第17話 夕日
「宗教の信者って色々あるけどタチの悪いのになると、教祖や教団のことを盲信したり、かなり他者に攻撃的になったりするわね」
白鳥佐紀は言った。
僕と白鳥佐紀は街にあるとある神社にいた。
時間は夕暮れ時。
白鳥佐紀の黒い長髪が夕風の中で揺れている。
「そうかもな」
「宗教というかいわゆるカルトみたいなものかしら」
「ふむふむ」
「まともな宗教は生命とかを慈しむものだと思うけど、狂信的なカルト、狂信者とかになるとそうではないようね」
「そうだなぁ」
「宗教でなくとも個人という場合もあるかしら」
僕は自動販売機の所に行って缶ジュースを二つ買ってきた。
りんごジュースとオレンジジュース。
「白鳥佐紀、どっちにする?」
「りんご」
「どうぞ」
「ありがとう。鈴木佐君」
「世の中を、この国を今黒い霧が覆っているような感じがする。早くこんな時代は終わればいいと思う。暗黒の意識に囚われている人らが増えているような感じがする」
「・・そうかもな」
「あなたなら世界を救えるかしら」
「俺は救世主ではないよ。因みにキリストは当時の人々に十字架に磔にされた」
「偉人にはそういう人が多いようね。キリストとかの教えは後世の人らで曲解したりしてる人らもいるわね。ブッダとかも」
「自分の権力とかのために宗教を利用しているんだろう。そういうのは」
「人を意のままに操作するために神という存在を作り出し操る。これは為政者らがしばしば行ってきた手法かしらね」
「そうだなぁ」
「日本では為政者が天皇を神とし利用して人々を意のままに操ってきたというのは言えるかもね。天皇も全く同じ人間なのにね」
「そうだなぁ」
「アインシュタインは第四次世界大戦では人は石と棒で戦うと言ってるわね」
「第三次世界大戦があると人類文明は全て滅びるということだろうか・・」
「そうね。だから避けないといけないのだけど最近は争いを望む、欲する心が増えている感じがするわね」
「・・由々しき感じだな・・」
「闇の心、意識を持った人らが国を支配するとそれが伝染していくように感じるわね」
「ふむふむ・・」
僕と白鳥佐紀は神社の階段を降りた。
「それじゃ、また明日。鈴木佐君」
「それじゃまた」
僕は白鳥佐紀が帰っていく後ろ姿をしばらく見ていた。
そろそろ夕日が沈み夜になろうとしていた。
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