の狭間』があるおかげで、戦闘中はややゆっくりと時が流れると感覚なのでありがたい。


うん。

チートで良かったーー


私は早速、二つの魔物をアイテムボックスにしまうと辺りから複数の狼の遠吠えが聞こえる。


あれ?


これって危なくないか。


早く、ここから逃げ様と思い、そうだスキルの隠密を起動させようと思う。


「隠密!」


んー


何が変わったか、わからないな。


足元を見てみると、この辺りはさっき木を切り倒したおかげで少し日が差し込む様になっている。


「私の影がない!」


だから自分の影がない事に気づいた。動いても落ち葉を踏んでも、音が聞こえないし、影が現れない。勿論、木々の影の所にあるのかと思って動いてみても変わらない。


「あっ、忘れてた。逃げないと」


ついつい、検証してしまった。


走りだそうとして、地面に転がった私が切り倒した木を見て、何か使えるかなって思い、アイテムボックスに入れた。


又、遠吠えが聞こえて焦った私は、とにかくエデルフォールの方角へ走り出した。




それから幾分たった。

荒い息を吐きながら、疲れて、ヘトヘトになった私は、横へと続く小道を発見した。


「はぁー疲れたー、もう走れない。」


小道の脇に腰掛けた私は、現在地はと見てみると少し西にずれている事に気づいた。

そういえば、『神隠しの森』の森の領域なので、木が特徴的な白木になっている。


息も整った私は、エデルフォールへの道ではない事に気づいた。


「調べるべきか、安全をとって帰るべきか。…迷うわ。」


だけど、私は危険と思いながら、小道を進む事にした。


そういえば、遠吠えも聞こえないな。そう思いながら、私は足元が急に歩きやすくなったなと思い、下を見る。


「石畳だになってる。これはいったい……」


前方は森がきれてる様で、光輝いている。


何も見えないけど私は、期待に胸を高まらせ駆けた。



木が終わり、途切れた瞬間、がして、光に目が慣れてなくてクラっとしたが再び目を開けると、あけた大地に大理石の様な石材で作り出された荘厳なパルテ○ン神殿に似ている遺跡の様だ。

だが、中は石材の壁で見れないけど。


扉は閉まっており、私は恐る恐る手を伸ばすと、空中に浮かぶ文字が現れる。



貴女が保有するスキルと称号では、条件を満たしておりません。



うーん。

止めるべきだな。


私は、建物から離れると、建物の脇を歩いてみる事にした。



遺跡の脇を歩いていると遺跡の建物が終わり、今度は円陣状に並んだ青のクリスタル群とそれを囲む、魔法使い風と騎士風のオブジェらしき石像。


「すごいなぁ。これ今にも動き出しそう。」


騎士風のオブジェを、詳しく見てみると、繋ぎ目や装飾も細かく作られていた。


「へぇー。こんな物あるんだ。」


私は、青いクリスタル群を見ながら、魔法陣みたいだなと思いながら、それを通り過ぎた。


そこにあったのは崖である。


「おー。眺めいいな!あっ、あれは街かな。」


崖から見ると、崖下は少し丘になってるみたいで木々はない。

丘の先は、森が広がっていて、森が終わると道があり、その先に、城壁に囲まれた都市が見える。


「うわ、かなり遠いなー。飛んで行かないとこれは大変そうだな。」


私はあの見えた街に好奇心がウズウズしているの感じながら、飛行の魔術を習得を食料が尽きる前にしなくてはと思った。



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