最終話 凍宇宙ワゴン
「ハル~、この荷物も載せてくれ」
「まったく、どんだけ持っていくのさ。スペースワゴンが飛ばなかったらどうするの」
「大丈夫大丈夫!」
今日、この星を出発する。アタムがどんどん荷物を持ってくるのがかわいい。
おばさんには、教会が企画するこの星一週の旅がプレゼントされた。ナダヨミ領とイズミ領双方のリゾート地をめぐり、文化や絶景、グルメを楽しめる最強のプログラムとなっているらしい。司祭は「胃袋をつかめば勝ちです」と言っていた。
「ふー、やっと積めた……行くぞ、ハル」
アタムが運転席に座り、エンジンをかけた。少しずつ車体が浮いていく。
「まずはどこに行くの、アタム」
「そうだな……月が本当にピンクかどうか、確かめてみようぜ」
「良いね、面白そう」
街が、教会が、小さくなっていき、空が白から紺色へと変化していく。
やがて前方に現れたピンク色の月を目指しながら、アタムと一緒ならどこへでもいける気がした。
【短編】ハルとアタム 鍋野ぽとふ @potaufeu_chan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます