第3話 放課後

 ポチポチポチ・・。

 放課後僕は机の上にノートパソコンを取り出して小説を書こうとしていた。


「・・何か書くのがしんどいんだよなぁ・・」

「あんた無理してるんじゃない?」

 白鳥佐紀しらとりさきが僕の方を見て言う。

 何でこいつも教室にいるんだろう?暇なんだろうか。


「無理をしてる?この僕が・・?冗談を言ってはいけませんよ、白鳥佐紀さん」

「そう?あなたその小説を書いている時楽しい?」

 白鳥佐紀は黒い瞳で僕を見下ろして言う。

「楽しくないでしょ?あなた。楽しくないでしょ?」

「あ?ちょっと黙ってくれませんかね・・僕の創作の邪魔をしないでいただきたい」

「邪魔ですって?失礼な。アドバイスをしようとしてるだけよ、ア・ド・バ・イ・ス」

「白鳥佐紀さん、あなたに僕の何がわかるって言うんでしょうか」

 僕は冷静さを装いつつそう言った。


「どんな話を書いているの?鈴木佐すずきさ君」

「えーと・・主人公はごく普通の高校生で、そして異界に転生し・・そこで可愛いヒロインと出会ってそして冒険をして・・伝説の・・」

「えーと・・わかったわかった大体」

「これだけで何がわかると言うのですか、白鳥佐紀さん」

「んーいわゆるよくあるような典型的なラノベ小説という感じ?」

「あぁ?よくあると・・。僕の才能を甘く見ないでもらいたいものですね、白鳥佐紀さん」


 白鳥佐紀は教室をぶらぶらとしだし、校庭を見下ろし、そして言った。

「今から商店街にある喫茶店にでも行かない?す・ず・き・さ、君」

「あ?今から?」

 白鳥佐紀は果たして何を考えているんだろう?


 □ □ □


 ・・さて・・僕と白鳥佐紀が商店街を歩いていると、いや二人ではない・・。

 クラスメートの三鶴城みつるぎ未知瑠みちるも一緒だった。

 三鶴城は白鳥佐紀のいわゆる友達、親友?でショートカットでかわいらしい?女子だ。テニス部に入っており、今日は部活が休みだそうだ。


「令子、あんた鈴木佐君と親しいようだけど、もしかして・・」

「あ?何であたしがこんなのを」

 こんなのって・・。


 歩いていると何やら楽器を演奏するような大きな音が聴こえてきた。


「ヘイ・・みんな今日は俺達ブラックダイアモンドのライブを見にきてくれてありがとう。今日はめいいっぱい楽しんでくれよな。俺達の愛をお前達に捧げるぜ・・」


 見ると、主に黒っぽい服を着た男3人と女1人のロックバンドのような団体が商店街の広場にいた。

 真ん中に髪を金色に染めたボーカルらしき男がおり、そして男のギタリスト、女のベーシスト、男のドラマーというようなグループだった。

 ドラマーは上半身裸でスティックを持ってドラムをタカタカ叩いていた。


 ギタリストは肩くらいの長髪で何だかフラフラとした足取りをしており、ベーシストの女は髪をやや紅色に染めてそして黒い帽子を被っており淡々とチューニングをしていた。

 ボーカルの男はまぁ・・イケメンな感じだと言えるだろうか・・。

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