第11話 星ノ宮

「じゃんけん、ポン、あいこでしょ、じゃんけん、ポン、あいこでしょ」

「さっきからあんた一人で何してんの」


 後ろの席から白鳥佐紀がぶっきらぼうな感じで言った。

「一人じゃんけんですよ、白鳥佐紀さん」

「何それ、ばっかじゃない」

「傍目からはそう見えるかもしれませんね」

「何の意味があるのそれに」

「指の運動になります」

「あんたに話しかけた私がばかだったわ」


「鈴木佐君、今日の放課後ちょっといいかな?」

 見るとクラスメートのほしみや聖夜せいやがいた。

 星ノ宮聖夜は中々の美形で可愛らしい顔をしている。


「何の用?」

「えっと・・鈴木佐君に少し相談したいことがあって・・」

「ここじゃだめなの?」

「・・うん」

「ふ〜ん・・」

 白鳥佐紀が意味ありげな視線で僕と星ノ宮を見る。


「・・お前何想像してるんだよ・・白鳥佐紀さん。星ノ宮は男だぞ・・」

「まーそーだけどさー、ふふふ・・」

「す・・鈴木佐君・・いい?」

 何か意味ありげな感じで話すのは・・星ノ宮君。


「いいよ。わかった」

「あ、ありがとう。鈴木佐君」

 星ノ宮は少しはにかんだような表情で言った。

 ・・かわいい。男にしとくのは勿体無い。

 そして星ノ宮は自分の席へ戻って行った。


「かわいいわね・・星ノ宮君」

 白鳥佐紀は星ノ宮の華奢な後ろ姿を見て言った。

「お前、星ノ宮みたいなのが好みなのか?」

「そうかもね・・鈴木佐君。あんた、星ノ宮君に手を出さないようにね」

「・・出すわけねーだろう・・断じて俺はそういうのではない」

「ふ〜ん・・」

 白鳥佐紀はにやにやした表情で僕を見た。

 ・・やっぱこいつは何を考えてるんだかさっぱり分からない。

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