第7話 公園2

「とりゃ、おりゃ、あちゃ、とう!」

 僕は公園で拳法の稽古をしていた。

 自分で編み出した必殺の拳法だ。


「・・あんた・・単なる不審者にしか見えないんだけど」

 ベンチに座っている白鳥佐紀しらとりさきが言った。

「そうね・・ふふふ・・」

 彼女の側には三鶴城みつるぎ未知瑠みちるが腰に手を当てて立っていた。

 彼女はショートカットでいわゆる美人だ。

 ・・まぁ白鳥佐紀もそうだが。


「で・・何でそんなことをしているの?」

 と白鳥佐紀。

「不良とかに絡まれた時闘うためさ。俺達目をつけられているしな」

「私は無関係だと思うんだけど・・」

 と三鶴城。

「私の友達である以上、あなたも無関係ではいられないわよ、未知瑠」

「えー。私はか弱いテニス部の女子高生なんだけど・・」

「ラケットがあるでしょ。それで叩きなさいよ」

「えー、私そんなこと・・」

「あなたのスマッシュならイチコロよ」

「そうか」


 □ □ □


「さて・・未知瑠さっさと帰ろう」

「うん」

 二人は去っていった。

 僕は公園に一人取り残された。

 風が吹いてきた。

 少し寒くなってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る