summerⅢ

"ガチャリ"

あいつから渡された鍵でドアを開ける。ドアの隙間から漏れる風が涼しく、心地良い__わけが無い。


どうもこうも何で女の私が男のこいつに肩を貸さなきゃいけないのか。お陰で肩が凝りそうだ。密着していたせいで暑苦しい。たまったもんじゃない。

一刻も早く楽になりたい、と私はそいつをベットに寝かせた。電気のスイッチの場所が暗くてよく見えなかったから、部屋は暗いままだった。


「あ…りがと…」掠れた声であいつは言う。「本当に全くだよ。こんなんでも一応女だからな。あーあ、か弱い女の子に男を担がせるなんて。」ちょっと皮肉を言ってみた。ここまで頑張ったんだから、少しぐらい良いだろう。

それにしても、何でこいつは倒れたんだろう?意味がわからない。


じっと、弱々しくなったあいつを見つめていた。「(まぁ、元々パワフルな感じじゃないもんな…)」なんて、失礼な事を考えていると、視線を感じたのかあいつがこっちに視線を送ってきた。窓から射す月明かりがあいつを照らす。「(こいつ普段眼鏡だけど、眼鏡取ったら顔整ってるじゃん。)」


するとあいつが急に口を開いた。

「何でこんなんになってるかって?」

「え、まぁ…」辛うじて喋れてるな。

「知りたい?」は、何だその上から目線は。「一応看病しているのでね。」「看病って程でもないだろ。」あいつの顔がクシャッとなった。

笑ったのは、初めて見た。


「一つ言っておく。」





「僕は小学生の時から、君のことを知っている。」

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